【16日解禁】君は「ヌーヴォーではないボージョレ」をもう味わったか?(上級編)
実は、ボージョレこそ今注目してほしいワイン
「初級編」では、ボージョレ・ヌーボーがなぜこれほど人気になったのか?を7つの真実から読み解きました。
ワイン通を目指す読者の皆さんに、今回はさらにワンランク上の情報をお届けしましょう。
ボージョレはスピード重視の新酒だとお伝えしてきましたが、この地区では、通常の製法でもワインが造られています。なかでも、上級のエリアでは高品質なワインが造られています。
ボージョレにも格付けがある
南北に約55kmにわたって続くボージョレ地区には、3段階の畑の格付けがあります。
1、Beaujolais ボージョレ
広域で平坦な畑が多く、安価で気軽に楽しめるワインが造られます。ヌーヴォーは特にこのエリアで造られます。
2、Beaujolais Villages ボージョレ・ヴィラージュ
ボージョレよりも北部に位置する38の村からなるエリアで、収穫量など厳しい規定もあり、より繊細でアロマが豊かなワインができます。
3、Cru Beaujolais クリュ・ボージョレ
ボージョレ・ヴィラージュより更に北部に位置し、10の村がワイン名に固有の村名を名乗ることが許されています。丘陵に畑が広がり、土壌も複雑です。熟成にも耐えうる力強く複雑な味わいのワインが造られています。
ヌーヴォーの価格で上級が買えてしまう⁉︎
1、ボージョレ 2、ボージョレ・ヴィラージュ 3、クリュ・ボージョレ。
こう書くと、違いが見えづらいと思います。
日本では、まだまだ「ボージョレといえばヌーヴォー」のイメージが強く、クリュ・ボージョレやボージョレ・ヴィラージュが「ボージョレ」で一括りにされがちです。
私はかねてから、(ヌーヴォーではない)ボージョレが好きです。
リヨンのビストロで出されるハウスワインは大概、ボージョレですが、ソーセージやサラダなどと気軽に楽しむのに最適なワインです。また、クリュ・ボージョレのモルゴンの1959年を飲んだ時は、その熟成能力に驚きました。
ボージョレといっても、ヌーヴォーだけではありません。そんなボージョレの楽しみ方、幅広さを是非とも知っていただきたいです。
ポテンシャルの高さから、近年は、ボージョレ地区で新たにワイン造りを始める著名生産者も増えています。私が大好きなシャンボール・ミュジニーの造り手、ルイ・ボワイヨのムーラン・ナ・ヴァンは5000円ほど。やや高めのヌーヴォーと変わらない価格ですよ。
ピノ・ノワールと同様、単一品種で土地の個性を表現することができるガメイ。あくまで同じブルゴーニュワインとして見直すことで、それまで見えていなかった魅力に気づいていただけるはずです。
高騰するピノ・ノワールで造られるコート・ドール地区のワインに比べて、まだまだ高品質でも、手の届きやすい価格で買えるのも魅力の一つです。
「ボージョレ」を名乗らないクリュ・ボージョレ
最後に、私がお勧めの3、クリュ・ボージョレを詳しくご紹介しましょう。10の村がクリュ(区画)として名を連ねています。
★をつけた4つのクリュは、特に優れている村です。
⑤フルーリーでは一部の区画を、村名格から、ボージョレ初のプルミエ・クリュ(一級格)への昇格を申請をしているというニュースもあります。
このように、ボージョレのプレミアム化が進行しています。フルーリーに続き、他のクリュでも、プルミエ・クリュへの昇格の動きが出てくる可能性があります。
ますます目が離せないボージョレ、「ボージョレはいいや」ではなく「なかなか通ですね」となる時代がそこまで来ているようです。
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文:古川康子(シニアソムリエ)
編集:野上英文(MIT Sloan Wine Club)
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