Amazonの「アレ」が、ついに英国の空を飛ぶ?:プライム・エアによる配送を発表
ついに来る。
イギリス居住歴約7年、元アマゾン中の人歴約9年の筆者の心は今、オーケストラの伴奏付きで踊っている。去る10月18日、アマゾンは、2024年内にイギリスでのドローン配送をスタートさせると発表した。これにより、イギリス国内のアマゾンの顧客はパッケージをドローンで受け取るオプションが提供されるのである。プライム・エアは、これまで米国内でのドローン配送に焦点を当て、米国内の一部地域でのみ展開していたが、米国外での展開は、イギリス市場(および、同時に展開されるイタリア)が初めてとなる。このプライム・エアというサービスは、顧客へのサービス向上を追求するアマゾンの継続的な取り組みの一環であり、既に運用されている自社配送の仕組みに、ドローン配送を追加するというものである。これにより、ドローンは同日配達を目的として展開され、イギリス国内の一部のフルフィルメントセンターから提供されるようだ。その結果、筆者を含めたイギリスのアマゾンユーザーは、より速い配達のサービスを受けることができる。
新たに開発されたドローンMK30
また、プライム・エアは、新たなドローンデザインを発表した。MK30という型番の、この新しいデザインは以前のモデルに比べて静かで小さく、そして軽量であるという。このモデルは、軽い雨であれば問題なく飛行でき、1時間以内に約2.2キログラムまでのパッケージを配達できるという。ドローンの飛行操作も、より効率的になっており、より多くの地域で利用できるらしい。ドローンの形状のイメージと、実際の写真が公式ページに公開されているので、必見である。
(上記画像はイメージ画像。MK30ではありません)
イギリス政府も大喜び
このアマゾンによる、ドローン配送の英国展開の発表に、心を踊らされたのは、筆者だけではなかったようだ。
アマゾンの発表の中では、イギリス政府から受けた協力も強調されており、UK Aviation Minister(英国航空省大臣)であるバロネス ヴェアによる公式コメントを載せている。
"アマゾンの今回の発表は、2030年までに英国で商用ドローンが大衆化させるという共有ビジョンを実現するためにイギリス政府と民間企業が協力して実現した素晴らしい事例である。"
イギリス政府も、このアマゾンのドローン配送の展開がイギリス経済の発展に貢献し、環境に優しいゼロエミッション技術を促進し、新しい技術の安全な利用方法を確立する手助けとなると期待している。
なぜイギリスとイタリア?
ここで、読者の中にも疑問が浮かぶかもしれないが、なぜイギリスとイタリアなのだろうか。筆者は、元アマゾンの中の人、かつイギリスを拠点として勤めていた過去をもつが、ドローン開発や配送事業には携わっていなかった。しかし、かなり前に、イギリスのアマゾン社内で社員を対象に、ドローンのテスト飛行を行うためのボランティアを募集していたのを覚えている。ボランティアに選別された社員は、自宅の庭スペースをドローン試験のために貸し出す、といったものだった。私は参加していないが、当時の噂によれば、自宅の庭の一画に、ドローンが降りてきたり上がったり、をひたすら繰り返す、というものだったようだ。ちなみに、近隣の住民から「あれ(ドローン)は何だ?」と聞かれたら「気象実験です」と答えるように、という指示まで出ていたという。
これは飽くまでも筆者の個人的な推測であるが、以下の3つの要因でイギリスとイタリアが最適と判断されたのではないかと思う。
1. イタリアとイギリスは、ドローン配送の規制環境が比較的整備されている国である。アマゾンにとり、新しいテクノロジーの導入に際して適切な規制と政府の協力が重要であり、この両国はその点で良い先例となり得た。
2. イタリアとイギリスは、比較的小規模な国土であり、地理的にも設備の展開が比較的容易である。都市部と郊外地域どちらも、地理的形状に大きな差がない(高低差があまりない。高い建物が比較的少ない、など)ため、ドローンによる配送が有益であると判断した
3. 庭文化。イギリスは特に有名であるが、実はイタリアもこの点は似ている。歴史や文化的背景から、庭のある世帯が多い。実際、筆者の住むフラット(アパート)では、敷居のない庭ではあるものの、個別に区画が割り当てられた庭をもっている。庭は、ドローンを着陸させるには、最適な場所である。
これらの要因が、Amazonがイタリアとイギリスを新しいドローン配送拠点として選んだ背後にあると憶測する。
早く来い来い、プライム・エア
アマゾンのプライム・エアのイギリスでのドローン配送は、新たな技術の導入と環境への配慮が共に進化する一例であり、今後のイギリスのeコマース市場にも新たな革命をもたらすことになるだろう。そして、何よりも、自宅の庭にアマゾンの配送ドローンが離着陸する姿を見られる2024年が待ち遠して仕方がない筆者なのである。
参考1:
参考2:
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