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日本農業新聞 - 「つながる」が作る価値 農泊とマルシェ 農業ジャーナリスト 小谷あゆみ氏
日本農業新聞
小谷 あゆみエッセイスト 農業ジャーナリスト フリーアナウンサー
リンクが期限切れだったので掲載します。 日本農業新聞「今よみ」2017年4月24日 農泊とマルシェの共通点〜都市のライフスタイルに農を〜 農が都市に提供できるもの   「日本農業遺産」第1回授与式がありました。持続的な農耕システムを観光資源として盛り上げようと、山本農水大臣は、「農泊」を農山漁村の所得向上の重要な柱として2020年度までに農泊地域500ヶ所を掲げると話しました。  認定8地域のうち、傾斜地農耕システムが評価された徳島県にし阿波地域は、幻想的な景観がSNSで評判を呼び、大勢のインバウンドが押し寄せています。旅のトレンドは、地域の生活や文化です。村の人々の暮らしにこそ「日本」があると、山あいの「秘境」に世界が注目しているのです。・・・  同じ日に都内で「マルシェ・マーケット研究所」の設立発表会がありました。2009年から港区赤坂のアークヒルズでマルシェを開催する森ビル、運営会社のアグリイノベーションデザイン、研究者が主体となり、首都圏のマルシェを、都市住民のライフスタイルとして定着させようというものです。  興味深かったのは、マルシェができた地域の住民が、まちを「自分ゴト化」するようになったという指摘でした。マルシェを持つことで、「シビックプライド」が芽生え、まちをつくるのは自分たちなんだと自覚するというのです。  与えられる一方でどこか主体性を欠いていた都会の消費者が、マルシェで生産者と出会い、会話し、仲良くなることで当事者意識を持つ。産地と都市の理想の関係は、互いが友達のようにリスペクトし合い、喜び合う「友産友消」ではないでしょうか。  「農泊」と「マルシェ」には、大きな共通点があります。「生産者と消費者が直接つながる」という点です。農産物はデータではありません。当事者同士の対話から笑顔が生まれ、発見や感動、感謝が生まれます。対価だけではない、有機的なつながりです。  もしかしたら私たちはこれまで、農にまつわるこのもっともおもしろく、楽しく、感動的な部分を、中間業者に任せ過ぎたのではないでしょうか。すべてを相対にしようというのではありません。週末にはマルシェへ野菜や卵を買いに行く。連休には都会を離れ、地方へ行って農泊をする。そんなライフスタイルが増えれば、農業農村は都市に物質的な食だけでなく、心の豊かさや安らぎをも与える存在になるはずです。
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