【合成生物学ナビ】DNAデータストレージ
LLMを始めとして、多くの最新テクノロジーは多量のデータを扱います。大規模な科学プロジェクトでは、ペタバイト単位のデータを保存する必要があります(1PB=1000TB)。
Synbiobetaに、DNAによるデータ・ストレージについての話題がでていました。今回は、この記事で紹介されていた企業、組織、概念をまとめてみました。
📌DNAli Data Technologies
ノースカロライナ州のResearch Triangleにある企業です。科学研究用のデータストレージソリューションを提供するバイオテクノロジー企業です。
📌Biomemory
2014年にフランスのパリに設立された企業です。大量のコンピューターデータを長いDNA鎖に保存するための、低コストでバイオベースのソリューションを設計しています。
📌Cache DNA
2021年にカリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアにあるFoster Cityにできた企業です。生体分子へのストレージとアクセスを広く利用できるようにすることで、個別化医療とデジタル・データ・ストレージを推進しています。
📌Data Storage Alliance
Data Storage Alliance は2020 年に設立されたコンソーシアム。Microsoft、Twist Bioscienceなどに加えて、Western DigitalやSeagateといった従来型のデータストレージ企業も参加しています。
📌Catalog
Catalog社は、2016年、ボストンに設立された企業です。次世代のデジタル・データ・アーカイブとコンピューティングを提供するために使用されるデータ変換・保存プラットフォームを開発しています。データと情報のDNAフォーマットへの符号化を容易にし、データの長期保存のための主要媒体としてDNAを使用することを経済的に魅力的なものにしようとしています。
📌DNA of Things
DNAデータストレージと消費者向けバイオテクノロジーを組み合わせたパラダイムです。
Koch, J. et al. (2020) A DNA-of-things storage architecture to create materials with embedded memory. Nat Biotechnol 38, 39–43. https://doi.org/10.1038/s41587-019-0356-z
📌BacCam
シンガポール国立大学のChueh Loo Pohの研究グループが開発している光遺伝学とDNA バーコーディングを使用する生物学的カメラです。これについては、先日、このトピックでも紹介しています。
このSynbiobetaの記事で興味深かったのは、「生物医学目的の DNA 合成とは異なり、合成中に発生するエラーに対処するためのエラー訂正コーディングがあるため、DNA データの保存に高い忠実度は必要ありません。」という説明でした。
E2Eについてなど根本的な解決策が必要ですが、カプセル化技術などでDNAサンプルを室温で保存することで、エネルギーを大幅に節約できる技術は魅力的です。
📌【合成生物学ナビ】バックナンバーから
【合成生物学ナビ】は、新たな産業革命の鍵となる合成生物学の概念をまとめていくシリーズです。
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