「AI Everywhere(どこでもAI)」化が急速に進み、ITインフラの分散化はさらに加速する 〜IDC Japan 調査などから
生成AIに代表されるAIの急速な進展は、産業や社会にさまざまなインパクトをもたらしつつあります。
産業においては、製造、マーケティング、サプライチェーン管理など、さまざまな分野での自動化と効率化が進み、データ駆動の意思決定が可能となり、企業の競争力が向上につながることが期待されています。
社会においては、教育、医療、交通などの分野で、個別のニーズに応じたサービスの提供が進むことで、公共サービスの向上にもつながることも期待されます。
IDC Japanが2023年8月10日に公表した「国内ITインフラ市場予測」において、IDCでは、
AI(Artificial Intelligence:人工知能)があらゆるビジネスプロセスに組み込まれる「AI Everywhere(どこでもAI)」化が急速に進む
とみており、「どこでもAI」が活用できる時代が、当たり前になろうとしています。
そして、
Generative AIに代表されるAIテクノロジーの活用の進展は、ITインフラに対する新たな需要を大規模に創出すると共に、ITインフラの分散化をさらに加速する。
とあるように、AIテクノロジーの進展は、ITインフラ市場の成長を大きく後押しすると予測しています。
参考ですが、ガートナーが2023年8月17日に公表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」においても「どこでも生成AI」という表現をしています。
2023年、生成AIを巡るハイプが加速しています。現在、多くの企業が生成AIを積極的に試行・実験し始めています。今後12カ月以内に、ほとんどのテクノロジ製品/サービスに生成AI機能が組み込まれ、『どこでも生成AI』の状況になっていくでしょう
2027年のITインフラの売上額を7兆6,643億円に
IDCでは、国内ITインフラ市場の2022年~2027年における支出額の年間平均成長率を8.4%、2027年の同市場の売上額は7兆6,643億円に達すると予測しています。
国内ITインフラ市場には、国内エンタープライズインフラ(サーバーおよびエンタープライズストレージシステム)市場、国内データセンター向けイーサネットスイッチ市場、国内システムインフラストラクチャソフトウェア(SIS)市場、国内ITインフラストラクチャサービス市場、国内パブリッククラウド接続用途WANサービス市場、国内パブリッククラウドサービス(IaaS)市場を含んでいます。
また、IDCでは、ライセンスの販売からSaaSやサブスクリプションなどの「リカーリング」モデルへと急速に変化するとしています。
つまり、ハイパースケーラー、クラウドサービスプロバイダー、デジタルサービスプロバイダー、通信事業者、マネージドサービスプロバイダーなどのサービスプロバイダーによる投資が増加すると予測しています。
以前、政府の「AI戦略会議」が進めるAIの利用促進、AI開発の強化、リスクへの対応、今後の進め方という記事で紹介をしましたが、「どこでもAI」やIT分散化の動きは、政府の政策的な面からも、「計算資源の整備・拡充」や「高品質データの整備・拡充、アクセス提供」などのITインフラの環境整備も重要となっています。
また、「どこでもAI」、「どこでも生成AI」の動きが加速化していくことで、GPUの不足も深刻化しています。世界規模でGPU争奪戦はしばらく続くことが予想されます。
まとめ
生成に代表されるAIの急速進展は、AIの部分に注目が集まりますが、膨大なデータ量を安全に処理し、かつ、カーボンニュートラルを意識した、分散型のIT環境への対応も急務になっていくでしょう。AI時代のITインフラのあり方は、またタイミングをみてとりあげていきたいと思います。
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