2023年国内フェムテック・スタートアップ資金調達まとめ7選
👩⚕️【2022年振り返り】国内フェムテック資金調達
💴【2023年まとめ】国内フェムテック資金調達
PRTIMESのプレスリリースから、2023年国内フェムテック資金調達をまとめて紹介する。
1.アークス:生殖補助医療の自動化機器を開発
・資金調達額:7,000万円
・投資家:ディープコア、みらい創造機構
💡「誰もが安全で質の高い不妊治療を受けられる世の中を」をミッションに、医療機関、大学、企業と連携し、臨床現場における受精から受精卵の培養、胚の凍結・融解の各工程における自動化ツールの開発を行っている。
日本の子供の16人に一人が、生殖補助医療(体外受精や顕微授精)で誕生している。
2022年4月から生殖補助医療にも保険適用(一部除外)されたが、生殖補助医療における医療の質を担保し、治療の成功率を上げることは容易ではない。
生殖補助医療は、胚培養士(はいばいようし)と呼ばれる専門職が、顕微授精などの高度な技術を用いて、卵子と精子を受精させ、胚をつくる工程を担う。しかし、胚培養士を育成することが難しくなっている。
同社では、今回調達した資金を用いて、胚培養士の高度な判断を支援するAI支援システムや、培養室作業を自動化するために製品開発を進める予定である。
なお、胚培養士については、胚培養士(はいばいようし)ミズイロという漫画が、大変わかりやすいのでおすすめしたい。
2.YStory:更年期デジタルヘルスケアアプリ
・資金調達額:不明
・投資家:ディープコア、ANRI
💡更年期のデジタルヘルスケアアプリ「Her Life」を開発。デジタルヘルス分野での研究開発と事業拡大に注力している。
最先端のAIテクノロジーとメディカルサイエンスの活用を通じて、一人ひとりに合わせたパーソナライズされたアドバイスを提供。
今回調達した資金を用いて、アプリの開発をさらに進める。京都大学との共同研究を実施することにより、更年期デジタルヘルス実現を目指す予定である。
3.アイグリット:乳がん検査
・資金調達額:不明
・投資家:ぬましん未来応援ファンド
💡沼津信用金庫と信金キャピタル(東京都)が設立したファンド「ぬましん未来応援ファンド」が、乳がん検査機器開発のアイグリット(仙台市)に出資。同ファンドとしては初めての出資となっている。
アイグリットは、2020年に設立。撮影した超音波画像を合成して立体データを作成し、病変などの有無を調べるスマートフォンサイズの機器を、2025年の製品販売を目指して開発している。
一度に広範囲で検査可能な上、データの保存が可能であり、従来の検査方法に比べて「がん」の見落としのリスクが減る。
従来の乳がん検査は、マンモグラフィや超音波検査など、被爆や痛みを伴うものが一般的であるため、検査費用や体の負担が軽減される予定である。同社の製品に期待したい。
4.Cranebio:女性向けウェアラブル健康管理キット
・資金調達額:2.5億円
・投資家:アクシル・キャピタル・パートナーズ、日本ベンチャーキャピタル、あきぎんキャピタルパートナーズ
💡妊活タイミングがわかる「おりものシート」などを開発している、バイオスタートアップCranebioが2.5億円の資金調達。2.5億円のうち、あきぎんキャピタルパートナーズが5,000万円を出資しており、第1号案件である。
2023年11月に共同研究開発先であるユニ・チャームから、「ソフィ妊活タイミングをチェックできるおりものシート」が販売された。
上記製品は、日経トレンディ「24年ヒット予測」にもエントリーしており、すでにメディアにも多数取り上げられている。
5.fermata:フェムテック市場介入のコンサルティング
・資金調達額:不明
・投資家:あすかイノベーションファンド
💡フューチャーベンチャーキャピタル(京都市)は、あすか製薬と共同が設立したあすかイノベーションファンドから、fermataに投資。
あすかイノベーションファンドの投資テーマのひとつが「月経、不妊、更年期障害に関する課題解決を担うスタートアップ」である。
fermataは、フェムテック市場介入を志す企業へのコンサルティングや薬事業務支援、「Femtech Fes!」などの開催を行っている。
6.mederi:オンラインピル診療サービス
・資金調達額:不明
・投資家:セルロース
💡オンラインピル診療サービス「mederi Pill(メデリピル」を展開。LINEから簡単に産婦人科医により丁寧なオンライン診療を受けることができる。
悩みや体調にあったピルが提案され、最短翌日に到着。初月ピル代無料で、診療代はずっと無料。国内最安クラスで提供している。
企業向け福利厚生サービス「mederi for biz」も展開している。
7.メロディ・インターナショナル:モバイル胎児モニター
・資金調達額:1.1億円
・投資家:京都大学イノベーションキャピタル、東海東京インベストメント、いよぎんキャピタル、QRインベストメント
💡モバイル胎児モニターを核とした周産期遠隔医療プラットフォームを展開するメロディ・インターナショナル(香川県)が、総額1.1億円の資金調達。
今回の資金調達により、国内外での機器、システムの導入を推進していく予定である。
同社が提供する「Melody i(メロディ・アイ)」は、「分娩監視装置iCTG」を妊婦が使用し、分娩監視装置集中管理システム「Central i」で、医師が胎児の状況を確認できる。
日本はもちろんだが、海外のニーズも高く、すでにブータンやタイなどでも導入されている。
😀次回予告
2023年の国内フェムテック資金調達を振り返ったが、フェムテックに限らず、国内スタートアップによる資金調達額は、昨年と比較し減少している。
次回は、2023年国内フェムテックの事業継承やファンド設立などをまとめてお伝えしたい。
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トップ画像:PRTIMESのプレスリリースをもとに、筆者が作成
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