太陽光の話【ChikusaとAmamiの交換ノート P2】
前回の交換ノート(プロローグ&P1)をお読みでない方は、まずこちらをどうぞ!
さてさて先日、あまみんこと中村天海さんと、初の対面を果たしてきました!
そんなあまみんと3時間ほど意見交換をしていたのですが(かなりしっかりした考えをお持ちで、会話が弾む弾む!)、途中で、東京都の新築戸建て太陽光義務化の話題に。
太陽光発電にも、批判的な目線を向けるべき?
千種「12月1日から東京都議会定例会が始まりました。都は、新築戸建て住宅への太陽光パネル設置“義務化”に向け、関連する「環境確保条例」の改正案を提出しました。
そもそもこの”義務化”は、一定の延べ床面積以上を建築するハウスメーカー・ディベロッパーに対し、ある程度の割合を義務付けるもので、条件の悪い所にまで太陽光の設置を義務化するものではないことを把握しておく必要がありますね。」
千種「おっしゃる通りです。批判的な目線を持つことはとても重要だと思います。
ただ、重要なのはバランス。
とある物事に対して、肯定的な見方・批判的な見方、双方の視点を取り入れて考えていくことが必要です。
私たちは、両方の意見を踏まえて自分の意見を決める必要があります。
そのために、メディアにはバランスのとれた報道が求められますね。」
太陽光は、何年で「環境的に」元がとれるのか
千種「太陽光発電といえば、初期投資額を何年で回収できるのか、という金銭的なメリットも話題になりますが、あまみんは、環境的な部分が気になったのですね。
研究的な言葉では"Energy Payback Time"といいます。
"何年で環境的に元がとれるのか"ということですね。
2000~2013年になされた研究をまとめた論文(*2)によると、平均1年~4.1年でエネルギー的には元がとれる、という結論になっています。
計算には、以下のようなデータが使われています。
<年間の発電量>
「Performance Ratio(*3)」「使用年数」「日射量」「モジュールの効率(素材によって異なる)」など から計算
一方、それと比べるのは
<作るのに使われたエネルギー>
製造~廃棄まででどれくらいのエネルギーを使って作られたのか。
具体的には、原材料の取得、処理、製造、モジュールの製造、運用などにかかるエネルギーです。
なお、輸送や廃棄に伴うエネルギーは、算入すべきほど大きい値にはならないとされています。
しかし、研究によっては結果報告に含まれていない研究もあったそうで、今後はさらなる明示が求められます。
世界的に、企業はサプライチェーン全体における温室効果ガスの排出量を算定することが求められる流れになっています。
太陽光発電についても、輸送や廃棄に伴うエネルギーもきちんと算出して報告される流れになっていると思われます。
数年すれば、そのデータも集まってくると思いますので、今後もしっかりとデータを見て判断していく必要があると思いますね。」
千種「その通りです。
しっかりと自分の考えを紡いでいるあまみん、とても頼もしいです。
自分が大学1年生の時こんな風に考えられてたかと言われると微妙^^;。素晴らしいと思います。
批判的な目線とスピード感の両立を
気候変動の緩和のため、世界はネットゼロに向けて既に動き出しています。
もちろん批判的な目線で、議論をしていくことは必要ですが、
スピード感も大切です。
原材料こそ海外に頼ってしまうものの、設置してしまえば自国内でまかなえるエネルギー源である点も、考慮に入れていく必要があるでしょう。」
交換ノートは、つづく!
<引用文献>
(*1)東京都環境局 太陽光発電設置「解体新書」・Q&A(2022年12月2日閲覧)
(*2)(*3) Khagendra P.Bhandari , Jennifer M.Collier , Randy J.Ellingson & Defne S.Apul (2015 ) Energy payback time (EPBT) and energy return on energy invested (EROI) of solar photovoltaic systems: A systematic review and meta-analysis, Renewable and Sustainable Energy Reviews , https://doi.org/10.1016/j.rser.2015.02.057
(*3)太陽光発電総合情報 太陽光発電の発電量を算出(2022年11月30日閲覧)
(*4)温室効果ガスインベントリオフィス 2020年の割合
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