ネットユーザーみんなで育てるオウムと、愛すべきインターネットの世界

2023年10月9日
全体に公開

突然ですが、party parrotというgifアニメをご存知でしょうか?「party=パーティー」と「parrot=オウム」の文字通り、ごきげんなオウムのgifアニメです。

party parrot

この七色に光るオウムのgifアニメは世界中のインターネットユーザーから愛され続けています。SlackやXユーザーであれば一度は目にしたことがあるかもしれません。その始まりから今に到るまで、インターネットっぽさが滲みでており、ちょっとほっこりしますのでご紹介したいと思います。

party parrotの始まり

その始まりは、2009年9月4日にBBCが放送したテレビ番組がきっかけとなりました。世界で唯一飛べないオウムであるカカポ(和名:フクロウオウム)を撮影するという内容です。

Mnolf - Photo taken on Codfish Island (Whenua Hou), New Zealand

番組中に登場したSirocco(シロッコ)と名付けられたカカポ。彼が番組中にカメラマンの頭に飛び乗り交尾を始めます。番組内のそのシーンからgifアニメが誕生したのでした。なんとも目の付け所がインターネットっぽいです。そしてそれを知ってか知らずか世界中で拡散されるところもまたおもしろいです。

最初にgifアニメを作成したのはGeiger Powell(ゲイガー・ポーウェル)さんで、当時はただの緑色のカカポでした。その後、七色に光るバージョンを誰かが作ります。そして2014年頃から、インターネットミームとして爆発的に拡散されていくのです。

ちなみに最初に作ったゲイガーさんは、投稿から数年後に世界中でリメイクされていることを知ります。そして七色に光らせたヒトがわかっていないことがインターネットっぽいミステリアスな感じで、なんだかロマンを感じます。

コミュニティの誕生

インターネットから生まれたparty parrotですが、熱狂的なファンの間で「Cult of the Party Parrot」というコミュニティが作られます。そしてこのコミュニティでは、より多くのヒトが作成でき、拡散できるようにparty parrotの権利を解放しています。party parrotの素材はリメイクも商用利用も可能ですが、利用者は同じく権利を解放するという規約になっています。

つまり「インターネットユーザー全員がparty parrotの所有者である」という考え方なのです。以下、Cult of the Party Parrot でユーザーが作っていったparty parrotたちをいくつかご覧ください。どれも可愛いです。

birthday party parrot
tpparrot
maracas parrot

時事ネタもあります。

covid19 parrot
doc parrot
stay home parrot

今もなおたくさんのparty parrotが生まれ、増え続けています。世界中のインターネットユーザーがこのオウムを生み、そして育てているのです。

絶滅危惧種を救う

コミュニティCult of the Party Parrot ではWEBサイトの冒頭にこんなコピーを掲げています。

「PARTY OR DIE (パーティーしないと死んじゃう〜)」

party parrot に一段と愛着を沸かせるとてもキャッチーなコピーです。その一方でカカポの絶滅危惧にもかかっており、意味深さも持ち合わせています。party parrotを拡散することで、カカポの存在も広めることになるのです。

同コミュニティのサイト下部バナー「Donate To Keep Them Partying(彼らがパーティーを続けるために寄付して)」からカカポ保護への寄付は行えます。このコピーがまた良いです。

こういった野生動物保護という題材を可愛いgifアニメ拡散で広げていく、インターネットならではの方法、私はすごく好きなんです。

愛すべきポイントまとめ

・元ネタがオウムの交尾。

・いつの間にかたくさんリメイクされて拡散されていた。

・七色でgifアニメを作成したヒトがいまだにわかっていない。

・今もなお新たなparty parrotが生まれ続けている。

・party parrotの拡散がカカポを絶滅から救う。

・インターネットユーザー全員が生みの親で育ての親という考え方。

さいごに

インターネットが普及し、そこから新たなカルチャーが生まれてくる現象を私たちは日々体験していると思います。もし私が「自分が生きた時代にはこんなことがあった」と説明するとしたらインターネットは外せない話題です。そしてそのカルチャーの一因に自分もなれると思うと胸がときめきます。

インターネットの世界では、今後どんな時代を切り拓かれるのか、それは私たちユーザーに託されています。

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
津覇 ゆういさん、他732人がフォローしています