Teslaのビジネスモデル

2022年8月12日
全体に公開

既存の自動車メーカーはEVを動力源だけ違う車であり、所詮は車のものづくりの仕方や販売方法には変更は必要ないんだ。新興EVメーカーが出て来たって、我々もEVなんてすぐ作れるから問題ないと思ってる会社が多いように思います。トヨタなどはまさにこの主張を繰り返していますね。しかし、テスラが叩き出しているような利益率は、この発想では叩き出せません。

新興EVメーカーは自動車産業を根本的に変えていこうとしているところに目を向けなければいけません。資本市場もEV専業メーカーを高く評価しているのは全く違うビジネスモデルが出現しているからです。

(1)生産改革

既存の自動車メーカーのお家芸であった様々な生産面での先進性においてもテスラは先を行っています。

テスラはバッテリーや部品についても内製化を進めています。従来の自動車においてもガソリンエンジンなど基幹部品はトヨタも内製化していましたが、電気自動車でも同じで、基幹部品を内製化すること自体はそれほどおかしな話ではありません。

テスラは、EVのコスト競争力の要であるバッテリーを内製化し、量を売ることでコストを更に引き下げて価格競争力を身に着けています。

加えてギガプレスと呼ばれる超大型の鋳造プレスにより、ボディフレームを溶接無しで作ることを実現しています。これにより生産性の大幅な向上がなされています。

ヴォルクスワーゲンや中国メーカーなどが早速ギガプレスを生産ラインに取り入れようという動きを取り始めています。

(2)販売方法

テスラは2019年に販売店を全て閉鎖し、オンラインのみでの販売に移行しました。

ショールームの機能だけを持たせた店舗を今でも少数持っていますが、店舗では販売はしていません。

また、広告費をほぼ全く使っていません。

イーロン・マスク本人が広告塔とよく言われますが、会社としてはテレビCMなど一切打っていませんし、ネット広告も一切打っていません。

(3)メンテナンス・アップグレード

テスラ車は店舗に行かずとも、リモートでのソフトウェア更新を実現しています。新たな機能が追加されるようなことがあっても追加料金なくアップデートされます。あたかもパソコンのOSのアップデートをリモートで行うような感覚で実現しています。

(4)SaaS

テスラは月額料金を払えば様々なテレマティックスサービスを使えるサービスを提供しています。これにはカーナビ、衛星マップ、ビデオ&音楽ストリーミング、インターネットなどが含まれます。

例えばディーラーによる販売を止めて全てオンライン販売に移行するなど既存の自動車メーカでは実現できません。このように上記のようなポイントは既存メーカーが真似をしようとしても、既存のインフラや取引関係が邪魔をしてなかなか実現できるものではありません。そのことを資本市場はわかっているがゆえにテスラなど新興EVメーカーの株価バリュエーションが高くついている理由となっています。

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