複雑に入り組む米AI企業群 図式化して読み解く
初めまして、通信系シンクタンクの研究員をしております、南と申します。
このトピックスでは、日本語のメディアがあまり伝えないようなAIの海外情勢、さらにICT全般に関する動向を中心に紹介していきます。
どうかよろしくお願いいたします。
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生成AI(人工知能)という言葉を爆発的にはやらせたChatGPTの登場から今月末で1年。日本語に強い「和製生成AI」も相次いで登場する中、発祥地の米国では10月末にAIの安全性や雇用確保に関する大統領令が公表された。
本記事では、大統領令発出までの経緯に関わった主要AI企業を中心に、その顔触れを模式図とともに紹介していく。
![](https://contents.newspicks.com/topics/221/posts/1/images/20231113202244490_kWwpTrFu.jpg?width=1200)
大統領令は当初、グーグルやマイクロソフトをはじめとする主要AI企業7社とバイデン政権とがAI規制などで合意した7月の時点から、「近く」出されるとの観測もあった。その後、9月にIBMなど8社が合意に加わる形で15社に拡大、10月に満を持して発出された形だ。
その内容は、安全性や雇用、技術革新など多岐にわたる。水面下で各企業と政権の綱引きがあり、文面は米国の官僚機構に揉まれ、練りに練られてようやく署名される運びとなったのだろう。大統領令の新ルールは今後、日本のAI政策にも少なからず影響する。
上図の赤枠で囲った7社が最初に合意し、追加で加わったのが青枠の8社だ。「何年も前から生成AIを研究してきた」(ティム・クックCEO)というアップルや、起業家のイーロン・マスク氏が率いる「xAI」は合意に加わらなかった。その事実だけを見ても、複雑な企業間の駆け引きがうかがえ、人間模様すら透けて見える。「敵の敵は味方」である一方、「敵の敵はやはり敵」といった入り組んだ相関だ。
「宇宙の真理を解き明かすための対話型AI」と謳う独自のAI「Grok(グロック)」の提供方針を示したばかりのイーロン・マスク氏のxAI、秘密主義のアップル。他にも、ChatGPTの対抗馬と目されるClaudeを手掛けるAnthropic(アンソロピック)や、来年以降ますます注目が集まるであろう「パーソナルAI」の開発を加速させるInflection AI(インフレクションAI)など、各社の提携戦略、情勢は刻々と変わる。
図の矢印が示す通り、提携したり、袂を分かったりと各社は合従連衡を繰り返している(※)。そして、ここに載せきれないほど多くのAI関連企業、スタートアップが虎視眈々と商機を睨いんでいる。まさに群雄割拠だ。
(※ 提携や出資の関係は公表データなどに基づく。ただし網羅性はない)
![](https://contents.newspicks.com/topics/221/posts/1/images/20231113210339759_hvW9U6ff.jpg?width=1200)
変わりゆく状況を踏まえ、折に触れて記事にしていきたい。
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