令和6年度概算要求:感染症対策部関係

2023年9月4日
全体に公開

厚生労働省では、新型コロナ後を見据えて、「感染症対策部」が新たに立ち上がりました。

この度、その感染症対策部の来年度概算要求(※)が発表されました。コロナ後に向けて、どのような事業を計画しているのでしょうか。

※概算要求は、翌年度、実施したい事業等とそれらに必要な費用等について記した要求書で、通例、夏に各省庁から財務省へ提出されます。この要求書をもとに、年末に向けて予算案のとりまとめに向けた折衝が行われます。

資料を確認すると、感染症対策部の令和6年度の概算要求は592億円でした。内訳としては、感染症対策が234億円、予防接種対策が21億円、検疫所関係が249億円となっています。

ただ、従前から実施している事業も当然多く含まれるので、全てが新規に要求している予算という訳ではありません。

次のパンデミックに向けた新規対応分は、これらのうち42億円分となっており、主な事業として以下の3事業が準備されています。

次なる感染症危機の発生に備えた検査体制の準備 [1.5億円]

新型コロナの反省を生かし、感染初期段階から必要な検査ができるよう、地方衛生研究所や民間検査機関が連携した検査体制を構築するための訓練等の費用(委託先は国立感染症研究所)。

感染症危機管理リーダーシップ人材育成モデル事業 [1.5億円]

次の感染症危機に備え、感染症の専門人材を育成するための研修の整備(委託先は国立国際医療研究センター)。また、自治体においても、予防計画に基づく研修を支援するための支援を計上しています(補助率1/2)。

新興・再興感染症臨床研究ネットワーク事業 [24億円]

感染症患者の臨床情報や検体等を速やかに収集するためのデータバンクの機能強化と、医薬品開発に向けた臨床研究体制の構築に向けた費用(委託先は国立感染症医療研究センターと国立感染症研究所。自治体と感染症指定医療機関にも定額の補助を実施)。

その他

また、海外から流入が懸念される感染症の動向を把握するため、検疫所において、症状のある入国者に対して実施するゲノム解析等に関する費用として2.8億円が計上されています。

この他、同じ健康・生活衛生局から、保健所と地方衛生研究所の機能強化のために22億円が計上されています。これは、今回のパンデミックでこれらの施設が逼迫したことを踏まえたものと思われます。地方衛生研究所については、改正地域保健法で位置付けが明確化したことも踏まえ、感染症検査室の新設・改築等についての補助(1/2)を想定しているようです。

参考文献

令和6年度厚生労働省所管予算概算要求関係

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/24syokan/

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