【日曜コラム】合成生物学の未来予想図を考える5冊

2023年12月24日
全体に公開

2023年も最後の週です。年末になると、本を読んで、深く考えてみたくなることも多いと思います。今回は、「合成生物学」の目で、単なる技術や知識ではなく、思索を深め、未来を考え、感覚を磨く「読み物」を紹介したいと思います。

①Siddhartha Mukherjee「The Song of the Cell」

日本語訳「細胞‐生命と医療の本質を探る」(上・下)が、1月下旬に発売されるようです。

ピュリッツァー賞受賞の医師による『がん』『遺伝子』に続く圧巻の科学ドラマ。顕微鏡による発見の数々から、感染症やがんとの苦闘、脳の仕組みの解明、最新の遺伝子治療まで、「細胞」からヒトそして生命の本質に迫ろうとしてきた人類の歩みを鮮やかに描くノンフィクション。

②Mustafa Suleyman「The Coming Wave」

DeepMindの共同創業者でもありInflection AIのCEOのスレイマン氏による「来るべき波」。米国では大ベストセラーになっていることもあり、まもなく邦訳されて発売されるものと思います。人工知能と合成生物学の波をどのように封じ込めるのか?人工知能の題材でもあることから、あちこちで紹介されているようですし、このトピックでも8月に紹介しています。

③広井良典「科学と資本主義の未来: <せめぎ合いの時代>を超えて」

第二のベクトルは、「ポスト資本主義」あるいは「ポスト情報化」。ポストデジタルは、科学の基本コンセプトが進化し、生命の時代になるという。ポストデジタルの時代には生命関連産業が主役になる?生命関連産業、生命経済とは何か?

AIならば可能なのか。将来世代はどうなるのか。今という時代を「限りない拡大・成長」と「持続可能性」に向かうベクトルの“せめぎ合い”の時代としてとらえ、 過去・現在・未来を俯瞰する超長期の時間軸から科学と資本主義の未来を展望する。一貫して「定常型社会=持続可能な福祉社会」を提唱してきた著者が、『人口減少社会のデザイン』『無と意識の人類史』に続いて世に問う三部作完結編。


以下、少し古い本になってしまいますが、未来を考える本として紹介しておきます。

④2060 未来創造の白地図(2020)

筆者・編集者の川口伸明氏は、薬学博士ということで、生命科学にも詳しく、2060年の未来を予想しています。合成生物学の未来の一部を想像しながら読むと楽しいです。生成AIが大きなトレンドになる前の予想ということで、そういうことも考えると読みが深まるかもしれません。

生活・文化、食と農、都市と交通、知覚と身体性、医療・ヘルスケア、宇宙・地球・環境、知の未来・知の進化などあらゆる領域について、全世界80ヶ国・約2億件のイノベーションデータから未来像を描き出す。

⑤ジェネシス・マシン 合成生物学が開く人類第2の創世記(2022)

合成生物学では、定番となっている本ですが、読んでなかったら必読です。

未来学者エイミー・ウェブと合成生物学のパイオニアであるアンドリュー・ヘッセルが、「生体をプログラミングする」合成生物学の限りない可能性について解説した書。

合成生物学は新たな産業革命の鍵となるか?」担当:山形方人

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