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【ルポ】貧困は「自己責任」か「構造問題」か
NewsPicks編集部
藤田 和恵フリージャーナリスト
誰もが、ある日、突然どん底まで転げ落ちる――。コロナ禍の貧困の現場にはそんな不気味さが漂っていました。長年、貧困問題について取材をしていますが、こんな空恐ろしさを感じたのは初めてのことです。 コロナ禍の貧困を取材する中で、さまざまな問題に直面しました。 生活保護を利用することへのスティグマ(社会的恥辱感)、寮付き派遣や日雇いの仕事といった不安定雇用の増大、脱法ドミトリーやシェアハウスなど住まいの貧困、性風俗産業が貧困の受け皿になっていること。 ただある時、気が付きました。これらはいずれも新型コロナウイルス感染拡大のずっと前から日本の社会をむしばんできた問題ではなかったか、と。例えば、雇い止めと当時に即路上生活となるリスクのある寮付き派遣は、リーマンショックのときにも散々批判を受けました。ところが、その後もこのような働かせ方はなんら改善されないどころか、当時は中高年の男性が中心だった担い手が、今回のコロナ禍では若者や女性にも広がっていることが明らかになりました。 コロナ禍は図らずも「不可視だったものを可視化した」ともいえます。これらの問題を再びなかったこととして黙殺するのか、それとも今度こそ正面から向き合うのか。私たちの社会は今まさに選択を迫られています。
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