活躍する映像制作者たちの、いま何してる?

2022年12月1日
全体に公開

プロデューサーの「見えざる試行錯誤」という価値

映像業界やプロデューサーという職種にご興味をお持ち頂いた方々、誠にありがとうございます。NewsPicksでは「WEEKLY OCHIAI」などを制作しております古田と申します。珍しく記事を書きます。 勝手に必要に駆られて。

というのも最近色んなところで散見されますが、この業界全体に構造変化が起きています。プロデューサーをはじめとする人的役割の変化、制作工程の変化、また映像フォーマットの多様化などで半ば強制的に試行錯誤を行わされているとても楽しい状況です。

ただやはり色んなところで歪みは出てきていて、実は特に懸念しているのはせっかくの多大な「試行錯誤」やそれに付随する「痛みを伴った学び」の共有が無くなってきている点です。私が知る限り現在映像業界には著名な方はもちろん、世にはあまり出ていないとてつもなく優秀なプロデューサーたちが存在します。以前は業界内に限れば、統一のフォーマット、制作工程、視聴率、表彰などによって分かりやすくその考え抜いた試行錯誤は可視化共有され、仕組み化された徒弟制度・選抜制度によって受け継がれていた印象がありました。

しかし今はかなり難しい。

労働環境の変化やテクノロジーの発達による制作工程の変化、予算配分や会社運営の変化によって、ベテラン・中堅・若手、それぞれの意識の分断も進んでいる状況です。

でも優秀なコンテンツ制作の本質は変わらないはずで、せめてその学びの共有やそれを求めている人たちの繋がりを生み出すべきなのではないかと。それでオーナーをやってみようと思った次第です。

ただ私も講義的なものを聞くのは苦手だし、この時代にこれが正解です、というのも何なので先述の優秀なプロデューサーたちの「赤裸々な試行錯誤」を愚直にコンテンツ化していこうと思います。

映像は楽しむための一手段

私が現在代表を務める会社は、テレビ番組、CM、デジタルコンテンツ、映画、プロモーション、SNS運用、イベントなど何でも作っている日本屈指の映像何でも屋です。

そこに至るまでの来歴を少し。私はもともと東北新社でテレビ番組などを作っていた生粋のテレビマンでした。昔から色んなものを観察・考察するのが好きでドキュメンタリーにも興味があり、会社在籍当時も情熱大陸などのドキュメンタリーを作っていました。今もテレビが好きで番組も色々作ってます。ただ2010年頃から顕著に予算も減りはじめ様々な制約も続々と出てきました。視聴率という指標があまり機能しなくなってきたのもその頃からかもしれません。

私は、楽しいこと、選択肢があること、未知の刺激があること、が行動の指針なので制限が出てくると逃走し別の方法を模索する癖があります。当時は本を書いたり、DVD学習ブック作ったり(まだネットでの映像学習がない)、テレビ用アプリ作ったり、テレビでクラウドファンディングやろうとしてました。

その時に期せずして娯楽やエンターテインメントというものの根源を改めてじっくり考えていたと思います。これはもしかして大枠の設計から考え直したほうが早いかも?と。

その後はテレビの他にもあらゆるジャンルの映像を実験して作りました。ネット、SNS、海外向け、さらに映像に付随するリアルな空間や店舗なども作ってきました。ただやればやるほど自分の興味の本質、娯楽の本質に近づいているような気がしました。

それは「時代性」と「生態系」です。

私はやはり時代性に興味があります。すべての表現は時代性でしかないのでは、とさえ思っています。その時の人間と背景と道具(テクノロジー)。

また生態系は、コミュニティと時間と共有(対価)。それをうまく設計しておかないと楽しい充足感が減るのだけは分かりました。

映像に関して言うと、そもそも映画はシアターに着飾って家族や恋人と行って同じ時間を過ごして、その後のディナーまでが一まとまりのセット。テレビは数千万人で同じものを家族で観て、次の日の友人とのおしゃべりまでがワンセットでした。前提が変わると娯楽は大きく変化します。プロデューサーはもちろん映像に携わる人々はどうしても様々な再構築に触れなければならなくなりました。

映像業界の今を知って、もっと楽しく

映像業界はいま混沌としていますが、個人的にはとても面白い時代だと思います。映像・コンテンツの力でより楽しむために前例に囚われず、色んな実験と試行錯誤と失敗の最前線を共有できれば嬉しいです。

プロデューサー、ディレクター、AP、AD、構成作家、カメラマン、音声、照明、美術、車両、局員、制作会社、学生、映像にちょっとだけ興味ある人、あんまり興味ない人、映像業界以外の人、色んな立場の人が楽しく関われる場にしていきたいと思っております。

プロデューサーのみなさまに掛かっておりますので、よろしくお願いいたします。

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