【AI時代のコンサル】コンサルはAIに代替されるのか?コンサル業の近未来予測

2023年9月10日
全体に公開

<目次>

1.AI時代にコンサルがAIに代替される危険度予測

2.コンサル業の近未来予測

3.フォロワー特典やお知らせ

1.AI時代にコンサルがAIに代替される危険度予測

前回のトピックスの記事「ChatGPT以前のコンサルと、マッキンゼーが開発中のAI “Lilli"」でご紹介した通り、コンサルは次の3つの特徴を持ち、各種業界の企業において、業績回復や社内変革、革新的なビジネスモデルや戦略を策定する際に、重宝される存在です。

①特定の業界の専門知識

②第三者の視点

③ベストプラクティスの知見

これも前回の記事でご紹介の通り、100年近い歴史を持つマッキンゼーが開発中のAI「Lilli」が社内で試用されており、今秋社内でリリースされる予定だが、これが将来的には社外でも使われる可能性があると発表されています。

時には次ようなデメリットも顧客に感じさせるコンサルですが、Lilliのようなコンサルの知見や知識を蓄えたAIが登場すれば、低価格でコンサルサービスを提供することも仕組み上はでき、「①高額な費用」をクリアすることができます。

①高額な費用

②実装の難しさ

③一時的な解決策

また、顧客自身がコンサルAIにたくさんの案・戦略を出させ、その中から最適なものを選ぶことで、「②実装の難しさ」と「③一時的な解決策」もクリアできることから、パーツだけ見ると、「コンサル要らず」になる可能性があります。

コンサル業の近未来を予想してみましょう。

2.コンサル業の近未来予測

・コンサルも全自動化される?

次の図は、2023年7月に登壇したNewsPicks OUTPUT CAMPの「AIでコンサルはどう変わる?」にて使用した資料の1ページです。

2023年7月に登壇したNewsPicks OUTPUT CAMPで使用した資料の1ページ

Lilliの報道がされる前の講演で、まさか「マッキンゼーが先陣を切る」とは思ってもみませんでしたが、この予想の序盤にある「マッキンゼーやBCGのメソッドにチューニングされたChatGPTが分析の観点出し」の部分がLilliの発表によって着実に開発されていることが分かります。

この予見では、すでにある様々なサービスを組み合わせることで、コンサルの全自動化が可能ということを解説しています。

特にシンセシアというサービスは、台本を渡すとディープフェイクの映像を作り、あたかも人間がレクチャーしているかのような動画を作ることができるサービスで、去年の時点ですでに、REUTERS、Accenture、Amazon、BBCなど世界的に有名な企業をはじめ、1万2000以上の顧客を抱えています。

この手のサービスを活用することで、定性的な情報のエキスパート調査やクライアントへの最終報告などもAIで代用することは仕組み的には可能です。

原理上、AIで全自動化できるとしても、コンサル企業が自らの首を絞めるようなビジネスモデルで展開することは考えにくいので、現実的な線で、コンサル企業が行いそうな方針を予想してみましょう。

おそらく、アプリのフリーミアム(※1)のように、廉価なAIを多くの企業に使用してもらい、難易度が高い事案を有人・高単価の案件に繋げるという仕組みが予想されます。

このような仕組みにすることで、リーチする幅を広げ、案件化できる種を今まで以上に手に入れて、本体のコンサル事業に送客するような仕組みがあり得ると思います。

※1:フリーミアムとは、ある程度の期間や機能は無償で使用でき、それを超えると有償化するビジネスモデル。間口を広く取り、多くの人にリーチできるのがポイント。
フリーミアムとは?

コンサル企業による動き以外にもChatGPTの進化もウォッチしておく必要があります。

実際、日々行なっているコンサルの現場でも、クライアントがChatGPTを使ってアイディア出しや論点整理、戦略の叩き台を出してくるケースもすでに出てきいます。

まだまだ、無償のChatGPT3.5を使っているケースがほとんどのため、あまり鋭いアウトプットを提示されることはないのが現状ですが、今後、優秀なGPT4の進化系であるGPT5やGPT6が使われたり、その際にGPT4が無償化されれば状況は一変する可能性があります。

プロンプトのリテラシーを持っていれば、人間以上の情報量を持っているLLMから、うまく情報を引き出して、業界の先行事例や、いま置かれている自社の状況からいかに先行企業に追いつくかステップを作ってもらったり、各種ステップの計画策定まで、様々なことをGPTにアドバイスしてもらうことができます。

また、法人が二の足を踏む理由となっている、プロンプトの文章がAIの学習用データとして収集される問題も先日発表されたエンタープライズ版ChatGPTの登場で解消されるものと予想されます。

そうなると、LilliのようなAIを使わずともまずは自分たち+GPTでやってみようということで、コンサルに声が掛かりづらくなる状況も容易に想像できます。

建築学科を出ていなくても建設企業に建築パース(※1)を画像生成AIで作る方法を教えるのを仕事にしている方も出てきています。この領域にも「パース職人」がいますが、画像生成AIにより、危機が訪れる可能性が高いと言えます。

※1パースとは建築物やインテリア空間を視覚的に表現したイラストのこと。詳しくは、下記のサイトを参照
パースとは?

・”プロンプトコンサル”という新しい切り口のコンサル

こういった状況を踏まえると、コンサル出身でない人間が、「プロンプトコンサル」という立ち位置で、ChatGPTやMidjourneyといったAIと協働し、従来コンサルが行っていた案件に「コンサル(人間)」の代替として、「プロンプトコンサル(人間)+AI」で入る可能性もあります。

ゴールドラッシュでリーバイスが金の採掘者が履くジーパンを供給することで大成功を収めたという逸話がありますが、直接コンサル(=金の採掘)ができなくても、ChatGPTの強力な使い方の指南(=ジーパンを供給)ができれば、価値を出せるようにもなり得ます。

その場合、案件の種類(※2)やフェーズ別(※3)にどの生成AIに、どのような観点でプロンプトを入れれば、プロジェクトを企画・進行・クローズする最適なアウトプットを出せるかをサポートする役回りになるでしょう。

※2:案件の種類とは、事業の立て直しや新規事業立案、BPR(業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で、職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインし直すこと)など、案件のタイプのこと。
案件の種類の例
※3:フェーズとは、プロジェクト計画フェーズ・プロジェクトの進行管理フェーズ・最終報告フェーズなど、プロジェクトの各局面のこと。
フェーズの例

次回は、コンサルパートの第3回(終章)として、今までのラップアップと現在コンサルの人はどうすべきか?という戦略をいくつかの案とともに紹介したいと思います。

3.フォロワー特典やお知らせ

①Udemyのお得なクーポン情報(「生成AI」や「LifeVisionの作り方」など)

②ChatGPT研修の受付

③NewsPicksのTHE UPDATEへの出演情報

④『AI時代のキャリア生存戦略』が好評販売中

①Udemyのお得なクーポン情報(「生成AI」や「LifeVisionの作り方」など)

Udemy主催のトピックチャレンジという動画講座の企画コンテストで2案採択頂き、ChatGPTとLifeVisionの作り方のコースが公開されました!

本トピックの購読特典として、ChatGPTの速習コースやLifeVisionの作り方、広告無しで市場を切り開いたTeslaの戦略など、今月末まで引き換え可能なクーポンを発行しましたので、気になる方は下記のリンクより入り、是非ご活用ください!

②ChatGPT研修の受付

ChatGPTとはどのようなものなのか、マクロな視点では社会や企業への影響から、ミクロな視点では足元でどのように活用するか、4H(増やす・減らす・掘り下げる・変化させる)というフレームワークを実演を交え、基礎〜応用まで解説し、短期間でキャッチアップする研修プログラムを提供しています。

現在のスキルレベルは問わず、参加者の大半がまだChatGPTに触ったことがないという企業様も含め、ご好評を頂いておりますので、ご検討されたい方は、ぜひお気軽に下記よりご連絡ください。

お問い合わせ先:yosuke@focuson-inc.co.jp

③NewsPicksのTHE UPDATEへの出演情報

IBMさんSponsoredで、THE UPDATEの生成AIのテーマの回に出演させて頂きました!生成AIがビジネスに与える影響に関心のある方は是非ご覧ください!

④『AI時代のキャリア生存戦略』が好評販売中

NewsPicksのNewSchool「次世代ビジネス書著者発掘プロジェクト」で最優秀賞を頂いた書籍が好評発売中で、AI時代を生き残る3種類の戦略について解説していますので、是非参考にしてみてください!

トップ画像:GPT4 × MidJouneyで、筆者が生成

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