【ビジネスパーソン必読】注目の生成AIを組織へ導入するには?

2024年1月14日
全体に公開

こちらのトピックス“生成AI最前線「IKIGAIlab.」”は、学び合うことを目的としたオンラインビジネスコミュニティ「OUTPUTCAMP meets AI」のメンバーで運営しています。

このトピックスでは毎週生成AIのニュースや記事をお届けしていますが、Newspicksを普段読まれている方の中でも、「生成AIが便利なのは理解できるが、どう現場に導入していけばいいのか分からない」という方が大勢なのではないでしょうか。

そこで今回は、便利な生成AIについて、いかにして業務に導入し、使える人材を育てていくのか、普段会社で生成AI導入推進をしている私が、実際の事例を用いて解説します。

生成AI導入、何から手を付けていいか分からない

midjourneyで生成

まず、会社で生成AIを活用していきたい場合、初めにガイドラインを定めることが重要です。

最新テクノロジーで大きな活躍が期待される一方で、思わぬリスクが潜んでいる可能性があります。

生成AIのサービスによっては商用利用の可否、入力データの学習の有無など様々ですので、どういった生成AIを使っていくのか、そのうえで何に注意しながら活用していくのか、事前に決めておく必要があります。

ただし、注意しなければならないことは、禁止ばかりでは活用の幅が大きく狭まってしまうということです。現在様々な団体からガイドラインの雛型が公開されていますので、参考にしながら作成する事も可能です。

どんな生成AIが使えるのか?

midjourneyで生成

ChatGPTをはじめとする生成AIですが、何がビジネスに活用できて、どのような点に気を付けるべきか、まずそこから整理していくのが良いでしょう。

現在、一般的にホワイトカラー職で抑えておいた方がいい生成AIは、下記のようなものがあります。

【チャット型生成AI】

・ChatGPT

・Copilot(Bing)

・Bard

・Claude

【リサーチ・ペルソナAI】

・Perplexity

・Insight journey

【スライド作成AI】

・Gamma

・イルシル

他にもたくさん便利なAIサービスはありますが、無料で分かりやすく使えるこれらのサービスを押さえておけば、まず間違いないでしょう。

特に、可能であればChatGPTは有料版のGPT PlusまたはTeam Planに課金し、GPT-4および有料要素を利用できる環境を用意することが望ましいです。

Team Planでは、通常のGPT Plusより若干値段が上がるものの、入力した内容がOpenAIに学習されないなど、中小規模でのビジネスで使うことを念頭に設計されています。

ChatGPTは、これまでAzure版での利用やAPIを経由した利用でなければ、機密情報を用いた利用はできませんでした。

そのため、インターネットでの公開情報を基にしたリサーチや分析がメインとなり、ビジネスの活用シーンはやや限定的でしたが、Team Planの登場により、より顧客に近い組織でも活用が進んでいくでしょう。

また、ChatGPTに限らず、大量の文字を入出力できるClaude、リサーチに特化したPerplexityなどを組み合わせて使うことで、生成AIによる効率化は何倍にも上昇します。

とはいえ、最初に導入していくなら、ビジネスでもプライベートでも使いやすいChatGPTから進めていくことをお勧めします。

生成AIを導入していくためのポイント

midjourneyで生成

生成AIの導入方法は様々あります。すでに、2023年のうちに、ベネッセや日清などをはじめとする多数の企業が現場への生成AI導入を実践しています。

とはいえ、99.9%の日本企業がまだ導入できていないのが実情でしょう。

これまでに生成AIの導入に成功している企業には、ある共通点があります。

それは、全社規模でトップダウンにて生成AI導入を推進している、ということです。

私の周りにも、生成AIをなんとか職場に導入しようと奔走している仲間が多くいますが、うまくいっている人たちの特徴は「上司の理解が得られていること」であり、躓いている人の特徴は「上司の理解が得られない」ことにあります。

生成AIを導入し、活用していくことは今後のビジネスにおいて大きなポイントとなる一方で、未知のリスクをはらんでいることも事実です。企業組織のリーダーであれば、慎重に判断すべき技術です。

そのため、もしあなたが生成AIを職場に導入していきたい場合、まず理解を得られる上司を探すことをお勧めします。こればかりは運要素が強いので、地道に探していくしかありません。

他にも、生成AIのニュースや活用方法について、社内に発信していくことも重要です。

2023年は生成AI元年であり、大きな話題になったものの、多くの人々はまだ自分事として捉えられていません。そのため、これまでにあなたが生成AIを広めようとしても、流行りに乗っかっているだけのように見えてしまっていたかもしれません。

ですが、このトピックスを読まれているようにアンテナを立てている皆さんであれば、2024年以降はさらにAIが注目され、ビジネスの中心となっていくと強く考えているのではないでしょうか。

諦めず、生成AIについて社内で発信を続けていれば、ある日上司から「【相談】生成AI活用について」というMTGが急にカレンダーに登録されることでしょう。

実際に生成AIを導入していく方法

midjourneyで生成

これらの課題を乗り越え、いざ生成AIを導入していくフェーズに入ったとします。

「どのように生成AIを導入していくか?」これは多くの企業がいまだに悩んでいるポイントです。

外部の研修講師を呼ぶ方法もありますが、まず社内の詳しい人材に勉強会を依頼することが多いのではないでしょうか。

私も昨年の12月に、営業チームに向けた生成AI研修プログラムに参画し、40名超の社員に勉強会を開催しました。そこで学んだポイントやコツについて、最後にまとめます。

①ChatGPTの有料版で出来ることを徹底解説する

なんとなく便利なイメージがあるChatGPTですが、有料版にしている人は限りなく少なく、そういった人々には課金することで何ができるのか、どれくらい性能が上がるのか、情報が届きません。

そのため、まずは、ChatGPTに課金することでどれくらいの活用幅が広がり、無料版で「使いにくい」と考えられているポイントがどれだけ解決するのかを広め、「生成AIってここまで便利なんだ」という認識を広げることが重要です。

②ChatGPTだけで完結させない

冒頭で述べたように、生成AIはChatGPTだけではありません。それぞれ特徴があり、組み合わせることでそれぞれの弱点をカバーできたり、長所を伸ばしたりできます。

弊社では、初回にChatGPTの解説と、他の様々な生成AIについて紹介し、次回までに2つ以上の生成AIを組み合わせた活用アイデアを複数考えてもらう、という課題を出しました。

これにより、各生成AI単体を少し触って終わりではなく、組み合わせる発想を最初に持ってもらうことで、より実践的なアイデアを生み出せるようになりました。

③プロンプトの勉強会を行い、サポートツールを提供する

ChatGPTをビジネスレベルで使う場合、プロンプトの理解は重要です。

LLMの仕組みやハルシネーション、そしてプロンプトの書き方について解説し、簡単な構造化プロンプトであれば理解ができるようにする必要があります。

とはいえプロンプトは現状苦手な人が多いです。難易度は高いですが、講座後にプロンプト作成を手助けするGPTsを配布するなどできれば、より一層チーム内でプロンプトへの理解を深めることができます。

④実演し、実際に手を動かしてもらい、できるようにする

生成AIが便利なことは理解できても、実際の具体的な業務でどう使えるのか?を見つけることは困難な場合が多いです。そのため、事前に業務と相性がよさそうな内容について、実際に実演し、手を動かしてもらって「できる」ようになることが重要です。

例えば、マーケティングリサーチをもとに戦略を考えたり、ペルソナをもとにセールストークを考えたりするなど、何をどうすれば、どれくらいできるのか、ということを体験してもらうことが重要です。

⑤継続的に生成AIを利活用し、活用事例を生み出していける環境を作る

勉強会を開催して終わり、ではなく、そこで学んだことを日ごろの業務に活かし続けることが重要です。そのため、勉強会の内容が楽しく、実用的である必要があります。

漫然と生成AIを触ったり、無理やり利用させたりしても本質的ではありません。新しい技術を反射的に嫌煙し、特に小難しいプロンプトに苦手意識を持つのはある種当然です。

当たり前ではありますが、導入する側は、導入される側の気持ちに立ち、本質的な推進活動を行うことが求められます。

上記以外にもコツやポイント、または組織によっては違うやり方の方がフィットすることもあると思います。少しでも参考になりましたら幸いです。

2024年は生成AIの企業活用事例がどんどん展開され、「うちの会社にも導入しなければ」という機運が高まると推測しています。

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。

次回の更新もお楽しみに。

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