ブレグジットとゲノム編集治療

2023年11月18日
全体に公開

11月15日、英国の医薬品規制当局であるMedicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) は世界で初めて、CRISPR-Cas9遺伝子編集ツールを治療法として使用する治療法を承認しました。

CRISPR-Cas9を使った治療法としては世界で初めて承認されたものになります。

Vertex Pharmaceuticals (Europe) Ltdが申請していた「Casgevy」と呼ばれるこの治療法は、鎌状赤血球症やβサラセミアなどの血液疾患を治療するものです。実は、このゲノム編集治療については、既に、「鎌状赤血球症のゲノム編集治療(11月1日)」で、Exagamglogene autotemcel (Exa-cel)と呼ばれる一般的な方法として詳しく紹介しています。

Vertex Pharmaceuticalsは、1989年にボストンに設立された企業です。

この治療の価格は英国ではまだ決定されていませんが、他の遺伝子治療の価格と同様に、患者1人当たり約200万米ドルかかる可能性があると予測されているようです。日本円にして、患者1人当たり3億円です。

ところで、この決定が英国でいち早く行われたのは、英国のBrexitの結果、他のEU諸国とは独立した規制や決定が行われるようになったからだそうです。EUは、さまざまなことについて、米国や日本より先端的あるいは保守的ともいえる特徴的な規制を行う傾向があるのですが、英国のBrexitの影響がこんなところにもあるというのが興味深いです。

そして、米国のFDAの承認もまもなくと思いますが、米国では患者も多いので、より注目されそうです。

合成生物学は新たな産業革命の鍵となるか?」担当:山形方人

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