世界の自動車産業は凄い速さで変化している

2023年11月28日
全体に公開

初めまして!

「今、世界の自動車メーカーで起きていること」トピックオーナーの前田謙一郎です。これまで外資系自動車メーカーのマーケティング・PR分野で20年以上働いて来ましたが、今年から独立し、自動車業界アドバイザリーやマーケティングコンサルティングの仕事をしています。

テスラやポルシェなど新旧メーカー双方で働いてきた経験を交えながら、電気自動車、自動運転、ソフトウェア、AIなど、今ホットな自動車業界についてトピックを配信していきたいと思っています。

馬車から自動車、蒸気機関車から電車、ガラケーからスマホのような、歴史が証明してきたパラダイムシフトの真っ只中に私たちはいる訳ですが、その変化を客観的に分析すると同時に、このトピックスを発信することで日本の自動車産業に少しでも役に立てたら、という想いがトピックを作ることになったきっかけです。

もちろん、トピックの内容については難しい技術的な話をするのではなく、一般目線で分かり易く、楽しく、私のこれまでの自動車業界内での経験も踏まえて書いていきたいと思っています。早速ですが、

100年に一度の大変革、EV、自動運転、AIで変わる自動車業界!

最近、こんな本のタイトルやニュース記事を目にしたことのある方は多いのではないでしょうか。特にパンデミックが明けてからますます海外の事例など多くの記事などを見るようになりました。事実、2020年からのパンデミックによる海外渡航規制により、海外メーカーの動向はあまり多くは報じられてきませんでしたが、2022年の初めから海外出張が解禁になることで、より多くの情報が入って来るようになりました。

日本にいると島国ということ、数多くある日本の自動車メーカー、そして特有の規制や車文化により、独自の車市場が形成されており、海外の事情はニュースでしか分かり得ないのですが、昨年は個人的にも世界の自動車業界が本当に変わっていることを多く実感したので、一例を紹介したいと思います。

昨年から今年の夏までに出張や休暇を含め、アメリカ西海岸(LAとサンフランシスコ)、イギリス、ドイツ、オランダ、ドバイ、北欧、タイやインドネシアなどなどを回って来たのですが、実感したのはコロナ禍に世界は本当に、そして凄いスピードでEV化にシフトしているということでした。特に22年の春に久しぶりにアメリカのロサンジェルスやドイツに戻ったときは町中を走るテスラやショッピングモールに設置されている充電器の多さに驚き、浦島太郎とはまさしくこういった気分なんだろうと思ってしまいました。

今後の記事でまた詳しくお話ししたいと思いますが、ロサンジェルスではレンタカーのHertzのほとんどの車はテスラでお店の定員曰く、大人気とのこと。そして高速道路にはとても多くのEVが走っていたことです。パンデミック前、テスラ時代に出張した際には、サンフランシスコに到着して近くのテスラショールームで同僚にテスラの車を手配してもらうか、大手のレンタカー店でガソリン車を借りてフリーモントに行くかくらいしか手立てがありませんでしたので、EVはとても大きな市民権を得ているなと、空港から降りた瞬間に感じた変化でした。

また、ヨーロッパについても同様で、コロナが明けて久しぶりオランダのアムステルダムに出張し、空港を降りてタクシーを捕まえようとすると、タクシーの多くがテスラの黄色いモデルSになっていました。2018年にテスラのヨーロッパ本社への出張でアムステルダムに行った際には全くみられない光景でしたが、オランダも電動化を強く推し進めている国の一つであり、アムステルダム市内のとても歴史がある街並みにも普通充電のスタンドが多く設置されていたことも納得がいきました。

ドイツについても同じです。ポルシェ本社があるシュトゥットガルトには日本からの直行便はないため、いつもフランクフルトでレンタカーを借りてアウトバーンで向かうのですが、コロナが明けて出張した際には、いつも途中で休憩するサービスエリアの駐車場にこれまではなかった急速充電器ステーションが併設され、ポルシェ、アウディなどの電気自動車が充電していたのもとても新鮮でした。

LAXのHertzレンタカーセンターで。

やはり、私たちはパラダイムシフトの真っ只中にいる

このように、2022年〜23年、世界ではニュースの報道などで感じられる以上に電気自動車へのシフトが加速していることを実感した年でした。そして、アメリカやヨーロッパだけではなく、中国では国策でEVを推し進めていることもあり、新興メーカーが多く台頭してきています。

先日の東京モビリティーショーでも中国のBYDがとても大きなブースを出し、Atto3などの小型EVの販売を開始、日本でもその存在感を増して来ました。そして、新旧自動車メーカーだけでなく、自動運転分野に特化したテックカンパニー、AIの登場、バッテリー企業などなど、いろいろなプレイヤーや新しい技術が入り混じり、凄い速さで変化が起きているのが今の自動車業界なのです。

戦後から自動車産業は日本の基幹産業の一つであり、丁寧なもの作りと絶え間ない改善は私たち日本人の得意分野でした。しかしながら、従来のエンジンやシャシーなどのハードテクノロジーは頭打ちになり、今後は車載ソフトウェアやAIなど、スピードとイノベーションが主戦場になります。

新しいプレイヤーやテクノロジー動向にアンテナをはり、いち早く世界の潮流を掴むことで素早くUnlearn、Relearnしていくことが、企業としても個人としてもこのパラダイムシフトの中を生き延びる手立てではないかと思っています。また、円安や停滞する経済など、今、日本での良いニュースはあまりない状況ですが、自動車産業が今後も継続的に発展していくことが、日本経済の一つの希望であると信じてやみません。

そんな、100年に一度のパラダイムシフト真っ最中の自動車業界について、国内外のいろいろなニュースや出来事をタイムリーに発信していきますので、ぜひ気軽にコメントやご意見を頂けると嬉しいです。今週末はちょうど、テスラのサイバートラックのデリバリーイベントが行われる予定です。

お楽しみに!

サイバートラックのデリバリーイベントは11月30日(米国CT時間で行われる)画像提供元:Tesla, Inc.
著者:前田謙一郎 マーケティングコンサルタント&自動車業界アドバイザリー。テスラ・ポルシェなどの外資系自動車メーカーで執行役員等を経験後、2023年Undertones Consultingを設立。20年以上の業界経験から、自動車産業の未来、電動化、マーケティング、ブランディング等に関してメディアでの登壇やインタビューなどを行う。

メディア出演、講演、インタビュー記事

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