夏目漱石の明暗を読んで、NewsPicks全社ミーティングのコミュニケーションを考え直した話

2023年7月15日
全体に公開

先日、夏目漱石の明暗を読んでいたのですが、なんというか登場人物のコミュニケーションが全く噛み合っていなくてもどかしい気持ちになりました。主人公の津田を軸にした様々な人物とのやりとりが、狐と狸の化かし合いというか本音と建前というか、、でも身につまされる気持ちも少なからずあって。

人間心理とは時代を飛び越えて普遍的なものだとも感じます。

そして読み進めていくと、この噛み合わなさのプロセスが、味わい深く粒立ってくることにも気づきます。むしろこのプロセスなくしてコミュニケーションは成立し得ない。

結局はコミュニケーションの本質とは、情報を正しく届けることではなくて、情報の伝達を通して裏側にある感情を共有し交換していくプロセスこそがその本質なのではないか。そう思いました。

コミュニケーションが噛み合わなくて途方に暮れることは日常的にそこそこありますし、そしてその過程でやきもきや焦りや、感情を揺さぶられることも同じくらいあります。

でも考えてみると、このこと自体はなんら非効率ではなくて、むしろなくてはならないものではないか。

組織としてのNewsPicksに棲み、そこで得た身体感覚

話は変わりますが、NewsPicksでは毎週金曜日午前中の1時間を使って、全員参加の会議体を運営しています(NPALL(エヌピーオール)と呼んでいます)。

そこでは経営アジェンダの進捗、組織変更や人事の周知といった固めのテーマから、NewsPicksのプロダクト価値の議論やイベント・出版などの告知、コンテンツのサイドストーリーなど幅広にアジェンダをセットしています。

そのアジェンダの中に、毎月定例でNewsPicksの各事業の業績や目標の進捗を話すパートがあります。

その中で私は全社業績についての進捗を話す担当なのですが、どうにも喜怒哀楽とセットで話すのが苦手で淡々としてしまいます。(例えば目標達成していて、(☝ ՞ਊ ՞)☝ウェーイ というのが、自分のインターフェイスだとどうしてもできない。心の中では感情が爆発していても自分の殻を破れない)。

要するにひたすらに淡々と情報共有になってしまっているわけです。

ただ私自身、そのことに特段問題意識を感じてもいませんでした。自分の役割は過不足なく情報を伝えることで、それで伝わればそれで良いと。

でもその伝え方の精度にいかに気を配っても、その後の組織の雰囲気というか、いまいち擦りあっていない感覚が多く、もやもやと物足りなさも覚えていました。

そうなると私は、再度情報の正確さに気を配るわけですが、どうにもはまらない。その延長に解はない気がする。それが夏目漱石の明暗を読み、改めて言語化できた気がしました。

結局私のコミュニケーションは情報を正しく渡すことにフォーカスし、感情の共有をしていないからではないか。コミュニケーションとは情報の交換ではなく、情報の交換を通した感情の交換がその本質ではないかと。

そんなことをもやもやと考えまして、先日のNPALL(前述の全社会)では、上に書いたようなことをついにそのまま感情共有しました。オンラインでのPCに向かっての共有だったので後味や手応えはよくわからなかったですが、でもその直後に何人かのメンバーにDMをもらい、そしてそのうちの1人がトピックス担当の豊岡さんでした(それがこのトピックスを始めるきっかけになりました)。

隣の同僚の日報を読む感じで

このトピックスはこんなふうに、私がNewsPicksに棲む中で起こる、身辺雑記的な情報の受け渡しを自分の感情を乗せて伝えていく。そしてその先に何らかの読み手にとっての含意を染み出させていきたい。

そして副次的に、NewsPicksの日常も追体験してもらえるようなトピックスにしていきたいとも思います。

これは、どういう体験に近いだろう、、、あえていうなら他人の日記、いやそこまでの背徳感も無いので日報か。まさに隣の同僚の日報を気軽に読む感じで、今後ともお付き合いください!

トップ画像:Unsplash(Eric Masur撮影)

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