ライドシェア議論を通して考える2024年問題解決のための規制緩和とルール作り

2023年11月21日
全体に公開

ここ最近、ライドシェアに関するメディア記事を目にすることが増えました。NewsPicks上でも然り。

【詳報】「大荒れ」ライドシェア問題に、Uberが見せた強気

私はタクシー業界については門外漢ですが、詰まるところ「ドライバーの給料を上げれば(≒受益者負担で利用者が費用負担すれば)、問題を解決出来るのでは?」という文脈に於いて、物流業界の2024年問題と重なる部分もあり、見識者の議論やその終着点を興味深く見守っています。

ライドシェアは規制緩和の方向性で議論が進んでいますが、2024年問題にも規制緩和が必要なのか、はたまた新たなルールを設定すべきなのか。個人的には(やや乱暴な意見ですが)自動運転、高速IC直通の複合物流機能開発、そして連結許可申請などの規制緩和とデータープラットフォーム(こちらは各社『協創』の成果物)で解決出来るのではないかと考えています。

貴方は規制緩和派?それともルールで縛る派?

少し振り返ると、物流業界では平成2年に施行された所謂「物流二法」で新規事業参入の障壁が下がり、輸送業者同士の競争が進みました。現在国内の登録輸送事業者数は6.5万社と言われています。

しかし、結果的にコストの叩き合いや多重下請け構造が当たり前になり、儲からない輸送会社=稼げないドライバーが多数生まれ、2024年問題の原因にもなっています。

他方で、以下は全ト協さんのHPですが、連結トラック等の特殊車両を走らせようと思うと、素人にはどの法律に準拠して何を申請すれば良いか分からないほど複雑です。私の会社の社則や内規もそうですが、その時その時にベストな規制やルールを作った結果、もはや夫々の規制の辻褄が合わないレベルになってきている印象を受けます。

特殊車両通行許可制度等について

例えば、『連結許可申請』というものがあります。トラックヘッドが後ろのトレーラーを牽引する場合、車検証にトレーラーの番号を事前に申請する必要があります。欧米ではトラックヘッドとトレーラーを切り離す運用が当たり前でトラックが積み降ろしを行う間の待機時間を減らしていますが、日本ではこの運用が法律上出来ないということ。

2024年問題は規制を強める議論がメイン。トラックGメンなる制度も設けられ、霞ケ関では新たなルール作りの議論がされていますが、今後、どうなっていくか・・・。

UnsplashのGabriel Santosが撮影した写真     

これからの輸送はどうなるのか?

私の個人的な妄想です。

街中での自動運転走行は当面難しいでしょう。唯、高速道路上の走行は規制緩和が進む。そうすると高速道路を使う幹線輸送は荷主でも運べるようになる=誰が運んでも同じになる=共同輸送が進む。他方、幹線と支線の結節点での積み替えが必ず必要になる。当然、積み替え場所はIC直結の立地となり、EV比率が高まると今まで以上に集約や共同化が進む(充電設備を輸送会社個社単位で投資するのは非効率的なので)。共同化が進めば進むほど、物流情報やデータの集約/蓄積/活用が必要不可欠になる。

緩和と規制を繰り返しながら・・・

霞ケ関の方々や自治体の皆さんは、国民が全体最適に繋がる行動を取るようなグランドデザイン/アーキテクチャーをどう設計するかということを考えられていると思います。

ルールを緩和するのか、又は、ルールで規制するのか、正解はないと思いますが、私が過去に視聴したWebinarでのTHE GUILDの深津さんのコメント(と言っても私がメモした内容なのでBiasが入っていますが)を引用して、今回は終わりたいと思います。UXのWebinarでしたが、ルールづくりの観点では相通じるものがあります。

サービスを点で考えないように気をつけている。大きな森のイメージ。その中でどういう環境やルールを作るか。その環境/ルールによって、ユーザーがどう行動するか。表現を変えると地形をイメージする感じ。そこを水(人や文化)が、どう流れるか。上善如水。UXを作ることは、日々の生活の中で、何を増やし何を減らすのかを考えることと同じ。新製品/新機能は、それを使ってみたいという人が少なからずいる。①コアユーザーをセットし、彼らに合う設計をし、彼らにあった改善をすることで、その後の展開を考えられる。②シナリオベースドデザイン。必要とされているものは何か。実際の利用シーンを想定する。③サービス提供側や他のステークホルダーのUXも多面的に考える。

蛇足ですが、物流センター内の要員配置最適化ツール「Smile Board Connect」のWebinarを企画しています。ご興味ある方は、以下URLよりお申込み下さい。

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トップ画像:UnsplashのLexi Andersonが撮影した写真

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