DAOの魅力:会社員がDAOで活動する理由

2023年7月20日
全体に公開

はじめに

PM DAOでValue DiscoveryというプロダクトのContributor(開発・運営メンバー)をしているHasegawaです。

巷でDAOという組織のコンセプトが話題になってきていますが、「概要は知っているけど、実際どういうものかよくわかっていない」と感じている方が多いのではないでしょうか。今回、一会社員であり、プロダクト開発経験のない私がPM DAOという組織に何を求めて参加し、どのような視点で活動しているのかを紹介したいと思います。DAOという組織で活動することの魅力を伝えられれば幸いです。

DAOって何? という方はPM DAO Founder早川さんのこちらの記事を参照ください。

 

DAOに求めているもの、求めていないもの

まず、DAOに求めているものを説明するよりも前に、求めていないものを明確にしたいと思います。否定したいことを先に伝えることで、肯定したいことをより明確に伝えることができるからです。

私がDAOに参加したのは「高時給の副業を求めて」ではない、ということです。

「えっ? お金にならないのに仕事するの? ボランティアと同じ?」と思われるかもしれませんが、少し違います。厚生労働省の資料で紹介されている定義で言えば、ボランティアは「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」です。しかし、私がDAOに参加して活動している目的は、金銭的ではない個人的な利益によるものであり、ボランティアのような社会貢献の意識はありません。

それでは、何を求めてPM DAOで活動することを選んだのか? その理由は以下の2つに集約されます。

1. 未経験のロールにチャレンジできること

2. 自分が関わりたいと感じた魅力的なプロダクトに関われること

以下では、それぞれの理由について詳しく説明をしていきます。

 

1.未経験のロールにチャレンジできること

企業に所属して働く会社員としては、なかなか挑戦できないことや難しいことがあります。その一つが、新たな、それまで会社に存在しなかった役割(以下、ロール)にチャレンジすることです。

大企業ほど機能レベルでの分業が進んでいます。その中で、一人ひとり特定のロールが定義され、そのロールを果たす責任が与えられます。その結果、自分のロールを超えた挑戦は必然的にしにくくなります。

私の場合、その挑戦したい役割はプロダクトマネジャー(以下、PM)でした。PM DAOに参加する前、私の会社では新規事業開発(プロダクト開発)のプロジェクトが立ち上がることになりました。しかし、社内にはPMのロールは存在せず、経験者もいませんでした。「このままじゃ、まともなプロダクト開発なんかできない! なんとかしなければ」と思い、社外にプロダクトマネジメントを学べる場を探して彷徨っていたところ、出会ったのがPM DAOでした。

PM DAOでは多様なスキルやバックグラウンドを持ったメンバーが在籍しています。PMの早川さん、プロンプトデザイナーのしょーてぃーさん、UXリサーチャーのYipingさんなど、多くのContributorと一緒に、「Value Discovery」というプロダクトの立ち上げに携わらせていただきました。プロダクト開発の経験もなく、UXについても知識が乏しい状態でしたが、Contributorの皆さんのサポートを受けながらAssociate PMというロールでプロダクト開発に参加しました。

企業で働いていると年次が上がるほど新しいチャレンジをすることは難しくなります。一方で、不確実性が高くなっている現代のビジネス環境では、未経験のロールに挑戦することは年齢問わず必要になっていきます。DAOはそのような既存のロールを超えたチャレンジの場となり得ると私は考えています。

challenge a new role

 

2.自分が関わりたいと感じた魅力的なプロダクトに関われること

PM DAOの中には複数のプロダクトがあり、プロダクト開発チームごとの募集人員次第ではありますが、手を挙げればどのプロダクトにも参加することができます。日系製造業で働いている私は「組織から与えられたミッションを遂行する、選択権はない!」という働き方に慣れきっていましたが、PM DAOでは自分がパッションを持てる魅力的なプロダクトを選ぶことができます。

私の場合、これから本業でプロダクト開発に関わる予定だったため、関連性のあるプロダクトに参加したいと考えていました。その時にちょうど開発が始まったのがValue Discoveryでした。

Value Discoveryのコンセプトを聞いた時、「これが今まさに、私が本業で求めていたものだ!」と感じて興奮しました。私は本業で新規事業開発の企画部署に所属しており、社内から新たなアイデアが出てこないことに悩んでいました。アイデアを形にすることの難しさ、それを社内全体で広く募集することの困難さを実感していました。その中で、GPTを使ったValue Discoveryは、新規事業開発の企画者である自分のバーニングニーズと完全に一致していました。自分が必要とするプロダクトに関わるチャンスだと感じ、二つ返事で参画を決めました。

Passion led me DAO

 

終わりに:DAOという新たな働き方

本記事を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。今回はDAOという組織に参加している一個人として、その魅力を紹介させていただきました。今回紹介したのはDAOの一側面に過ぎませんが、参考にしていただければ幸いです。

さて、最後に私が可能性を感じている「DAOという新たな働き方」について、少しだけ私見を述べさせていただきます。

初めてDAOというコンセプトに触れたとき、私は未来学者である故アルビン・トフラー氏が定義した「生産消費者」が有機的に繋がった組織形態を思い浮かべました。「生産消費者」とは自分自身の使用や満足のために商品やサービスを生み出す人々のことを指します。これは厳密にはDAOとは異なる概念です。

しかし、DAOと生産消費者には共通点があります。それは、資本主義から一歩離れた営みであるという点です。もちろん、DAOや生産消費者の活動から金銭的な経済が生まれることはありますが、彼らを駆動しているのは必ずしも金銭的利益ではありません。名誉や資格、あるいは単なる満足感が報酬となることもあります。つまり、報酬系が現代の資本主義経済とは異なる組織だと言えるかもしれません。

私は、この組織の報酬系が資本主義経済と異なることが重要だと考えています。山口周氏の著書「ビジネスの未来」によれば、資本主義には経済合理性の限界が存在し、その範囲を超えた問題(環境問題や社会問題を含む)は資本主義では解決できないとされています。しかし、逆に考えれば、資本主義経済によらない報酬系を持つDAOや生産消費者の活動は、そのような問題を解決する可能性を秘めていると言えそうです。

まとめると、DAOは、PM DAOに参加した私のように新しい経験を積む場にもなり得ますし、貢献に応じて金銭を得る場にもなり得ます。また、人間同士のコネクションに価値が生まれる場にもなり得ますし、先に上げたような経済合理性を超えた問題を解決する可能性を持つ組織でもあります。もし、DAOという組織での新しい働き方に少しでも興味が出てきたら、自分がパッションを持てるDAOにぜひ参加し、Contributeしてみてください!

また、本記事を読んでDAOの中でも特にPM DAOに興味湧いた方は是非参加してみてください🙏

応援ありがとうございます!
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