3社が驚異の100億円超え資金調達(7月:国内スタートアップ)

2023年7月31日
全体に公開

上半期の国内スタートアップ資金調達額は3314億円と、前年同時期の4160億円から、22%減となりました。

調達社数は増加したものの、大型調達・シリーズD以降の調達が減少するなど、日本でも株式市場の影響を遅れて受け始めています。

そんな中、7月は100億円超の調達が相次いで発表され、3社の総額だけで558億円と、日本のスタートアップ業界の変化を感じさせられました。

☕️coffee break

1. Telexistence(テレイグジスタンス):遠隔操作ロボット

・シリーズB

・資金調達額:約230億円

・投資家:ソフトバンクグループ、Foxconn(鴻海)、グロービス・キャピタル・パートナーズなど

ここに注目👉2017年に設立された東大発のスタートアップで、企業評価額700億円ほどでの調達。代表的な導入事例はファミリーマートの飲料補充業務を遠隔操作ロボットで自動化すること。2024年までに主要都市圏のファミリーマート300店舗に順次導入される予定です。

調達資金をもとに北米に進出し、ソフトバンクロボティクスグループ、Foxconnと連携して、事業拡大を狙います。

2. FRDジャパン:サーモントラウト「おかそだちサーモン」の養殖

・資金調達額:210億円(融資含む)

・投資家:三井物産(78.5億円)、エア・ウォーター(50億円)、長谷工コーポレーション(50億円)など

ここに注目👉陸上養殖では、水温や水質を維持、莫大な電気代が課題となります。FRDジャパンでは、バクテリアを使ったろ過装置で水を浄化して循環させる閉鎖循環式での養殖技術を磨き込みました。

三井物産は今回の追加出資により、出資比率は50.4%となりました。FRDジャパンは、調達資金をもとに年間3,500トン規模のサーモントラウトが生産可能な商業プラントの建設を行い、2027年に本格的な出荷を予定しています。

3. キャディ:製造業の部品調達プラットフォーム『CADDi MANUFACTURING』

・シリーズC

・資金調達額:118億円

・投資家:グロービス・キャピタル・パートナーズ、DCM Ventures、グローバル・ブレインなど

ここに注目👉既存の国内投資家6社だけで8割の調達資金が集まり、企業評価額は2年で480億円→680億円と、事業成長が高く評価されています。国内では、産業系メーカートップ20社のうち、75%が顧客となっているほか、米国・ベトナム・タイへも進出しました。

調達資金は『CADDi MANUFACTURING』、2022年6月に提供を開始した『CADDi DRAWER』の中長期的な成長に向けた技術開発、人材採用に投資します。

4. フロンティア・フィールド:医療機関向けスマートフォンサービス「日病モバイル」

・シリーズC

・資金調達額:39億円(融資含む)

・投資家:スズケン(リードインベスター)、NCBベンチャーキャピタル、大塚製薬工場など

ここに注目👉2021年に医薬品卸のアルフレッサと資本業務提携を結んだものの、2023年2月に解消。そして、新たにアルフレッサの競合であるスズケンと資本業務提携を結び、協業していくことを発表しています。

医療機関ではPHS(簡易型携帯電話)が活用されていたものの、2023年3月にソフトバンクがサービス提供を終了したことで、国内事業者はゼロになったため、別のコミュニケーション手段に移行していく必要があります。

「日病モバイル」では、通話機能だけでなく、2024年4月から開始される医師の働き方改革に対応すべく、勤怠管理や業務効率化機能を提供しているため、事業拡大に追い風が吹いています。

5. クリーンエナジーコネクト:グリーン電力ソリューション

・シリーズC

・資金調達額:31.8億円

・投資家:環境エネルギー投資、伊藤忠商事、関西電力

ここに注目👉累計資金調達額は233億円に。今回の資金調達はファーストクローズで、さらなる資金調達にも動きます。

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6月の国内資金調達トップ5はこちら

サムネイル画像:Unsplash/Jingming Pan

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