ああ、盆栽…
こんにちは!NewsPicks編集部インターンの髙栁です。
前回は、Student Pickerの田中さんが「ファクトチェック」をテーマにお話されていました。
SNS上などに散らばっている情報の一部を誇張して、あたかもそれが真実であるかのように囃し立てるシーンは、昨今頻繁に見かけます。私たちは、情報の真偽が定かであるのか、また何らかのバイアスがかかっていないかということに対してより意識的になる必要があるかもしれません。
さて、今回のテーマとしては最近私がハマっている、「盆栽」についてお話ししていきたいと思います💭
そもそも「盆栽」って何?🌱
そもそも、「え、盆栽?」と思われた方は多いかもしれません。「盆栽」というフレーズを聞いて一般的に思い浮かぶイメージとしては、老後のおじいさんが庭先でこじんまりとした木をいじって楽しむ…なんてものではないでしょうか。まずは、盆栽とは何かについてご紹介させてください。
盆栽とは、ズバリ、鉢に植えられた植物を育てることです。
一般的な鉢植えと区別するポイントとしては、3つあります。
1️⃣鉢と植物が芸術的に調和がとれていること
2️⃣盆上に自然の景色が描かれていること
3️⃣鉢の中で自然の摂理が繰り返されていること
この3つのポイントを守り、自然界の風景を小世界の中に再現することで、「緑の芸術」と言われる盆栽が成立します。
また一言で盆栽といっても、実はいろんな種類があるんです。主な区分としては、松柏類、雑木類、花もの、実ものなどが存在します。
種類別に、もう少し詳しく見ていきましょう。
松柏類は黒松・真柏・杜松など、常緑の針葉樹の総称です。いわゆる「盆栽らしい盆栽」と言えるかもしれません。雑木類は唐楓や欅など、落葉樹が中心です。造形美を味わう松柏類とは対照的に、雑木類では自然美を楽しみます。あとは、可憐な花もの・実もの、軽やかな草ものとして桜、黄梅、小性梅(こしょうばい)などが代表的なものとされています。
主な楽しみ方として、幼木や若木から時間をかけて樹作りをしていきます。
剪定して葉っぱの形を整えたり、枝に針金かけをして枝の動きを変えたりすることで、自分好みの盆栽を作り上げることができます。
なんでも、盆栽を上手に管理すれば、人間よりも長生きするモノを作り上げられるんだとか。一生の相棒、あるいは自分の生きた証になるかもしれない存在を自分で育てあげる...この点は、単純な「鉢植え」という言葉で言い表せない盆栽の面白いところだと思います。
気に入った景色を、自分のものに🧩
そもそも、どうして私がここまで盆栽にハマったのか、という経緯についてお話ししたいと思います。
私が盆栽ワールドに足を踏み入れたきっかけは、大学2年の夏に友人と京都に訪れたときに遡ります。
夏の日差しが照りつける中、私は友人といくつかの寺社を巡りました。歴史が好きなことから有名な寺社を周ろうと計画していましたが、印象に残ったのは建築美だけでなく、数々の庭園の美しさです。特に枯山水で知られている龍安寺では、庭園のあまりの美しさに驚き、記録的な猛暑にも関わらず私はしばらくその場を離れられませんでした。
青々とした緑苔、涼やかな小石…旅行が終わってもその景色が頭から離れず、しまいには自分で作りたいと思うようになりました。
そんな時、訪れた美術館で盆栽を飾っているのを見かけて、「これだ!」と思いました。それからのんびりと手入れを続けており、今では立派な趣味の一つです。(最近育成に失敗し枯らしてしまったため、かなり落ち込んでいます…こんな失敗を繰り返しながら、何とか続けています)
シンプルだけど、奥深い世界🌳
ただ、私もやってみたいと思ってからしばらくの間、なかなか実践に踏み切ることができずにいました。というのも、「何だか難しそう」というイメージが強かったためです。
盆栽がちょっと敬遠されがちな理由として、「老後の趣味」=若い人がやるものではないという概念が確立されていることに加え、この「難しそう」というイメージがあることも関係しているような気がします。
やや専門的なところに触れると、実は盆栽づくりには、いくつかの定型的な「型」が存在します。もしかすると、この型の存在が多くの人々にとって盆栽を縁遠く感じさせているのかもしれません。
今回はせっかくなので、盆栽作りの上で代表的な型をいくつかご紹介していこうと思います。
例えば、樹木には表と裏があります。樹を横から眺めた際に、前傾姿勢になっている側が表にあたります。他には、まっすぐな樹形をヨシとする直幹以外には、左右どちらかに流れをつけることが一般的です。樹の流れを見極めたのち針金成形で流れを強調したり、流れ側にやや傾けて植え付けたりします。あとは、剪定作業を通して樹の頭あたりにボリュームを持たせて威厳を与えたり、輪郭を不等辺三角形に整えることで樹の流れを強調したりすることも多いです。
ここではいくつかの模範的な事例を紹介しましたが、もちろん、あえてルールを取り払って自由な形を作ることも盆栽のひとつの楽しみ方です。
いろんなルールや型が存在する盆栽ですが、自由に作ってもヨシ、王道の美しさを目指してもヨシ、ということであくまでも自分らしく作ることが一番だという点は強調しておきたいです。
また、ここまで盆栽の「植物」のことばかりに触れてきましたが、盆栽は鉢と植物(盆と栽)が一体になった芸術品です。実はいかに植物を引き立てる鉢を選ぶか(鉢上げ)も非常に重要なポイントです。
質感・大きさ・形・深さなど、結構奥深い鉢選び。いかに鉢と植物が調和するか考えながら作っていくか試行錯誤していくのも、盆栽の魅力の一つだと感じています。
盆栽から得られる学び🪴
記事を書きながら、私自身盆栽の魅力を再確認できた気がします。
今までは、盆栽を「流行にとらわれない自分」のファッション的なアイコンとして使っているように見られたくない…という思いがありました。それゆえ、この趣味についてあまり人には話してきませんでした。
ただ、自分が落ち込んだり疲れたりした時に、盆栽を眺めて救われた瞬間が確かにありました。この記事を読んで、1人でも多くの方に、”人生を豊かにするためのひとつの選択肢”として盆栽というものがあると捉えていただけたらいいな〜思い、この記事を書きました。
どっしりと質感のある、力強い幹。優美で繊細な葉っぱ。しなやかで軽やかながらも、時折鋭さも感じさせる枝ぶり。
そんな盆栽を見ていると、こういうふうに生きていったらいいのかな〜と考えさせられることもしばしば。自分が育てているはずなのに、いつの間にか自分が教えられたり育てられたりしているような感覚に陥ることがあります。
他にも季節によって冬焼けが楽しめたり、樹齢を重ねるたびに幹肌が輝くようになったりと、作品がその時々によって違う姿を見せてくれるところも面白く、非常に奥深い芸術だなとつくづく感じています。(ちなみに私が特に好きなのは、杜松と梅、石榴、雪柳です!)
みなさんも機会があれば、ぜひ盆栽ライフを楽しんでみてください〜!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。感想等あればぜひコメントいただけますと嬉しいです!
参考図書:山田香織, 2016, 「よくわかる盆栽」, ナツメ社
バナー写真:筆者撮影
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