リビアン(RIVIAN)に再注目!EVピックアップトラックとSUVで人気のEVメーカー 🇺🇸
トピックオーナーの前田謙一郎です!
このトピックスでは日本に参入していない世界のEVメーカーを定期的に紹介しようと思っています。ちょうど先週、リビアンがアマゾンだけでなく、AT&Tにも商用バンを納入するというニュースもあり、第一弾としてアメリカのリビアン(Rivian)を取り上げます。
リビアンは私も個人的に応援しているEVメーカーの一つです。なぜなら、アメリカにいる私のテスラ時代の元同僚や友人はテスラを経験した後、多くがこのリビアンに就職しているためです。リビアンはカリフォルニアのアーヴァインに本社を置く、電動ピックアップトラックとSUVを専門にするEVメーカー。
先日の記事、サイバートラックのデリバリーイベントで説明したように、アメリカではピックアップトラックが乗用車市場で最も売れているモデルのTOP3を独占しており、非常に大きな市場があると同時に、アメリカ的フロンティア精神を体現する人気車種です。
伝統的にピックアップトラックというと、硬派で男らしく、5.2リッターV8エンジン!のようなマッスル仕様が元来人気なのですが、リビアンのモデルは全てEVでありゼロエミッション、さらにアウトドアなどでの機能性にフォーカスしたとてもおしゃれなモデルです。
今、西海岸テック系のアクティブな人たちを中心に人気を博しています。つい先日もカリフォルニア・ニューポート発のサーフブランド”Almond Surfboard”とのコラボレーションが発表されました。
リビアン(Rivian)の創業者
リビアンは、2009年にロバート・ジョセフ・スカリンジ(RJ Scaringe)によって設立されました。小さい頃から自動車が好きであったスカリンジはマサチューセッツ工科大学に進み、最終的には自動車研究室で博士号を取得しています。
彼は小さい頃、車と自然が好きで近所の古いポルシェをレストアする人のところで遊んだり、近くのインディアン・リバーで多くの時間を過ごしていたようです。
フロリダ州南東部に位置するインディアン・リバーは陽光あふれ一年中温暖、複数の水源がありアメリカ国内で最も多様性に富んだ生態系を持つ土地と言われています。
そのため、自分の大好きな自然を守るためにも、より持続可能なモビリティーを作りたいと思うようになったと語っています。ちなみに、会社名「リビアン」はそのインディアン・リバーから由来しています。
彼は自社サイトのインタビューの中で自分達の会社について以下のように述べています。
私たちは自動車の会社のようには見えないと思います、また彼らと同じように考えたり、行動したりもしません。なぜなら私たちは車だけを作ることに興味はなく、リビアンを作ったのは違いを生み出したかったからです。
自分の原体験にある車と自然への愛情と興味。以前にもテスラとBYDのコーポレートミッションでまとめましたが、車の製造だけでなく、その先にあるライフスタイルや地球に何ができるかまでビジョンに入れていることが素晴らしいと思います。
どんなモデルを作っている?
リビアンを設立当初はスポーツカーの製造を目指していたようですが、その後、EVピックアップトラックとSUVにフォーカスを当てるようになりました。現在、リビアンは2つのモデル、R1TとR1Sを展開しています。
R1Tは典型的なピックアップトラックで、R1SはそのSUVバージョン。どちらも270〜410マイル(約434kmから659km)の航続距離を誇り、その大きな車体からは考えられないような、0-60マイル加速(0-96km加速)は3.0秒(クアッドモーターAWDモデル)を誇っています。リヴィアンのトップモデルもサイバートラックに負けじと加速性能は高いです。
写真を見てもわかるようにピックアップトラックというオイルやガソリン臭さは全くなく、どちらかというと雄大な自然とアドベンチャーを感じるブランディング。環境問題への意識が高いアクティブ層にはとても魅力的な車だと思います。
UI(ユーザーインターフェース)についても常時ネットに繋がっており、多くの機能を搭載しています。また、モバイルアプリも充実し、車の状況から充電のコントロール、車や荷物の盗難を防ぐGear Guardなど色々なリモート管理が可能です。
テスラと同じくOTA(Over the Air)により機能が追加されたりバグが改善されたりと、従来の車メーカーにはないソフトウェアとユーザビリティを備えています。
そして、リヴィアンのもう一つの強みはEVピックアップトラックとSUVを作っているだけでなく、アマゾンと提携し彼らのEV配達トラックを製造していることなのです。
2030年までにアマゾンの配送用EVトラックを10万台製造
2019年にリビアンとアマゾンは、配送用EVトラックの大規模なプロジェクトに取り組むことを発表しました。アマゾンがリビアンから10万台のEV配送トラックを購入するというもので、2019年に宣言されたアマゾンの「The Climate Pledge - 気候変動対策に関する誓約」を後押しする取り組みです。
配送トラックは2022年からデリバリーが開始され、今年の10月までに1万台以上がアメリカの都市で配達を行なっているとアマゾン本社は発表しています。このように乗用車のモデルだけでなく、商用車の製造を今後行っていくことが投資家からも注目を集めています。
2024年末には利益を上げることができるか?
リビアンは2021年にIPOを行い、2022年終わりから納車を開始しています。直近の2023年Q3には16,304台を生産し (対昨年比:121%)、15,564台のデリバリーを行いました (対昨年比136%)。下のグラフにあるようにデリバリー開始から堅調に生産台数とデリバリー台数を伸ばしてきており、今回Q3の好調な推移もメディアでもポジティブに受け止められています。
というのも、多くのEVスタートアップが直面しているようにゼロから車の製造を行い、利益が上がるまで成長させることは大変難しく、従来のレガシーメーカーにとってもEV製造を黒字にすることには大変苦労しているのが現実だからです。
下のelectrekがまとめた表にあるように、リヴィアンは2023年のQ3において車を一台売るごとに約32,000ドル(約465万円)の損出を出しています。ただし、年を追うごとに状況は確実に改善してきています。
将来の見通しについて、スカリンジはCNBCのインタビューにおいて生産台数は上がってきており、収益も改善されていると述べています。リビアンとして2024年末に生産される車両は利益が出ると信じていると語っています。
ちょうど、先週の12月14日にリヴィアンはアメリカの情報通信大手AT&Tと輸送排出物を削減することを目的としたパイロットプログラムを通じて、AT&Tのフリート向けにリビアンのEVを購入する契約を締結したことを発表しました。
今後はアマゾン以外のメーカーにEVを供給するということもあり、株価も14%上昇(12月14日時点)今後の黒字化に弾みがつきそうなニュースとなりました。
リビアンの今後に期待!
まだ日本に参入していない世界のEVメーカーとして、まずはリビアンの紹介をしてみました。これまでのピックアップトラックにはない、クリーンでポップな車とブランディングがとても素敵です。個人的にも日本に輸入された際には欲しい車リストのトップになると思っています。EVファンとしてリビアンの今後に目が離せません!
Top image from Rivian Newsroom
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