実は凄いラインナップ。歴史映画・時代劇をテーマした京都ヒストリカ国際映画祭<見どころ紹介②>日本初上映『カラヴァッジョの影』『パーティー・オブ・フールズ』

2024年1月14日
全体に公開

2024年1月23日(火曜)から1月28日(日曜)まで、歴史映画・時代劇をテーマにした、海外からも注目度の高い国際映画祭「第15回京都ヒストリカ国際映画祭」が始まります。

この映画祭は、時代劇の撮影所を有する京都ならではの、ユニークな映画祭。今年は、来場者ゲストが復活するだけでなく、海外映画祭との連携企画やカンファレンスイベントも開催され、より充実度が増している注目の映画祭です。

今回から、数回に分けて、編集部の注目する作品や企画を紹介していきます。

※サムネイル画像は、ヒストリカワールド『カラヴァッジョの影』より

京都ヒストリカ国際映画祭とは
京都ヒストリカ国際映画祭は、「歴史」をテーマにした映画祭です。ここ京都は1200年以上の歴史が集積し、そこからは多様な文化が生まれてきました。その文化資産を滋養として発展してきたのが「時代劇」「歴史劇」です。いま、「歴史×グローバル×クロスメディア」というキーワードのもと、未来を見据え、国境を越えた人的ネットワークを築き、新たなビジネスチャンスを生み出してゆく映画祭を意図しています。(公式サイトより抜粋)

京都ヒストリカ国際映画祭
会期:2024年1月23日(火曜)から1月28日(日曜)6日間
場所:京都文化博物館
公式サイト

https://historica-kyoto.com/

ヒストリカワールド部門からご紹介

本映画祭も「国際」と冠がついているとおり、世界各国で製作された新作の歴史映画の中から、映画祭のテーマにあわせて選定された作品が紹介されています。今回、上映される4本は、すべてが日本初公開作品。なかには、世界で2度目の上映という作品も含まれていて、最新の世界作品に出会える貴重な機会となります。

映画ファンには、以前から、人気で注目を集める部門ですが、注目ポイントをご紹介します。

『カラヴァッジョの影』※日本初上映

(C)Luisa Carcavale

豪華キャスト陣が集結して製作された天才画家カラヴァッジョの伝記的作品

イタリア版アカデミー賞とも呼ばれる、第68回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で5部門ノミネートされ、ヘアスタイリスト賞、ヤング・ダヴィッド賞の2冠を受賞した豪華キャストでおくるイタリア・フランス合作の大型歴史劇。

主演のカラヴァッジョ役は、リッカルド・スカマルチョ(ナンニ・モレッティ監督『3つの鍵』ほか)、彼を庇護するカラヴァッジョ侯爵夫人コスタンツァ・コロンナ役をイザベル・ユペール、さらに、ルイ・ガレル(本映画祭で『スカーレット』も上映)など、オールスターキャストが揃う。

あらすじ
物語の舞台は“カラヴァッジョ”の名で広く知られるミケランジェロ・メリージが生きた1600年代のイタリア。カラヴァッジョは優れた芸術家である一方で、トリエント公会議からは反逆者と見なされていた。ローマ教皇は、カラヴァッジョが売春婦や泥棒、浮浪者を神聖な絵画のモデルとして起用していることを知り、バチカンの秘密諜報員(影)に調査を依頼する。カラヴァッジョは人殺しの罪で死刑判決を受け、恩赦を求めるが…。(公式サイトより抜粋)

この作品、キャストも豪華ですが、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、衣装、メイク、ヘアメイク等の賞にノミネートされてるように、歴史ドラマもさることながら、今回の映画祭の注目ポイントである映像の「LOOK」に注目が集まる作品。

文化の広がり、知識の広がり

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオの伝記的作品であるので、映画の世界観は、彼が残している作品からも影響を与えているだろうことは想像できます。日本でも、2016年、2019年と「カラヴァッジオ」の作品を観ることができる展覧会が開催されていたが、編集部はいずれも観ておらず、情けない。単に「映画」を観るだけでなく、自分自身の文化的生活のひとつとして捉えて、絵画、小説その他、これを機会に視野を広げて行くことを意識することで、さらに「みえる」世界は広がり、それは、今後の映画体験にも回帰していくことになると感じている。

作品情報
監督:ミケーレ・プラチド
出演:リッカルド・スカマルチョ、ルイ・ガレル、イザベル・ユペール
、ミカエラ・ラマッツォッティ、テドゥア
イタリア・フランス/2022/120分/英題:Carravaggio's Shadow

『カラヴァッジョの影』Carravaggio's Shadow 京都ヒストリカ国際映画祭作品紹介ページ
https://historica-kyoto.com/films/10863/

『パーティー・オブ・フールズ』※日本初上映

(C)photo Cécile Burban Prélude

ジャパンプレミアというか、世界で2度目の上映

映画祭の楽しみのひとつとして、プレミア上映が多い映画祭で、日本の映画ファンに先駆けて作品を観ることができるということがあります。今回上映されるヒストリカワールド部門の作品は、すべて日本初公開作品ですが、この作品はさらに、世界で2度目の上映という形になります。フランスの「Deauville Film Festival」でワールドプレミア上映がされ、今回の京都ヒストリカ国際映画祭が、2回目の上映とのこと。

あらすじ
毎年、女性だけの精神病院で開催される豪華で悪名高い「愚者たちの宴」には、政治家、芸術家、社交界の著名人が大勢集まる。自主的にこの施設に監禁されているという35歳のファニ。彼女の目的はただ一つ。この「狂った女性たち」の集団から母親を探し、共に脱出することだ。果たして、ファニは計画を実行できるのか…。施設内には現代的なヒロインたちのコミュニティが存在し、次第にファニは彼女たちとの友情を見出していく。1894年のパリを舞台に、史実がベースとなっている。(公式サイトより抜粋)

この作品も、キャスト陣はとても豪華で、メラニー・ティエリー(『あなたはまだ帰ってこない』)、マリナ・フォイス(『理想郷』『私は確信する』『分裂』)等と、錚々たる俳優が並びます。

また、作品世界も興味深く、1890年代パリの女性だけの精神病院が舞台。1889年にエッフェル塔が完成し、1894年にはドレフュス事件が起きている頃のフランスが時代背景となっていますが、当時の精神病院がどのようなものだったのか。なぜ、ヒロインは、母親を病院から救出しようとするのか。作品の英題は「Captives=捕虜、監禁される」というもの。

歴史劇を主題とする映画祭で、この作品を通じて、フランスのどんな「時代」を感じることができるのか。Life with movies編集部として、ワールド作品の中で、もっとも注目している作品が、この作品だったりします。

作品情報
監督:アルノー・デ・パリエール
出演:メラニー・ティエリー、マリナ・フォイス、
キャロル・ブーケ、ヨランド・モロー、ジョジアーヌ・バラスコ
フランス/2023/111分/英題:Captives

『パーティー・オブ・フールズ』party of fool 京都ヒストリカ国際映画祭作品紹介ページ
https://historica-kyoto.com/films/10864/

  【執筆者:藤井幹也】
映画情報「Life with movies」 の運営を担当。 年間400本以上の作品を映画館で鑑賞しつつ、国内で開催される映画祭(東京国際映画祭、大阪アジアン映画祭、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、フランス映画祭、イタリア映画祭等)へ参加している。作品配給側の視点ではなく、作品鑑賞側・観客側の視点を持ちつつ、客観性と多様性を持つ映画情報を届けるべく、と日々活動中。活動エリアは、京都を中心に、関西地域ですが、映画祭へ参加のため全国各地を飛び回る日々。

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