AI医療機器等をより使いやすく:国民からの意見をもとに選定療養を拡大
AI医療機器等を利用しやすくなるよう、春から制度が見直されます。
日本の医療制度では、選定療養として、部分的に混合診療が解禁されています。患者のニーズに応えられるよう、厚生労働省は拡大すべき事例を定期的に募集しており、今年の春からは以下の3項目が追加されます。
何が変わるのか見てみましょう。
高血圧治療用のAIアプリが、より長く使えるように
現在、高血圧治療を補助するアプリが保険適用されていますが、エビデンスの関係から、使い始めてから6ヶ月までしか保険診療の対象になっていません。
一方で、使っている患者さんの中には、6ヶ月を過ぎても、継続して使いたいという患者もいるかも知れません。
このような患者も継続して使用することができるよう、春から選定療養に追加されることとなりました。こうすることで、6ヶ月以降も、保険診療を受けながら自費でアプリを継続的に使用することができるようになります。
血糖値を持続的に測定する機器が、より広く使えるように
糖尿病の患者にとって、血糖値を管理することはとても大事なことです。
特に、心筋梗塞などの大血管病変については、食後の血糖値だけが高い段階からリスクが高くなる可能性が報告されています。なので、血糖値を持続的にモニタリングすることはとても重要です。
これまで、血糖値を測定するためには、毎回、血液を検査をする必要がありました。患者の立場からすると、痛みも伴い、面倒な作業です。
近年、そうした作業を伴わずに、持続的に血糖値を測定する医療機器が保険適用されています。しかしながら、今のところインスリン注射を実施している人しか、保険給付の対象になっていません。
リスクが高いと分かっていれば、インスリンを使用していない人でも、自分の血糖値がどう変動しているか、知りたいものです。選定療養に加わることで、そうした患者も保険診療と併せて自費で機器を使用することができるようになります。
不妊治療のための精子凍結
最後に、不妊治療は、令和4年度から新たに保険適用がされたところです。現在、精子凍結等については、体外受精・顕微授精と一体的に評価がされています。
こうしたものについても、患者の選好にあわせて保険診療と併用できるよう、新たに選定療養の対象に追加されることとなりました。
診療報酬改定にあわせて、選定療養に加える事例を募集
このように、混合診療を活用することで、患者の利便性を改善するような事例について、厚生労働省は2年に1回、一般の方々からアイディアを募集しています。良い事例があったら、是非、皆様も応募してみてください。
参考文献
- 厚生労働省「「選定療養として導入すべき事例等」に関する提案・意見の募集について」(令和5年4月4日)
- 中央社会保険医療協議会総会「医療機器の保険適用について(令和4年9月収載予定)」(令和4年8月3日)
- 中央社会保険医療協議会総会「選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果への対応等について」(令和5年12月27日)
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」(令和元年10月)
更新の通知を受け取りましょう
投稿したコメント