タイのホラー映画に注目!大阪アジアン映画祭<見どころ紹介①>日本初上映『ティーヨッド 死の囁き』『葬儀屋』

2024年2月20日
全体に公開

2024年3月1日(金曜)から3月10日(日曜)まで、優れたアジア映画を紹介する映画祭「第19回大阪アジアン映画祭」が始まります。

この映画祭は、今年で19回目を迎えますが、全国からアジア映画ファンが集まり、日本国内の映画祭の中でも盛り上がる映画祭として知られています。近年では、その噂を聞きつけてか、首都圏から映画配給会社の方や映画評論家、映画製作者などが来場する姿や、海外の映画祭関係者の姿もみられ、いろいろ要注目な映画祭です。

※サムネイル画像は、特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ2024>『ティーヨッド 死の囁き』より

大阪アジアン映画祭とは
万博開催を控えた大阪の街を舞台に、優れたアジア映画の鑑賞機会と豊かな映像文化に触れ学ぶ機会を市民へ提供することを通じて、多様なアジア文化の理解促進、交流、映像リテラシーの向上、国際的視野を持った市民や映像制作者等の人材育成を図ります。「アジア映画のゲイトウェイ大阪」を世界にアピールし、文化・芸術・教育から観光・経済領域まで、また大阪からアジアまで、様々な観点を有する関心層が関わり大阪の発展に資する、開放されたプラットフォームとして映画祭を位置づけます。(公式サイトより抜粋)

大阪アジアン映画祭
会期:2024年3月1日(金曜)から3月10日(日曜)10日間
場所:ABCホール、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館
公式サイト

https://oaff.jp/

特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ2024>からご紹介

2024年は、タイ映画の特集企画が注目ですね。編集部は、その中でも「ホラー映画」に注目しています。低調な日本のホラー映画に対して、近年のアジアホラーは傑作が公開されていて、2021年製作(日本公開は2022年)の台湾映画『哭悲/THE SADNESS』(ロブ・ジャバズ監督)やタイ映画『女神の継承』(バンジョン・ピサンタナクーン監督)が、日本のホラー映画ファンの注目を集めていたのが、記憶に新しいですね。

また、編集部は第32回(2019)東京国際映画祭で紹介された『ストレンジ・シスターズ』(プラッチャヤー・ピンゲーオ監督/映画祭上映時タイトルは『Sisters』)も、お化け伝承的な背景がみられて、興味深い作品でした。

『ティーヨッド 死の囁き』※日本初上映

(C)JOINT VENTURE MAJOR JOIN FILM AND BEC WORLD

ロマンティック・コメディと並んで、タイ国内で人気の映画ジャンル「ホラー」。この作品は、2023年のタイ国内興行収入第2位を叩き出した話題作。

作品の原型となったのは、ネット上のフォーラムに書き込まれた怪談で、それを集めて小説化されたものを映像化したらしい。作品タイトルにも登場する「ティーヨッド」は、黒いドレスを着た謎の女で、彼女に遭遇した妹が奇怪な行動を取るようになり、というのが基本的な展開のようです。

作品解説
50年前の農村を舞台に、悪霊に取り憑かれた妹を救うため、元軍人の長男が家族とともに闘う!WEBで掲載された話題沸騰のホラー伝説に着想を得て映画化。東南アジアの各国でも公開された話題作。(公式サイトより抜粋)

ホラー映画では、「呪い」や「憑依」が起きた時に、どのようにかして解決しようとする展開が多いですが、その方法は、その国の宗教的、民俗学的な背景が影響します。つまり、キリスト教圏なら、エクソシストが登場するし、アジア圏では、シャーマンや巫女が登場することも多いです。ホラー映画として、単に物語を楽しむのもひとつですが、他の国の作品が多く上映される国際映画祭では、その背景で描かれる文化的、宗教的な事柄の違いや、受け止め方を知るのも、楽しみのひとつでしょう。

編集部は、いつも、物語とともに、日本ではみられない出来事や造形、小物を観るだけで、ワクワクしています。

作品情報
監督:タウィーワット・ワンター
Taweewat Wantha
出演:ナデート・クギミヤ、ラッタナワディー・ウォントーン、ジェリーチャー・カップン、カードバンディット・ジャイディー、ピーラクリット・パチャラブンヤキアット

『ティーヨッド 死の囁き』Death Whisperer/Tee Yod 大阪アジアン映画祭作品紹介ページ
https://oaff.jp/programs/2024-thai06/

『葬儀屋』※日本初上映

もう1本、話題のホラー映画が上映されます。この『葬儀屋』は、2023年タイ国内興行収入1位の作品。つまり、去年のタイ国内の映画興行では、ホラー映画が1、2位を獲得したということ。日本で、Jホラーブームといわれた1990年代後半から2000年代前半、『リング』『らせん』『呪怨』『パラサイト・イブ』『仄暗い水の底から』など多数の作品が製作されましたが、国内興行収入上位を独占したことがないことを考えると、タイの映画ファンのホラー好き度がわかります。

作品解説
病気の父に代わり、村でおくりびと(葬儀屋)をすることになった青年。でも幽霊が怖い。そこで元カノの幽霊に会いたいという男に助手をしてもらうことに。タイで大ヒットの心温まるコメディホラー。(公式サイトより抜粋)

タイの葬儀屋を舞台にしたコメディホラー作品。主人公は、幽霊が怖いにもかかわらず、親の葬儀屋を継ぐことになる、一方で、自殺した元彼女の霊に会いたいという男が幽体離脱?して死後の彼女に会いに行こうとするという物語らしい。

ところで、日本のJホラーは、アジア圏でも、北米でも人気ですが、コメディとなると、なかなか海外で人気となることが少ないですね。よくお聞きするのは、「恐怖」は共通言語になりやすいが、「笑い」はツボが違うことが多く、共感を得られ難いのか、ということ。

しかしながら、日本で上映される海外のホラーコメディ(いずれもコメディ色が強いですが)、例えば、昨年公開された台湾映画『僕と幽霊が家族になった件』(チェン・ウェイハオ監督)とか、公開中『赤い糸 輪廻のひみつ』(ギデンズ・コー監督)は、日本のファンの方にも、人気を集めています。

さて、今回の『葬儀屋』は、映画祭の会場で、どのような反響を得るでしょうか?日本初上映なので、そういう瞬間を体感できるのも、映画祭の楽しみにひとつですね。

作品情報
監督:ティティ・シーヌアン
Thiti Srinual
出演:チャーチャイ・チンナシリ、ナタウット・セーンヤブット、スティダー・ブアティック、ナルポン・ヤイイム、アチャリヤー・シータ

『葬儀屋』Undertaker/Sup Pa Rer 大阪アジアン映画祭作品紹介ページhttps://oaff.jp/programs/2024-thai04/

  【執筆者:藤井幹也】
映画情報「Life with movies」 の運営を担当。 年間400本以上の作品を映画館で鑑賞しつつ、国内で開催される映画祭(東京国際映画祭、大阪アジアン映画祭、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、フランス映画祭、イタリア映画祭等)へ参加している。作品配給側の視点ではなく、作品鑑賞側・観客側の視点を持ちつつ、客観性と多様性を持つ映画情報を届けるべく、と日々活動中。活動エリアは、京都を中心に、関西地域ですが、映画祭へ参加のため全国各地を飛び回る日々。
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