嫉妬の要因 - 感情の棚卸しの必要性 -

2024年3月15日
全体に公開

みなさん、こんにちは!第5期Student Pickerの遠藤美海です!

前回は、福本さんが「福島の今」について語ってくれました。

ゼロから生み出す、そんな余白を楽しみながら課題に向き合い続ける大人・学生達。街を信じ、事業を信じる彼らをかっこいいと思いました!

被災地と呼ばれる場所に必要なのは、同情ではなく共感なのではないでしょうか。

私が最近特に興味を持っているのが「嫉妬感情」です。調べていくと嫉妬という感情には、大切にしているもの・人間の脳・人類の進化と大きな関わりがありました。

就職偏差値というネットの基準や現在行っている売り子のアルバイトという杯数競争によってふとした瞬間に湧き出る嫉妬感情に向き合ったことで、すこし生きやすくなったのではと感じています。

今日はそんな「嫉妬の要因」について話をしていきたいと思います。

何に嫉妬するのか

 (写真:freestocks/Unsplash)

あなたは嫉妬を感じやすい方ですか?妬みの高さに応じて1~5点で採点してみてください。

1. 毎日のように羨ましさを感じる
2. 他の人より自分ができないと感じる
3. 羨ましいと感じると私は苦しむ
4. 何でもすぐできる人を見るのは不満
5. どんなことをしても羨ましく思うと悩む
6. 自分には何か足りないと感じて悩む
7. すべての才能をもっているかのような人たちがいることは、すこし公平でない
8. 正直言って友人が上手くいくと腹がたつ


(澤田匡人, & 新井邦二郎(2002)『妬みの対処方略選択に及ぼす, 妬み傾向, 領域重要度, および獲得可能性の影響』 TABLE1参照)

嫉妬傾向を評価する尺度があります。日本の小中学生を対象にした調査では平均点は21.28点で私は18点でした。平均的な嫉妬深さですね。

こういった嫉妬感情を抱く場面として「三角関係」がよく挙げられます。自分にとって価値を置くものが恋人であるとき、その恋人を所有した恋のライバルへ嫉妬を抱く。これが一般的な三角関係の構図です。

これまでの恋愛経験を参考に筆者作成(図1)

ここで、もう1つ嫉妬の構図が考えられます。自分が「愛し合うこと」に価値を置いている場合は、恋人に嫉妬が向かうという構図です。

これまでの恋愛経験を参考に筆者作成(図2)

上記から、嫉妬は「”自分が価値を置くものを所有した他者”に対して抱くもの」であると考えます。

また、これらの嫉妬は対象が有名人(スポーツのプロ選手や俳優)などでは起こりづらいことから、自分が同等だと思う人物・範囲に限られると考えます。

なぜ嫉妬をするのか

ではなぜその対象に嫉妬感情を引き起こすのか。まず1つ目の要因は「人間の脳」にあります。

(認知的不協和と選択による好みの変化の神経基盤, 玉川大学脳科学研究所 参照)

ある研究によると報酬に関連する線条体という部位は「自分の得」と「相手の損」による脳の反応を区別していないということが示されています。

また妬みの感情は帯状回前部と呼ばれる葛藤や痛みを処理する場所と関連し「もやもや」を発生させます。

つまり、私達の脳は相手の得によって自分が損をした時と同じダメージを受けるのです。

また、人間はこれまで「地位向上に駆動されて競争すること」で生き延びていきました。ストレス状況を克服するために積極的な行動を引き出すという嫉妬の役割が社会活動上不可欠だったのです。

(写真:Zhyvchik/Unsplash)   

嫉妬は普遍的な感情ですが、嫉妬が厄介なのは「別の感情・行動を引き起こす」という点にあります。

自分の価値を否定する自己嫌悪や悪口。自分が価値を置くものを所有した他者を物理的に集団から外す、仲間外れなど。

本望では無いのに、ふつふつと湧き出て身を焼き焦がすような嫉妬感情はできれば最小限に抑えたい…!そこでどうすれば回避できるのかを考えてみました。

どうやって嫉妬を回避するか

(写真:Daoudi Aissa/Unsplash)

1つ目は「弱いつながりを見直すこと」です。

弱いつながりとは、交流の機会が少ない距離を置いた人間関係のこと。

キラキラした生活を送る友人や成功をしている同年代のインスタグラマーを見て、モヤモヤした感情が湧き出た時、それは契機にもなるし絶望にもなります。

嫉妬は、自分に足りない部分を気づかせモチベートしてくれますが、時には他人の欲望に便乗し自分を見失うこともあります。このような嫉妬を抑えるために、SNSによって必要以上に広がった弱いつながりは改めて見直し、減らすことが必要だと考えます。

(写真:Florian Schmetz/Unsplash)   

2つ目は「感情の棚卸し」です。

私達は自分を見ることができません。だからこそ、日記をつけたり、誰かに相談したりすることで自分を客観視しようと試みます。私もその一人で、日頃から日記に加えて感情の棚卸しを行っています。

感情の棚卸しとは、例えば、その感情を紙に殴り書きでもいいから書き留めることです。以下に私の感情ノートの一部を掲載します。

(日々の自分の感情や人と話して好きだと思った考え方・気になった言葉を書き留めています)

感情の棚卸しを行うことで、もやもやの解消や自分の価値観がクリアになっていく実感があります。

書いた数週間後に見返したりもしますが、びっくりするくらい内容を覚えていません(笑)1年前に書いた感情と同じことが書いてあったりもします。

日頃忘れ去られていく感情の動きや考えを書くことで、自分が本当に価値を置くものに気づけたり、一時的な嫉妬感情に惑わされなくなります

「嫉妬を知る」は「自分を知る」

(写真:NEOM/Unsplash)   

嫉妬感情は原動力になります。自分に頑張るきっかけを与えてくれるかもしれません。一方で自分のキャパシティを超えると焦燥感や劣等感などマイナス感情を増幅させる恐れがあるのも事実です。

その感情を否定するのではなく、押し殺しそのままにするのでもなく、出てきた感情を受け止め書き留めて置くことで私はかなり生きやすくなりました。

嫉妬感情やもやもやで悩まれている方が、すこしでも自分だけじゃないと前向きな気持になれていたらうれしいです。

▼参考文献
出馬圭世,松元まどか,村山航,鮫島和行,定藤規弘,松元健二(2010)『認知的不協和と選択による好みの変化の神経基盤』玉川大学脳科学研究所

Dunn, Elizabeth W.; Aknin, Lara B. and Norton, Michael I. (2008)Spending money on others promotes happiness, Science

澤田匡人, 新井邦二郎(2002)『妬みの対処方略選択に及ぼす, 妬み傾向, 領域重要度, および獲得可能性の影響』教育心理学研究

戸田正直(1992), 『感情―人を動かしている適応プログラム』東京大学出版会
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