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【塩野誠】GAFA v.s.国家、勝つのはどちらか
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山岸 広太郎慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長
 本書は経営コンサルタント及び投資家としてグローバルに活躍する塩野誠氏が、国際政治の視点からデジタルテクノロジーが経済、社会にもたらすインパクトを俯瞰した、デジタル社会に関する教科書である。  現在、米中のデジタルテクノロジーにおける覇権争いが激しくなっているが、第一章では、技術獲得による国家の覇権争いがデジタルテクノロジー登場のはるか以前から続いてきたことが描かれている。しかし、デジタルテクノロジーほど国家覇権と技術革新がこれほどまでに一体化している時代は今までにないだけに、米中対立の行方は読みにくく、注視し続ける必要がある。  また本章ではPCやiモードで世界をリードした日本のハイテク産業がなぜデジタル革命で成功できなかったのか、国家の覇権争いとは別の視点でも考察している。筆者は米国のDARPAがスタートアップ的な手法でインターネットやGPSなどのイノベーションを生み出したのに対して、日本の科学研究費や総合電機メーカーの意思決定が保守的でリスク回避傾向であったことを指摘している。ともすると日本の起業家側の力不足と片付けられやすい問題だけに、この指摘に対する政財界の意見を聞きたいところである。そして日本ではVCなどエクイティでのリスクマネーの供給が少ないという筆者の指摘については、私も同感である。ここ5年で国内のVC投資の金額は数倍に増えてきたが、米中とは一桁以上の差がある。より多くのリスクマネーをスタートアップに供給できるかどうかが今後の日本のデジタル戦略の成否を決するだろう。
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