【2024年はこのカラー】来年の色、決まる〜カラーを活かした印象術〜

2023年12月19日
全体に公開

こんにちは!ファッションスタイリストの神崎裕介です。

毎年、この時期になると「今年の漢字」や「流行語大賞」などが発表されますよね。税、というのはテンションの上がらない漢字でしたが、、

ファッション業界でも毎年この時期になると気になる発表があります。それは「来年の色」

PANTON(パントン)というアメリカの企業が毎年、カラーオブザイヤーという来年の流行色を公表するのです。以前日本で人気になったパントン携帯で名前を知ったという方も多いかも知れません。

パントンは”パントンマッチングシステム”と呼ばれる色見本帳で有名であり、事実上それが世界の標準になっているため、カラー産業において大きな影響力を持っています。

そんなパントンが選定したカラーは「ピーチフィズ」

この色を選んだ理由について、同社ヴァイスプレジデントはこう語っています

「2024年の色を選ぶにあたり、充実した人生を送るために不可欠なのは、人生を楽しむための健康、スタミナ、そして強さを持つことであることを再確認しました。生産性や成果がしばしば強調される世の中においては、内なるものを育むこと、そして休息をとり、クリエイティビティを発揮し、人と人とのつながりを感じる瞬間を見つけることも大切なのです。
カラー・オブ・ザ・イヤーは、私たちの願望、愛する人たちのそばにいたいと願う気持ち、自分らしさを解放することで得られる喜びを表す色でなければならなかったのです。〜中略〜思いやりと共感のメッセージを伝える色、人やモノを育てる色、人々をひとつにし、触覚に訴えかける温もりを感じる色である必要があったのです」

このカラーオブザイヤーは、まさに世相を反映して選ばれます。世界情勢や経済状況、世の中の人々のムードを感じつつ、それを前に進ませる力を持った色、そんなテーマで選ばれています。

上記のコメントからピックアップする部分は人によってそれぞれかと思いますが、僕が注目したのは「生産性より育み」「休息」「温もりを伝える」というポイントです。

パントン作成のムービーより

コロナ禍において、多くの人がその生活スタイルを変えることを余儀なくされました。思いがけず自分や家族の時間を持てたことで、その大事さやありがたみを感じたというケースもあったでしょう。

一方で、オンライン化によって人とのコミュニケーションが疎遠になったり”どこでもオフィス化”によってより忙しくなった、安らぎの場所がなくなってしまった、という話も。

世の中が再起動したことによって人々の交流が復活し、それらの価値観がミックスされてきた。そんな中で多くの人が改めて感じたのが、その3つだったのではないかと思います。

「ピーチフィズ」を使った印象術

最も期待されるのは「思いやりと共感」「温もりと安心」といった印象効果になります。

昨今グリーンがトレンドカラーの座を占めていたように、強烈な色よりも落ち着いた色味や優しい色味が人気を集める傾向があります。

ボッテガヴェネタより

人々が温もりや安心感を求めていることは間違いなく、ピーチフィズも色味は違えどその延長線上にあると考えて良いでしょう。

ビジネスの現場でも、先述したように生産性よりも休息を取ってクリエイティビティを発揮することが期待されていきます。また前回のトピックスでも書いたように、親しみや共感といった要素も大きな影響力を持ってきている。

また、淡いピンク系の色味は「クールダウンピンク」とも呼ばれ、安心感を与える色としても知られています。

パントン作成のムービーより

この特徴を持ったピーチフィズのアイテムを纏うことで、対面においては相手への思いやり、共感を示し、温かみのある印象で安心して交渉に臨める心理を作る効果が期待できます。

強い色味を圧にしてひたすら押す、というのは現代的なアプローチではありません。お互いに意見を交換し、より良いものを目指す。そんな空気には共感と温もりが不可欠です。

相手に威圧感を与えることが交渉を有利にする、という考え方ではクライアントの満足感は高まりません。専門性や権威性は保ちつつも自由な空気で意見を引き出し、先方が「自分の思いを採用してくれた」と感じてこその納得感です。

僕自身もコーディネートに意図的に「隙」を作って完璧にしないよう、つっこめる空気を残していますし、スタイリングをするときも最終的にクライアントが自分で決める流れを意識しています。

ピーチフィズは温かみと安心感を備え、空気を穏やかにして意見がしやすい空間を作る。そんな流れを作ることに寄与してくれそうです。

そして、コーポレートカラーやパッケージなどで象徴的に採用することで、企業や商品といった大きなくくりで包容力のある、温かみのある印象を打ち出すこともできるはずです。

具体的にどうコーデする?

いわゆるTHEビジネスカラーではないので、特に男性はその取り入れ方に悩む方も多そうです。

まず考えてみたのは、顔まわりに限定的に入れてみるコーディネート。例えばネクタイが筆頭になるでしょうか。

https://www.shipsltd.co.jp/g/g118214562/?select_color=32より

プレーンな白シャツと合わせてもいいですし、ブルーのシャツなどもはっきりしていいと思います。

このスナップのように、ドットや模様の入ったものの方がアクセントになるのでしっくり来る、という方もいるかも知れません。

またはシャツをピーチフィズに。チャコール系のカラーは特に相性がいいので、スーツなどで合わせるのがオススメです。

メンズビギHPより引用

女性もシャツでの採用が安定ですが、思い切ってジャケットやスーツでチョイスしてみても良いですね。

オンワードHPより引用

インナーは白でよりビジネスモードになりますし、淡いブルーも爽やかな印象で良いです。

あとはやはりアクセサリー。顔まわりに配置して、常に視界に入る=印象を与え続けるのが効果的です。

Dior HPより引用

ざっと写真を見て頂いただけでも、前述したような温かみや安心感といった印象を受けたのではないでしょうか?これを連続的に印象付けることで、ビジネスにも期待する効果が生まれてくるのです。

知っていて使うのと、知らずに使えないのは違う

これはファッションだけではなく通ずることだと思うのですが。

今日ご紹介したピーチフィズとその効果ですが、自分には似合わない、仕事上難しい、など様々な理由で採用に至らないこともあるでしょう。判断は人それぞれ。全く問題はありません。

ただ、知識や効果として知っている上で主導的に使う、使わないの判断ができた方が良い。知らずに使えないこととは大きな違いがあります。

全面的には無理だけどアクセントカラーでなら、とか人を見てトレンドカラーを意識しているのかな、とか、知っていることで使い方や見え方が変わってくるはず。

ファッションのトレンドも必ずしも採用しなくていい。僕もスルーすることは多いです。でも知識として知っておくと、あれはそういうことだったのか!的な気付きで世界が広がるし、自分に合うと思ったときには取り入れられる。

「なんとなく知っておく」だけで全然OKです。ぜひ気軽な気持ちでファッションに向き合って頂けたら嬉しく思います。

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神崎裕介

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