【日銀会見】ポイント解説ーデフレの息の根を止められるか
従前の説明と相違はない印象です。
「粘り強く金融緩和を継続する」
「物価目標の持続的安定的な実現が見通せる状況に至っていない」
という説明を繰り返して伝える会見でした。
ただ、今回の会見で、あらためて確認できたことがありました。
内閣府の見通しや総務省の家計調査と日銀の見通しには乖離があるということです。
安定的な賃金上昇に自信を持つには何が必要か?
まず、需要ギャップについて。
安定的な物価上昇には何が必要と考えているのかという質問に対して。
『強い総需要に支えられて賃上と物価が好循環を迎える姿が確認できることが重要であり、その確認に時間がかかっている』との回答。
しかし、内閣府の調査では「需給ギャップがプラスに浮上」したことで需給ギャップ解消されたという見解もあるわけです。ただ、植田総裁の今回の発言から「強い需要」というワードが出てきたことから「需要はまだまだ必要、まだ足りていない」と考えているというメッセージなのではないでしょうか。需給ギャップは需要が足りない場合は、財政出動や補正予算の1つの理由になります。需要が足りていないと考えているのか、そうでないのかで政策の形が異なる可能性があります。
日銀、家計は回復傾向だと見ている
そして、9月5日総務省の家計調査では家計消費支出5か月連続のマイナスですが。個人消費が鈍化してきている数字が出ています。そろそろ、家計も値上げに耐えられないよ。といったメッセージ性を感じます。
しかし、日銀の家計に関するヒアリングでは7月は緩やかな回復で、8月も回復傾向との判断しているとのこと。日銀の調査と家計調査との整合性については今後、検討すると、乖離を認めるています。つまり、「差」があります。
政府の調査データと日銀の考え方が必ずしも一致しているわけではないわけですが。「需給ギャップ」や「家計消費支出」については政策に直結するデータですので、この部分の乖離の視点は重要です。
そして、一貫して「賃金上昇」が確認できるまでは短期金利は触らないという説明でした。
日本がデフレから脱却する兆しを感じつつも、これを本物にするにはまだ時間がかかるでしょう。強い粘着性を持ったデフレマインドには、想像以上の下方硬直性が存在しています。
全国、色んな地域に伺い、経営者や投資家にお会いすると「もしかすると日本もインフレを巻き込んで、賃金上昇が起きるかもしれない」という声をちらほら聞くようになってきました。
少し明るさを感じる人もいる。そんな期待とは裏腹に「やっぱり..ダメか」と国民にため息をつかせないためにも、確実に浮上させるところまでお願いしたいと思います。
今度こそは、デフレマインドの息の根を止めて欲しい。
見出し写真:gettyimages
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