加齢と戦う新ビジネス、更年期市場戦略

2024年4月7日
全体に公開

0.この記事でわかること

・2024年第1四半期、海外更年期市場の資金調達や買収

・2024年第2四半期以降の更年期市場予測

2024年2月に初来日したフェムテックの産みの親と言われる、ドイツの月経管理アプリを開発したイダ・ティン氏も「フェムテックの中でも更年期市場に注目している」と述べており、更年期市場が非常に注目されている。

そこで今回は、2024年1月〜3月の海外更年期市場の資金調達や買収を振り返り、今後の動きを予測してみた。

フェムテックの生みの親 イダ・ティン氏(GettyImages)

1.🇮🇳🇺🇸Dr.Reddy's Laboratoriesが、MenoLabsを買収

インドの製薬企業Dr.Reddy's Laboratoriesが、米Amyris社から、更年期の症状に対応する補助食品ブランドMenoLabsを買収。

MenoLabsの製品は、自社サイトだけでなくAmazonやWalmartなど、幅広く米国で販売されている。

昨年から、製薬企業が更年期向けのブランド等を買収する動きが、米国では増加しており、今年もこの流れが続くと推測している。

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2.🇫🇷更年期サポートアプリOmenaが、80万ユーロの資金調達

フランスで、アプリを通じて更年期女性向けサポートサービスを提供するOmenaが、80万ユーロの資金調達。同社ユーザーの80%は、アプリを2週間使用後、心身ともに気分がよくなったと回答している。

フランスでは、年間50万人の女性が更年期を迎えているが、人数が多いにも関わらず、これまでほとんど注目されてこなかった更年期市場。

フェムテックが発展している欧州でも、更年期スタートアップのほとんどが英国にある中、フランスで3年前に創業された同社。アプリ利用者のうち10%が課金メンバーとなっている。

フランスは、世界最大のベンチャー基地と言われるStation Fで、フェムテックのプログラムを実施しており、注目すべき国のひとつである。

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3.🇳🇱更年期サポートプラットフォームViが、資金調達

オランダのViが、NN Groupから資金調達。同社は、更年期前後の180万人のオランダで働く女性のうち90%が、さまざまな不調を抱えているが、適切な医療を受けられていない課題を解決しようとしている。

Viのアプリは、ユーザー1人ひとりに合わせた専門家へのアクセスが可能であり、2024年から企業や従業員向けにも福利厚生サービスを提供している。

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4.🇪🇸更年期向け非侵襲治療法を開発するDommaが、95万ユーロの資金を確保

スペインのDommaが95万ユーロの資金調達を実施。更年期女性向けの栄養補助食品や、デジタルサポートを強化する。

更年期のスティグマ(差別・偏見)をなくし、ユーザーの個々のニーズに合わせたサポートや情報提供することで、女性ホルモンが大きくゆらぐ更年期のパフォーマンス向上を目指している。

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5.🇺🇸更年期テレヘルスElektra Healthが、330万ドルの資金調達

更年期テレヘルスを提供している米Elektra Health。

「更年期のタブを打破する」をミッションに、信頼できる専門家からのアドバイスをはじめとする全面的かつ統合的なアプローチを提供している。

米国では5人に1人の女性が、更年期障害を理由に仕事を辞めることを検討しており、更年期障害に伴う生産性の低下により、企業は年間8,100億ドルの損失を被っている。

米国では、ミシェル・オバマ氏やグウィネス・パルトロウ氏をはじめとするセレブや著名人が、更年期障害を社会課題として捉え、オープンに情報発信している。更年期障害に対する理解が進み、積極的に活動できる環境が少しずつできつつあるようだ。

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6.まとめ

女性の社会進出が進む中、女性の健康課題への対応が重要視されているが、さらに女性管理職や役員の増加もあり、世界的に更年期女性の健康課題が注目されている。

その理由として、更年期症状・更年期障害は、ホットフラッシュ、不眠、うつなどの身体的・精神的障害が現れやすくなり、これらの症状は、判断力や業務遂行能力に影響を与える可能性があるためだ。

2024年1月〜3月の海外更年期市場の資金調達をみても、アメリカ・フランス・オランダ・スペインと、欧米を中心に資金調達が活発になっている。働く更年期女性が増加する中、2024年度も更年期市場からますます目が離せない。

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7.【イベント案内】5月15日(水)開催:女性の健康課題とパフォーマンスの可視化

🔗申込リンク→ https://femtechcommunityjapan20240515.peatix.com/

Femtech Community Japan第28回イベントは、「女性の健康課題とパフォーマンスの可視化」をテーマに開催。

女性の健康課題に取り組む企業から、女性特有の健康課題が、業務効率や就業継続に与える影響についてのお話しを予定しています。

経済産業省の調査によると、女性特有の健康課題による労働損失等の経済損失は、日本国内全体で約3.4兆円と推計されていますので、ご興味のある方はぜひお申し込みください。

Facebookグループでは、参加費用が半額になるクーポンコードも発行しています。

🔗 https://www.facebook.com/groups/femtechcommunity

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