メル・ギブソンと運のいい人の法則
GOETHEの連載で、リチャード・ワイズマンの『運のいい人の法則』(角川文庫)を紹介した。
リチャード・ワイズマンは、マジシャンだった。マジックをしているなかで、人間の心理に興味を持ち、ロンドン大学で心理学を専攻し、博士号をとった心理学者でもある。
(GOETHEの原稿で紹介した) リチャード・ワイズマン博士の「運のいい人」に関する研究エピソードも面白いが、運のいい人のエピソードも面白い。
その中で、一番のお気に入りは、『マッドマックス』のメル・ギブソンのエピソードだ。
まだそのころは無名のオーストラリア人俳優だったメル・ギブソン。
ジョージ・ミラー監督の新作『マッドマックス』の主役オーディションを明日にひかえた夜、彼は、三人の酔っ払いに襲われてしまう。
メル・ギブソンは、顔をはらし、疲れ切ったままオーディションに行かざるを得なかったのだが、ミラー監督は、彼を観た瞬間に主役を決定する。
なにしろ、今回の主役は、戦いに疲れて傷ついたタフな男が理想だったからだ。
そう。何が幸いするか分からない。とんでもない目にあって落ち込んでいても、それがきっかけで幸運が舞い込むこともある。
ゲームデザインをするときは、逆転が起きやすくなるようにルールを設定する。当然のことながら、そのほうが盛り上がるからだ。
たとえばテトリス。最大4段をイッキに消せる。だが、4段を消すためには「まっすぐ4ブロック」がすっぽり入る隙間をつくり、なおかつ「まっすぐ4ブロック」が来るまで、他のブロックを避けながら待たねばならない。ゲームオーバーになるリスクが高くなる。
ここで誘惑の得点設計がなされる。1段消すと40点だが、4段消すと4倍の160点ではなく、なんと1200点だ。30倍なのだ! この誘惑に負けて、リスクをおかしつつも、逆転が狙えるところがテトリスの凄さだ。
勝負の行方は最後の最後までわからない。それがゲームの醍醐味だ。
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