ジャカルタと日本の各県を一人当たりGDPで比較してみたら、だいたい同じになった。

2023年9月16日
全体に公開

人口2.7億人を超える人口で年率5%の成長を続けるインドネシア。今、ひとり当たりGDPは4073米ドルです(2022年、IMF統計)。この数字だけをみると、中間層の消費の盛り上がり、といった言葉で表現される水準です。3000ドルから消費ブームと言われており、インドネシアはその線をクリアして、さらに盛り上がるという段階となります。教科書的に言えば、です。

しかし、インドネシアはとても広い国です。ざっくり、横の長さでみれば米国の東西ぐらいあります。大都市のジャカルタ、石油等資源産業が盛んなカリマンタン、東チモールと国境を接するイリアンジャヤなどなど、それぞれの地域で様々な顔をもち、経済水準もまちまち。

こうした状況を数字でみたらよいでしょうか。ぼんやりと首都のジャカルタは平均より上なんだろうなということはわかりますが、具体的に数字となると、案外、日本語ではでてきません。

今、Google検索を日本語でかけてみましたが、ちょっと古い数字やざっくりとしたものぐらいです。また、インドネシア以外でも同様か、それより情報が少ないという状況です。加えて、近年は首都だけではなく、第2、第3レベルの都市もかなりの発展しています。こうした都市についての日本語情報は、ほぼ皆無です。

しかしながら、当局はしっかり公表しています。インドネシア統計局のウエブサイトには各地域ごとのひとり当たりGDPが掲載されています。(正確には、GDP=国内総生産ではなく、GRP=地域総生産と表現すべきだが、便宜上、GDPとする)

2022年のジャカルタは、ひとり当たり298,359,970ルピアと掲載されています。

ただし、ルピア建て。このままでは国際比較には使えません。ドル換算をしなければいけないのですが、今日のレートでは計算せずに、統計が出されたタイミングの為替水準に合わせる方が妥当です。

とすると、2022年の年間レートが必要になりますが、世界銀行のサイトに掲載されており、2022年は14,849.85ルピア=1米ドルである。これで計算すれば米ドルベースの金額となり、国際比較がぐんとやりやすくなります。

計算してみると20,091米ドルとなります。そして、円の価値で考えてみると、2022年の円ドルレートは131.5円であり、約263万円となります。この時点で、「なかなか高いのではないか」と思い始めるでしょう。

日本は全体で見ると一人当たりGDPが33,821米ドルです(IMF World Economic Outlook, April 2023)。インドネシア全体は4,798米ドルのため、日本は7倍ぐらいというイメージになりますが、ジャカルタと日本を比べた場合には、だいたい1.5倍程度で「結構近い」と感じるのではないでしょうか。

日本側も県別単位で、ひとり当たり県民所得をみてみましょう。県民経済計算を調べてみたところ、まずは、令和2年度、つまり2020年度が最新ということに衝撃を受けました(さらには掲載されていない県も、いくつか。各都道府県は発表しているにもかかわらず、ここに掲載されていないのが謎。東京都も掲載無し)。インドネシアのデータとタイミングのずれが生じますが、致し方ないので日本は2020年度の数字を使います。

計算の結果、ジャカルタの263万円とだいたい同じぐらいの県がかなりありますし、下回った県もあります。

出所)県民経済統計より筆者作成

これは、なかなか衝撃の結果ではないでしょうか。

日本全国に展開しているチェーン店がジャカルタでも展開され、人気があるということも頷けます。

なお、最後に脱線しますが、県民経済統計のデータは重要な問題だと指摘せざるを得ません。令和2年までしか掲載されておらず、また、各県ごとでは出ているデータが抜けています。なんと東京都が乗っていません。都の統計をみればいいじゃないか、という声が飛んできそうですが、問題はそこではなく、全体をまとめて掲載しているはずの内閣府のサイトに掲載されてないという点です。これはなぜなのかは、分かりません。ただ、やろうと思えばできることです。私は、各県のサイトまでいってデータを引っ張ってくる余裕は無いため、一括でみられるだろうと思い、内閣府のサイトにアクセスをしました。なぜ、東京都などのデータが掲載されていないのか、ご存じの方がいれば、是非、教えて下さい。

(Photo by Adrian Pranata on Unsplash)

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