理系出身の女性がなぜ必要かを考える - 理系と文系を分けない Part2

2024年2月27日
全体に公開

前回の振り返り

前回のPart1にて・・

1 女性であるがゆえに理系進学を反対された経験。今も理系を目指す女性には両親の影響値が多いこともデータとしてわかっています。

2 昨今、経営者に理系出身が増えたこと

理系出身の女性が他国に比べて非常に少ない点が、経営層に女性が増えない理由とも関連している

について自身の経験から述べさせていただきました。では今後、理系の女性を増やすにはどうすればよいのでしょうか?

理系と文系に分ける必要はない

結論から言うと、理系と文系に分かれているのが増えない原因です。

これは色々な人が最近述べていますし、つい最近、東京大学でも、文理融合の5年制教育課程創設を発表しました。とてもうれしいことです。では、なぜ分けないほうがいいのか。

理系に進んでよかったと思っている点

私は自分が工学部応用科学科というところを卒業しました。自分がやりたい研究室に入れたものの、それを一生続けていきたかった思いは徐々に消え、全く違う道へ行きたくなりました。ですが、その道を貫き、大学で研究されたり企業で技術を生かした仕事をされている方もいますし、彼らをとても尊敬しています。(私にはできなかったので・・)

まず、当時、その専門性を活かした道を選ばなかった理由は大きく2つあります。

1. 大学院を出ても、いい就職ができなさそうと思った点。(女性で院出ていて活躍しているロールモデルを聞いたことがありませんでした。また一人だけ女性で修士の方がいましたが、就職先が決まらず博士へ。氷河期だったということもありました。学士だと専門職にはつけないと脅されてもいました)

2. 当時研究室が閉鎖的な空間と感じ、バイトもできず、今でいうワークライフバランスはないと思った点。(遊びもやりたいという私の我儘でした・・)

しかし、理系の学部を出て、本当によかったと思っています。理由は以下です。

1. 数値を使った分析と論理的思考能力が身についた。

当時、まだパソコンと言ってもほとんどの人は持っていない時代だったのですが研究室にMacがあり、卒論のためにRNAや細胞を数値化して、分析して、論理的に答えをだし教授たちに説明しなければなりませんでした。とても大変でしたが、ここで学んだ、材料を洗い出し、深堀をし、数値を使って論理的に説明する能力は、Amazonなどの外資では必須であり、その後のキャリア人生に非常に役立ちました。

2. 自然とPDCAや仮設検証の能力が養われた。

様々な物質を作りがん細胞を滅亡させるという研究だったのですが、無限にある配列から仮説をして条件を変えて、トライアンドエラーをやっていくことをアジャイル方式で今思えば行っており、それが、PDCAを高速で回したり、複数プロジェクトを同時に回したりする能力につながっているなとも思います。

今は文系でも理系でもパソコンが当たり前にあり、数値分析くらい行っているとは思うのですが、それでも、20代30代でも、数値を使って論理的に説明できる人が少ないと非常に感じます。

文系を選択すると、理系で経験できる論理的思考など学ぶ機会がぐっと減る

数学が得意か苦手かで文系か理系かを分けるのは反対です。

ぜひ、論理的思考の科目を増やして中学生くらいからやってほしいなと思います。どうしても数学だと数字の計算が入ってくるので、苦手な方もいるでしょうが、情報を整理してわかりやすく他人に説明する能力はグローバル社会の中、仕事でも家庭でも必要です。

しかし、意外にこれができない人が多いと感じます。数学で判断ではなく、論理的思考能力を数学が苦手でも養い、進んだ分野でさらに磨きをかければ、もっとよくなるのにと思います。

私の経験からですが、この論理的思考が理系に進むと色々経験ができるのですが、当時ですが、文系出身の方々はデータを使ってグラフを作るということも経験がないと言っていました。

また、まだまだ学歴社会の中、「文系出身」というだけで、キャリアが制限されてしまう企業もたくさんあります。

海外の大学では、日本のような一発試験ではなく、高校3年間の成績は必要ですが、入試は基本論文ですよね。国によって多少異なりますが、Amazonで有名な「初め10分沈黙の会議」は、まず、この会議で決めたいこと、主張したいことが冒頭にきて、次に、論理的に完結的に、数字などを用いて事実が記載されたホワイトペーパー(ワンページャー)を使います。これは、簡潔にロジカルに説明できるスキルがあるのとないのとで、かなり進み方が違います。

もっと若い時に誰か教えてもらって実践していればもっとよかったのに、と思っていました。

まとめ

理系に女性が少ないのは、理系はどうしてもたいへん、苦労しそうというイメージもあり、女性が活躍しているロールモデルもそもそも少なく、増やしてく必要があります。

かといって、文系に進むと、理系で学べる今後のグローバル社会で必要と思われるスキルの学びが制限されてしまいます。文系には文系のすばらしい学びももちろんあります。

ですので、理系で学ぶ数値を使った分析や、論理的思考能力を高めるための学びは理系文系関係なく行っていただき、その先により専門性の高い分野を学べるようにする、すなわち、文系も理系もわけず、専門性は専門性の時間があり、それ以外は、学生であれ社会人であれ、同じでいいと思っています。

ぜひ、大学だけではなく、理系文系でクラスを分けてしまう中学から高校も変わってほしいと願います。

次回Part3では、女性理系も少ないですが、さらにその中でリーダーが圧倒的に数ない点について、考えたいと思います。

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
樋口 真章さん、他34人がフォローしています