「最高の学び」を自ら創るための6つのステップ

2023年11月26日
全体に公開

みなさん、こんにちは!

皆さんにとって2023年に経験した「最高の学び」とはどのようなものですか?

気づいたら学ぶことに没頭して、自分も周りも学ぶ前と後の変化を感じられるくらい、スキルアップやマインドの醸成が実感できたら、最高ですよね。

先日11月16日〜17日にドイツ・ベルリンで開催された、日独フォーラム2023合同会議に出席し、そこでの学んだ内容を簡単なレポートとして社内で共有したところ、弊社の共同代表を務める坂本からとても興味深く、めちゃくちゃ面白く、一気に読みました。視野が10倍くらい広がり、視座も10倍くらい高まった印象です。もう可能性しかないですね」というポジティブなフィードバックのコメントをもらいました。

ドイツ・ベルリンで開催された日独フォーラムで再会した日独ヤング・リーダーズのメンバーと

これまで日独間で学んだことが結果に繋がっていることを実感でき非常に嬉しく感じました。一方でこうした学びを継続しながら、未来の価値創出に繋がる効果的な学びとは何か、私自身も日々模索しています。

特に、前回のトピックスでご紹介したような少子高齢化が加速する日本において、誰もが生き生きと働き暮らす社会を実現するには、誰もが良質な学びにアクセスできる環境づくりが重要ですよね。今回のトピックスでは、「最高の学び」を自ら創るための6つのステップついて共有したいと思います。

よりよく学ぶための6つのステップ

まず、よりよい学びを創るために大切なことは何でしょうか。

米国先端政策研究所で、学びについての研究と発信をされているアーリック・ボーザー氏が書かれた「Learn Better」という書籍では、以下の6つのステップを踏むことが、頭の使い方が変わり、学びが深まると解説されています。

  1. 価値を見出す(Value)
  2. 目標を決める(Target)
  3. 能力を伸ばす(Develop)
  4. 発展させる(Extend)
  5. 関係づける(Relate)
  6. 再考する(Rethink)

価値を見出すこと(Value)は、学びたい対象を自分にとって関連性が深いものにすることでもあります。習得したいスキルに意味やモチベーションを見出すことです。目標を決める(Target)とは、何も考えずに学ぶのではなく、プロセスを管理するために目標設定、計画策定、前提となるスキルの習得や習得したい専門知識の絞り込みを行うことです。

何を学ぶか、どう学ぶか分かったら、次に必要なことは、その習熟度を伸ばすことです。能力を伸ばす(Develop)とは、今ある知識を知り、何を変える必要があるかを知ることです。自分の行動をモニタリングしフィードバックを得ることで、自分の間違いを知り、多少なりとも自分を追い込むことがスキルを伸ばすことにつながります。

発展させる(Extend)とは、重要なものは何か、この概念をどう言い換えられるか?という視点で問うことで、大事な概念を要約し、理解を深め、意味を生み出すことです。また他の人にも概念やスキルについて説明することで学びを発展させることができます。

関係づける(Relate)とは、学ぶ対象の根底にある体系を理解することです。本質的な因果関係は何でアナロジーになりそうなものを探索します。こうした行為で体系を理解することで、さまざまな文脈で知識を活用することができます。

再考する(Rethink)とは、学んだことが本当に自分のものになったか再考することです。つまり自分の知識や理解を振り返りながら、外部からフィードバックを得ることで、自分がわかっていること、わかっていないことを見直し、自分の学習したことから学ぶことです。

アーリック・ボーザー氏によると、必ずしもこの順番通りの段階を踏むわけではなく、ひたすらスキルを磨くこともあれば、モチベーションが最優先になる場合もあるそうです。しかし学習とはプロセス、メソッド、体系化であり、こうしたプロセスを踏んでこそ、専門知識が習得できると著書の中で語られています。

未知と既知の間を行ったり来たりしながら学びを深めていく (GettyImages)

自ら創る「最高の学び」とは

前回のトピックスでご紹介した、日独ヤング・リーダーズ・フォーラムの準備の目的で始めた、参加者同士の自主的勉強会は、まさに上記の6つの段階を経て、進められてきたと考えています。実際にどのように6つの段階に至ったのか、ここではご紹介したいと思います。まず、学びの価値を見出し、目標を決めるにあたり、フォーラムのワーキンググループのメンバーと「対話」の場を開くことから始まりました。

日独ヤング・リーダーズ・フォーラムの参加に向けて、テーマ別に割り当てられたグループメンバーと共に、お互いのフォーラム参加に向けた期待や思いについて、カジュアルな形式で共有しながら自己紹介を始めました。

さらに、以下のような「チームキャンバス」のフレームワークを活用しながら、コロナでフォーラムが開催延期になった期間を活用して、チームとして目指したいこと、その過程で達成したい個人・グループとしての目標、その背景にある各々のニーズや期待値、チームとして大切にしたい価値観、協働する上で大事にしたいルールや行動起点になること、お互いの持つ強みや弱み、役割とは何かなどを明確にしていきました。これは、学ぶ価値を見出し(Value)、目標を決める(Target)行為です。

実際に自主勉強会で活用していたMiroボードとチームキャンバス

その場で対話した内容が基盤となり、結果的にフォーラムが延期した3年間で合計23回に渡る自主勉強会(オンライン)を実施し、フォーラム参加に向けて準備を進めてきました。その学びの過程を整理するため、オンラインツール、Miroを活用しながら、毎回のミーティングで行ったことを記録していきました。

そして日独ヤング・リーダーズ・フォーラムのワーキンググループで割り当てられたテーマであるNew forms of living, working, and social engagement(新しい形の生活、仕事、社会的参画)について、お互いの持つ知識や経験を共有するためプレゼンテーションを行いました。そこでフィードバックし合いながら、さらに足りない視点を見極め、皆で関連する論文を読んだり、先進事例を調査した結果をまとめていきました。

また、こうした学びのプロセスから得られた得た情報を俯瞰し、何が日本とドイツの両国にとって新しい価値をもたらすのかという視点で洞察した結果を体系化していきました。その内容を論文としてメンバー3人で共同執筆しながら、ドイツのトップ25大学の1つであるレーゲンスブルク大学の関連機関であるIREBSインターナショナル不動産ビジネススクールが主催する「高齢化社会のための不動産」をテーマとしたコンペで、ドイツ側のチームメンバーが論文を発表し、外部のフィードバックも取り入れていきました。

さらに、その論文の一部を日本国内の大学の方々と行った“未来のモビリティとエネルギー”に関する共創型のワークショップの中で、共創拠点のビジョン形成のためのインスピレーション事例として共有させていただきました。最終的に日独ヤング・リーダーズ・フォーラムの発表会でこれまでの学びをまとめて発表しました。これらは能力を発展させながら(Develop)学びを発展させ(Extend)、関連づける行為(Relate)です。

日独ヤング・グローバル・リーダーズフォーラムで発表する様子

最後に、フォーラムがきっかけで行った自主勉強会、フォーラムそのものの学びを会社のメンバーに報告会として共有しました。ここで、会社のメンバーからの様々な質問を受け、答えながら学びをまとめて共有することで、自分の学習から改めて学ぶことができました。これは学びを再考する(Rethink)になります。

こうした学びの段階を踏むことで、自分自身とチームメンバーの自己成長に繋がり、さらに新たな仕事を共に生み出し未来の価値創出に繋がると実感しています。私自身も、今回日独ヤング・リーダーズ・フォーラムに十分な準備をした状態で参加することで、参加態度が評価され、後日開催されたシニア層のリーダーが集まる、日独フォーラムにも招待いただきました。

学びとは決して楽しいことばかりではないですよね。しかし最高の学びとは、自分自身が興味のあることをきっかけに、他の人々を巻き込み、共に学び合う環境を自ら作ることで、大変な状況でもお互いにサポートし合える人間関係を構築し、さらにお互いの豊かな暮らしや働き方に貢献できることではないでしょうか。

Gettyimages

皆さんにとって、「最高の学び」とは何ですか?また、それを実現するには、どんなことが大切だと思いますか?ぜひコメント欄で教えていただけると嬉しいです!

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