海外からも注目の高い歴史映画・時代劇をテーマした京都ヒストリカ国際映画祭<見どころ紹介①>日本初上映『スカーレット』『Filip』

2024年1月6日
全体に公開

2024年1月23日(火曜)から1月28日(日曜)まで、歴史映画・時代劇をテーマにした、海外からも注目の高い国際映画祭「第15回京都ヒストリカ国際映画祭」が始まります。

この映画祭は、時代劇の撮影所を有する京都ならではの、ユニークな映画祭。今年は、来場者ゲストが復活するだけでなく、海外映画祭との連携企画やカンファレンスイベントも開催され、より充実度が増している注目の映画祭です。

今回から、数回に分けて、編集部の注目する作品や企画を紹介していきます。

※サムネイル画像は、ヒストリカワールド『スカーレット』より

京都ヒストリカ国際映画祭とは
京都ヒストリカ国際映画祭は、「歴史」をテーマにした映画祭です。ここ京都は1200年以上の歴史が集積し、そこからは多様な文化が生まれてきました。その文化資産を滋養として発展してきたのが「時代劇」「歴史劇」です。いま、「歴史×グローバル×クロスメディア」というキーワードのもと、未来を見据え、国境を越えた人的ネットワークを築き、新たなビジネスチャンスを生み出してゆく映画祭を意図しています。(公式サイトより抜粋)

京都ヒストリカ国際映画祭
会期:2024年1月23日(火曜)から1月28日(日曜)6日間
場所:京都文化博物館
公式サイト

https://historica-kyoto.com/

ヒストリカワールド部門からご紹介

本映画祭も「国際」と冠がついているとおり、世界各国で製作された新作の歴史映画の中から、映画祭のテーマにあわせて選定された作品が紹介されています。今回、上映される4本は、すべてが日本初公開作品。なかには、世界で2度目の上映という作品も含まれていて、最新の世界作品に出会える貴重な機会となります。

映画ファンには、以前から、人気で注目を集める部門ですが、注目ポイントをご紹介します。

『スカーレット』※日本初上映

(C)CG CINEMA

ピエトロ・マルチェッロ監督のフィクション長編2作目

1本目の長編フィクション作品『マーティン・エデン』第76回(2019)ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出され、主演のルカ・マリネッリが最優秀男優賞を受賞したピエトロ・マルチェッロ監督。元々は、ドキュメンタリー作品の製作が国際映画祭で評価されていた監督ですが、前作『マーティン・エデン』でフィクション作品へ挑み、成功を収めてからの、この作品が2作目。ちなみに、この作品の前に2本、ドキュメンタリーを製作されていて、アリーチェ・ロルヴァケル監督、フランチェスコ・ムンズィ監督との共同監督作品『Futura』は、第74回カンヌ国際映画祭で上映されている。なお、本作『スカーレット』は、第75回カンヌ国際映画祭監督週間オープニング作品として、上映されている。

あらすじ
フランス北部。第一次世界大戦の退役軍人である父親・ラファエルと二人きりで育ったジュリエット。歌と音楽に情熱を注ぐ孤独で夢見がちな少女は、ある夏、「真紅の帆」がいつか彼女を村から連れ去ってくれると魔女から告げられる。その予言を信じ続けるジュリエットの運命やいかに…。(公式サイトより抜粋)

物語は、ロシアの作家、アレクサンドル・グリーンの小説『深紅の帆』(1923年)に着想を得た作品らしい。

主演のジュリエット・ジュアンを支える豪華俳優陣

この作品の主人公を演じるジュリエット・ジュアンは、映画初出演の初主演ですが、その脇を固める俳優陣が充実している。まずは、ルイ・ガレル。『オフィサー・アンド・スパイ』『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』と出演作品が日本公開されていますが、監督としても活躍していて、『イノセント』原題:L'INNOCENTが、第5回映画批評家月間で上映されていた。また、ノエミ・ルヴォウスキー(『マチルド、翼を広げ』)、ヨランド・モロー(『セラフィーヌの庭』)など演技派が揃って盛り立てている。

作品情報
監督:ピエトロ・マルチェッロ
出演:ジュリエット・ジュアン、ルイ・ガレル、ラファエル・ティエリー、ノエミ・ルヴォウスキー、ヨランド・モロー
フランス・イタリア・ドイツ/2022/99分/英題:Scarlet

『スカーレット』Scarlet 京都ヒストリカ国際映画祭作品紹介ページ
https://historica-kyoto.com/films/10861/

『Filip』※日本初上映

(C)TELEWIZJA POLSKA S.A. AKSON STUDIO SP. Z.O.O. 2022

この作品は、2022年9月にグディニア映画祭で初めて上映され、銀獅子賞を受賞したミハウ・クフィェチンスキ監督作品。(この時、金獅子賞を受賞したのは、ポーランド映画祭2023で上映された『サイレント・ツインズ』)

今年、新たに、京都ヒストリカ国際映画祭とポーランドのNNW映画祭との連携が実現したことで、上映できることになりました。

あらすじ
1941年、ワルシャワのゲットーで暮らす若きポーランド系ユダヤ人・フィリップは、銃撃戦に巻き込まれ恋人のサラと親戚を殺されてしまう。それから2年後、彼はフランクフルトの高級ホテルにあるレストランでウエイターとして働いていた。自らをフランス人と偽り、戦場に夫を送り出し孤独にしているナチス上流階級の女性たちを次々と誘惑していくことを、自分流の復讐としていたが、嘘で塗り固めた生活とその奥で見つけた新たな愛は、戦火の拡大と共に予想外の方向へと崩れていくのだった…。(公式サイトより抜粋)

ポーランドの作家、レオポルド・ティルマンド(Leopold Tyrmand)の半自伝の同名小説を映画化した作品。グディニア映画祭では、最優秀撮影賞も受賞しており、今回の京都ヒストリカ国際映画祭のテーマである「LOOK」に注目したい。

作品情報
監督:ミハウ・クフィェチンスキ
出演:エリック・クルム・ジュニア、ヴィクトル・ムトゥレ、カロリーネ・ハルティヒ、ゾーイ・シュトラウプ、サンドラ・ドルジマルスカ
ポーランド/2022/124分/

『Filip』京都ヒストリカ国際映画祭作品紹介ページ
https://historica-kyoto.com/films/10862/

  【執筆者:藤井幹也】
 映画情報「Life with movies」 の運営を担当。 年間400本以上の作品を映画館で鑑賞しつつ、国内で開催される映画祭(東京国際映画祭、大阪アジアン映画祭、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、フランス映画祭、イタリア映画祭等)へ参加している。作品配給側の視点ではなく、作品鑑賞側・観客側の視点を持ちつつ、客観性と多様性を持つ映画情報を届けるべく、と日々活動中。活動エリアは、京都を中心に、関西地域ですが、映画祭へ参加のため全国各地を飛び回る日々。
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