“うず潮アタマ”って何?このトピックスで取り扱うテーマは?

2023年12月14日
全体に公開

頭の中がぐるぐる回る、うず潮アタマ

頭の中がぐるぐる回る、という経験はないでしょうか。

Aだという可能性もあるし、Bだという可能性もある。そもそも全部の可能性を洗い出せているのだろうか、まだ考慮しきれていないところはないだろうか。考えれば考えるほど、分からなくなってしまい、気づけばまた同じところに戻ってきている。そして、いつしか考えることそのものに疲れてしまう。

これを僕は『うず潮アタマ』と呼んでいます。

はじめまして、本トピックス【うず潮アタマに滝をつくる】を運営することになりました、竹本祐也です。

私は2008年にゴールドマン・サックスという外資系証券会社で証券アナリスト業務に就き、2013年にA.T.カーニーという外資系戦略コンサルティング会社でコンサルタント業務に、そして2018年からはWACULというマーケティングDXに関わるスタートアップの経営者に従事するというキャリアを歩んできました。それぞれの会社は所属する業界や私自身の立場はバラバラで、さまざまな経験をさせてもらうことができました。

このトピックスでは、そんな経験から得た気づきを振り返ってお話したり、はたまたニュースなどの時事ネタの中から経験に沿ってお話したりすることで、『うず潮アタマ』脱却のきっかけを提供したいと考えています。そのため、私が記事を届けたいのは、これからビジネスの世界に足を踏み入れる学生のみなさんや社会人の若手のみなさんです

証券アナリスト時代には、機関投資家の皆さんの投資判断に貢献すべく、世界そして日本の経済や業界動向、統計データといったマクロ情報や、経営判断から工場などの生産技術、競合環境などのミクロ情報という多種多様な情報を整理・活用して、投資判断を行うレポートという形に落とし込んでいました。

また、コンサルタント時代には、「長期戦略を作りたい」「自社の強みを活かして、新規事業を作りたい」「無駄なコストを洗い出してコストを下げたい」「オペレーションをもっと効率的なかたちにしたい」様々な企業の課題に対して、戦略という形にして次に企業が取るべき改善をまとめていました。ここでも、経済動向や社会トレンドなど企業をとりまく環境、競合他社との差別化、そして企業内部の強みや弱みといった、これまた多種多様な情報を整理・活用して、戦略につなげていくことが求められていました。

現在はスタートアップの経営者として、ひとつのクライアント、1人1人の社員などの小さな単位から、チーム、そして企業として、また株主や弁護士事務所や監査法人、さらには競合、業界などとしての大きな単位の幅広い関係者から日々発生する情報を整理しながら、日々決断をしています。 

こうした日々の仕事の中で、“幸運にも”そうした企業に潜り込んでしまった私は、何度も多種多様な情報の渦に飲み込まれ、「頭の中がぐるぐる回る」という経験を幾度となくしました。しかし、これまた幸運なことに私のまわりにはたくさんの“頭のよい人”がいて、彼ら彼女らから学んだ思考スキルをいつも学び、そして思い出すことができました。

先輩や同僚の会議に出たり、議論に参加していると、自分の想像を超えるスピードで議論が建設的に積みあがっていきました。そして、気づけば今解きたい問題の答えにたどり着いているという魔法のような経験をさせてもらいました。

自分のまとまらない話を先輩や上司にしても「つまりこういうことだね」と、みるみるうちに自分のまとまらない話が整理整頓されていき、自分の言いたいことがきれいに明示されていました。

この人たちの頭の中は一体どうなっているのかと、常々覗いてみたいと思っていました。知能指数が飛びぬけてよくて昔から神童と呼ばれるような、それこそ単に生まれつき頭のいい人ばかりなんじゃないかと思うこともしばしばでした。しかし、日々のコミュニケションの中で決してそういう訳ではないと感じるようになりました。多くの優れた先輩たちは、実はうまく「思考を整理整頓している」からこそ、理解のスピードが早く、また同様に、問題を解決するために重要なことだけをあぶり出し、そこに時間を集中的に掛けているからこそ、答えにたどり着くのが早いんだ、そう学びました。

悩むのではなく、考える

あなたも、ひとつやふたつ、悩みを抱えているのが普通でしょう。けれど、コンサルティングの現場では「悩むのではなく、考えること」とよく言われます。どちらも頭を使って思考を巡らせているのに変わりはありません。

しかし、考えるというのは答えに向かって突き進む時間のことである一方で、悩むというのは同じ場所をぐるぐる回るようなことで答えに近づいているとは言えない時間です。どちらも頭を使っていることに変わりはないのですが、答えにたどり着くまでの時間はまったく違います。何が違うかといえば、答えを出すための道筋が見えているのかいないのかでしょう。初めての土地に出掛けるとき、行き道は遠く感じたのに帰り道は近く感じることはないでしょうか?道筋がなんとなく分かっているかどうかが大きな差分としてあるのです。

「バカな奴は単純なことを複雑に考える。普通の奴は複雑なことを複雑に考える。賢い奴は複雑なことを単純に考える」京セラやKDDIの設立、日本航空(JAL)の再生などで知られる企業経営者、稲盛和夫氏の言葉のひとつです。この言葉のとおり、賢い人は複雑なことを単純に考えることができるのです。けれど、それは単純化する手法を知っているからできるのであって、賢いからできるのではないのです。

実際に、多くのプロフェッショナル達が、若手の頃からその方法論を体得することで、「思考がぐるぐる回る」時間をなくし、答えにたどり着く時間をどんどん短くしています。自分自身も、先輩方からそうした思考の経過を観察して自分としても真似ることで体感をしましたし、また逆に新たに自分の部下としてついてくれる後輩への指導でも小さくともそうした整理整頓を体感してもらおうと教育を施すことで彼らがその後に昇進を重ねたことから、そうした思考の整理整頓は体得する価値のあるものだと実感をしました。

こういう風に考えるというケーススタディを提供したい

投資の現場も、コンサルティングの現場も、そして経営の現場も、仮説の積み重ねです。「こういう事象があるから、きっとこうなんじゃないか?」という考えかたです。必ずしも正解がそこにあるわけではありません。ただ、うまくいっているかどうかはあとからしか分かりません。

短期的には投資であれば含み益が出ているという形で見えるかもしれません。しかし、長期的には金融危機に遭遇して、短期的に積み上げてきた含み益が消えるかもしれません。いつまでたっても、“この時点では”正解/不正解であるとは言えても、本当に正解だったかは見えません。正解かどうかは分からない。けれど、こう考えたからこう決めた、という事実はあります。この事実は、心の支えとなり、結果としてその決定を成功に導く可能性を高めます。

僕自身、まわりの人の考え方を知り、そこからたくさんの学びを得ました。そうして教えてもらったことを、文字に起こしていきたいと思います。このトピックでは、それぞれの現場で知ったケースや日々のニュース等を取り上げながら、こういう風に考えたら“うず潮アタマ”にならずに済むかもね、という文章を提供してきたいと考えています。

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