AIへの投資が加速する中での企業の対応は?

2023年11月21日
全体に公開

生成AIの進展に伴い、2024年度はAI関連・サービスへの投資が加速しそうです。

ITRは2023年11月20日、『IT投資動向調査2024』の結果を発表しました。

2023年度に強まったIT予算の増額基調が2024年度も継続する見込みとなっています。

ビジネス領域のDXテーマへの取り組みも進展しており、「製品・サービスの付加価値向上」や「他社との共創、エコシステムの構築」といった「製品・サービスの競争力向上領域」のDXテーマでは、進行中・実施済みの企業、さらには成果が出ている企業が増加しています。

社内業務やシステムのDX推進だけでなく、ビジネス領域でのDXテーマに取り組む企業が増えてきたことが読み取れるとしています。

2024年度はAI関連製品・サービスへの投資が加速

注目されるのは、「2024年度新規導入可能性」です。

ITRでは、企業ITに関わる代表的な製品・サービスを「インフラ/デバイス」「ミドルウェア」「業務系システム」「情報系システム」「セキュリティ」の5分野から全107項目を選出。2024年度に新規で導入する可能性のある企業の割合を「2024年度新規導入可能性」、導入済み企業における2024年度の投資額の増減傾向を「投資増減指数」として算定し、動向を分析しています。

その結果、2024年度の新規導入可能性は、前年調査で2位であった「AI/機械学習プラットフォーム」が1位に上昇し、2位には今回調査項目に加えた「生成AI」が位置し、AI関連の製品・サービスが上位2項目を占めています。

過去2年の調査で1位であった「電子契約/契約管理」は今回3位となり、バックオフィス業務のDXを担うサービスである「電子請求書」(今回の新規項目)がインボイス制度の影響もあり4位に続いています。

投資増減指数は、前年調査で2位の「5G(パブリック)」が1位に浮上し、2024年度に新規導入フェーズから投資拡大フェーズに移ると予測しています。

「AI/機械学習プラットフォーム」と「生成AI」は、新規導入可能性だけでなく、投資増減指数でも5位以内に位置しており、未導入/導入済み企業ともに2024年度に向けて投資意欲が高い分野となっています。

さらに、生成AIへの注目が影響したと推察されますが、「音声認識」および「画像認識」が投資増減指数で上位10入りしました。2024年度は、AI関連分野の製品・サービスへの投資が加速すると予想しています。

出典:ITR IT投資動向調査2024 2023.11.20

今後の展望

IT製品・サービスへの投資意欲に関しては、「2024年度は『AI/機械学習プラットフォーム』『生成AI』『音声認識』『画像認識』といった、AI関連の製品・サービスへの投資意欲の高まっています。

戦略的な投資計画の策定: 企業はAI技術の投資に際して、AIへの投資が目的化するのではなく、長期的なビジョンと具体的な目標を設定する必要があるでしょう。

市場の動向、業界の特性、そして自社の強みと弱みを考慮し、どのAI技術が最も価値をもたらすかを判断することが重要となります。

また、AIを利活用していくためには、従業員のスキルと知識を向上させる必要があります。教育プログラムやトレーニングを通じて、AI技術の基本から応用までを学ばせることが重要です。

そして、AIは大量のデータを必要とするため、データの管理とセキュリティ、プライバシー保護の観点からの強化が必要となります。適切なデータガバナンスとプライバシーポリシーの策定もあわせて対応が必要となるでしょう。

AIビジネスは、AI分野のステークホルダーとの連携などによるエコシステムを構築し、業界プラットフォーム的なアプローチも含めて展開していくことが差別化要因の一つとなるでしょう。

AIの導入には、倫理的な考慮も重要となります。人間の尊厳を守り、偏見や差別を生じさせないよう、適切なガイドラインとコンプライアンスフレームワークへの対応も重要です。

AI技術は常に進化しておえい、競争力を維持するためには、マーケットにアンテナを高くし、継続的な研究開発とイノベーションへの投資が必要不可欠となります。

これらの取り組みを通じて、企業はAI技術の潜在能力を最大限に引き出し、ビジネスの競争力を高めていくことが、2024年度以降は益々求められていくでしょう。

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
樋口 真章さん、他1644人がフォローしています