全く違う産業に進化しようとしている自動車産業2

2022年6月20日
全体に公開

トヨタやフォード、GM、VWなど既存の自動車メーカー大手の電気自動車戦略をみると、基本的には電気自動車だろうがガソリン自動車だろうが、これまでの自動車という枠組み自体に変化はなく、動力がガソリンか電気かの違いであって、他にも水素など多様な選択肢があるんだと未だに主張しているトヨタなどのメーカーと、一気にEV車に舵をきって自らのビジネスモデルの変革を図ろうとしているメーカーに分かれてきている気がします。

トヨタは、自動車のものづくりや、これまでの販売網、サプライヤーとの関係性、そうしたものは動力が変わろうが活かせるのであって、EV車の生産をするといったってたいして大きな変化ではないと言いたいのだろうと思います。そして、カーボンニュートラルという目的の実現のためにはEV車だけでない選択肢もあるはずではないかという意見なのだろうと思います。事業モデルを根本的に変えようという機運はトヨタからは感じられず、動力源は色々な選択肢があるのでEV車はそのうちの一つ、自動車のものづくり・販売など基本的なことはこれまで通り変える必要は無いんだと考えているのではないかと思います。

車を単純に作って売るということでいうとこの考えは何らおかしな考えではないですが、テスラを筆頭に全く違う産業に自動車産業を進化させようとしている会社たちの動きを踏まえると、EV車の台頭について単純に動力源がガソリンとEV車の違いだけで、EV車メーカーなんて恐れるに足りないんだと考えていると、根本的に今後10年で日本の自動車メーカーはグローバルな競争に徹底的に負けてしまうことが危惧されます。

今足元は急速に自動車産業はビジネスモデルが根底から変化しており、EV車とガソリン車の戦いではなく、新たな自動車ビジネスモデルと従来型自動車ビジネスモデルの戦いであると言っても過言ではない変化が到来していると考えるべきです。

テスラと他の自動車メーカーとの特筆すべき違いとして利益率が高いことが挙げられます。テスラの営業利益率は20%近くありますが、過去営業利益率が約20%もある自動車メーカーは存在していないと思います。製造業全般で見ても営業利益率が20%を超えている企業は稀です。営業利益率20%でも自動車の価格としては十分競争力のある価格で販売できています。

同じ自動車事業を手掛けていて、トヨタは年間1000万台以上売っている一方、テスラはまだ年間200万台も売ってないにもかかわらず、時価総額でテスラの方が圧倒的に大きいのはなぜか?

単純にテスラの販売台数が今後伸びていくことを市場は期待しているだけでなく、これまでの自動車メーカーとは全く次元の違う利益率で販売台数が伸びていくことを期待しているわけです。そしてそのビジネスモデルはしがらみのない新興メーカーだからこそ実現できたモデルであって、既に出来上がった体制のある既存自動車メーカーは容易にマネできないものがあると考えらえているという、この視点を忘れてはいけません。

トヨタは単純に販売台数だけで言えばうちらだってEV車は作ろうと思えば作れるんだと思っているのだと思いますが、営業利益率20%を叩き出せる体制は現在のトヨタにはありません。トヨタとテスラは自動車メーカーとしてのビジネスモデルが全く違うと資本市場は判断しているのです。

では何がテスラとその他の既存メーカーと違うのでしょうか?次で見ていきたいと思います。

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
津覇 ゆういさん、他1603人がフォローしています