新規事業人生の始まりの最大の出来事

2021年11月12日
全体に公開

昨日、「起業52」を公開させていただきました。NewsPicksトピックスの「メンバーの方には全36頁」を、「全体には抜粋した4頁」を公開です。

さっそくコメントやDMもいただきました。メッセージいただけたみなさん、ありがとうございますっ!そして、とくにいつもコメントをくれる西峯さん、たくさんの、そして詳細なメッセージ、本当に、ありがとうございますっ!感謝、深謝。励みになります。

ということで、今回は、公開を受けての続きと言うことで、補足の投稿をさせてください。該当頁は、全体に公開した抜粋4頁のうちの「ミスミの頁」です。

以下がその頁なのですが、キャプションに、「『17』の一社目、ミスミの頁。この頁だけで1時間しゃべれる。行間、図の背景にある情報量が大量のため、口頭補足が必要な頁」と書かせていただきました。自ら「口頭補足が必要な頁」と書いた通りなので、口頭(動画)ではないのですが、手打ち(テキスト)で補足したいと思います。

「17」の一社目、ミスミの頁。この頁だけで1時間しゃべれる。行間、図の背景にある情報量が大量のため、口頭補足が必要な頁。

この頁は、ミスミ時代、今から25年前の27歳当時に立ち上げた「動物病院向けアスクル」のような事業の立ち上げを題材にした頁です。会社でアスクルを使うとしたら、コピー用紙やクリアファイル、お水などを発注するのではないでしょうか。それが動物病院になると、注射器やガーゼ、包帯、ペットフードなど、動物病院で必要となるエトセトラを発注することになります。そういった「動物病院で使われる一切合切を取り揃えたカタログ通販」でした。(当時は紙のカタログを配布しFAXで注文を受けるビジネスモデル。現在はEC)

この事業は、金型部品の専門商社であるミスミにとって、初めて手掛ける飛び地の新規事業でした。立上げは1997年、守屋ともう1名、合計2名の体制で立上げを行い、初年度3億円の売上、その5年後、2002年には総勢6名の体制で、全国8,000件の動物病院のうち6,000件を顧客とし、売上20億円まで持っていくことが出来ました。(守屋は2002年に退任)

この事業の立上げの前後、そして立上げ後の成長過程において、たくさんの失敗と、いくつかの成功を経験しました。その失敗と成功について補足させてください。詳細にしゃべると「この頁だけで1時間しゃべれる」という分量なので、「時系列に失敗と成功の体験をメモ」というポイントを絞ったざっくり補足なのですが、少しでも役に立てる部分がありましたら幸いです。(成功のメモは【〇】失敗のメモは【✕】で記載)

【〇】予てより本業(金型)の顧客が海外に移転をしていたため、国内において「本業ではない市場での新規事業」が必要となり、飛び地での事業創出を行うことに。 →なぜ新規事業をやるのかが明確だったのが良かった。

【〇】飛び地での新規事業体験の無かったミスミは、どうやって飛び地の事業を立ち上げればいいのか、マッキンゼーに相談した。マッキンゼーは、どんな事業を展開するのが良いか判断するためのモノサシを与えてくれた。モノサシは「①非効率が散在している。②その非効率を集約することが出来る。③そこに経済原則が働いている」という市場に、カタログ通販で参入するのがミスミの勝ちパターン、というものだった。 →このモノサシがあったことで、なんの事業をやるべきか判断が出来た。モノサシがなく、何を生んでいいか定まらずに混迷する事故を避けることが出来て良かった。

【✕】モノサシに当てはめて考えたところ、メディカル、フード、オフィスサプライの順で参入することを遅延なく決めることが出来た。第一優先のメディカル市場に向けてチームを組成、参入を果たした。ただしチーム体制はミスミの人間だけ、つまり金型の人間だけでチームを組成した。 →社内で異動できる人間が担うのではなく、事業を成功させるための最適な人員を獲得する執念を持つべきだった。具体的には、新規事業のプロと業界のプロを揃えた体制を確保すべきだった。これをやらなかったのダメだった。というか、体制は与えられるものであり、構築するものではなかった。

【✕】会社で承認された事業なので、盲目的に会社の事業仮説を強化するような動きばかり行っていていた。その日の業務をこなせば、給料を満額もらえることが当たり前すぎて、必死に稼ぐと言うことに鈍感になっていた。 →新規事業は十中八九うまくいかない。だからこそ壁にぶち当たっても負けないだけの、自分事しての情熱をもって挑戦する必要だったのに、サラリーマン行動の延長で仕事に臨んでいた。事業家としての根っこがダメだから何をやってもダメだった。

【✕】結果、当初参入のナースヘルプというコンセプトの事業は失敗。さらに、クリニックヘルプというコンセプトでピボット展開したが、それも失敗。 →テクニカルな話に終始、事業立上げにおいてもっとも大事な意志、在り方が未熟であった。致命傷だった。

【〇】心を入れ替えて頑張ったら、動物病院市場において突破口を見つけることが出来た。 →動物病院で実際に働き、解像度を上げて考えることが出来るようになったことで、自分事として臨むことが出来たのは良かった。

【✕】立ち上がった動物病院向け事業であったが、ナースヘルプ、クリニックヘルプと二回連続失敗していた守屋は要注意であり、毎回の事業報告会で問われる細かな質疑への対応が、タスクとして重くのしかかった。 →顧客を見ている暇がなく、社内ばかり見ているという大企業の失敗あるある状況。それでうまくいくわけがない。

【〇】心を入れ替え顧客を見るように頑張り、顧客に仮説をぶつけ、学び、磨いて再度ぶつけ、学び・・・という仮説検証サイクルを高速で回すことを、社内会議よりも優先させた。 →当たり前のことを、徹底的にやり切ったら勝機を見出せた。四の五の言わずに普通のことを普通じゃないくらいやることの大事さを身をもって痛感。

ってな流れで、あっちこっちにぶつかりながら、何とか立ち上げることが出来たのでした。ちなみにこの体験は、自分の新規事業人生の始まりの最大の出来事でした。自分が手がけた事業のビフォーアフターで、業界の流通がガラッと変わったのです。この「かっ飛ばした感」の効能は甚大で、その後の自分の新規事業特化人生を確定させた出来事でしたっ!

と、長々書いてきたのですが、自分の筆力ではイマイチ迫力に欠ける立上げ物語になってしまったので、いつの日か、直接お話しさせていただく機会をいただけたら幸いです。

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