【岸田首相 経済対策の柱】ポイント解説
9月25日、岸田首相が新たな経済政策の方針を表明しました。
日本経済新聞社が実施した世論調査によれば、優先してほしい課題のトップは「物価対策」が42%にも達していただけに、経済対策の行方に焦点が集まっていました。
■経済対策の2本の柱は
① 経済成長の成果を適切に還元すること
② コストカット型経済から30年ぶりに転換する
■2つの方針を具体化する5項目
(1)物価高から国民生活を守る
(2)構造的賃上げ、所得向上と地方の成長
(3)成長力につながる国内投資促進
(4)人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革
(5)国土強靱化など国民の安心・安全
■個人消費と企業の賃上げ
この中で、やはり特に重要なのが「個人消費」と「企業の賃上げ」だと思います。
そこで、本日発表したポンタリサーチとラジオ番組「馬渕・渡辺の#ビジトピ」と共同調査の消費動向を考察したいと思います。
『消費と物価意識に関する調査』
アンケートの中で、秋以降、出費を増やしたい項目は「特になし」が57%で最多で、お金を使いたくないマインドの方が増えていることは懸念点です。個人消費を冷やさない政策が待ったなしです。
さらに「この秋以降、出費を削りたい」のはなにか。トップが「外食」だったといい、外食を控える流れが伺える。このまま、物価の上昇が続く場合、約半数が「家計の見直しや節約を強化する」とかなり節約モードになっています。
フリーアンサーの個別の意見で最も目立ったのは「値上げが続くことに不安を感じるようになった」「もう、仕方ないと思うようになった」という「あきらめ意見」も見られました。
■年収の壁の解消~時代の価値観に合わせた改革~
本日の岸田首相の会見では、「年収の壁」で1人最大50万円助成に言及しました。
この助成制度は「106万円の壁」問題の根本的解消にはならないことを政府も認めています。抜本的な見直しは、2025年の法案提出を目指す年金制度改革の中で議論することになっています。時代に価値観に合わせた改革が待たれます。
年収の壁に関しては、働きたいけど働けない。パートやアルバイトが保険料を払うと手取りが減る「働き損」の問題があります。また、企業側も人手不足が続き、パート労働者にもっと働いてほしいという企業は増えています。1人50万円を企業に配り、パートらが社会保険に入っても手取り額が減らないよう支援する検討に入っていますが、それでは根本的解決に向かわないのは明らかです。
「年収の壁」問題に関しても、ポンタリサーチとラジオ番組「馬渕・渡辺の#ビジトピ」と共同調査を行っています。
調査で、勤務時間を調整する人の6割が「本当はもっと働きたいが、年収の壁がありシフトを増やせない」と回答。また年収の壁の解消や改革を望む人の49%が年収の壁がなければ「現在の職場で勤務時間を増やす」と回答をしています。本調査における悲痛な声を参考にしていただき、税や社会保険制度がパート、アルバイトの就労を妨げることがないよう根本的な対策を講じて欲しい。
なぜならば、この制度は専業主婦を前提とした、少し時代遅れの制度となっているように思うからです。
さらに、独身者や共働き世帯がその分保険料を負担しているなどの不公平感も残しているのが現状です。
また、企業も、全ての企業が「賃上げ」ができる状況ではない。賃上げできるのは「大企業」だけであり、日本の99.7%にあたる中小企業に「賃上げ」できる余裕はありません。継続的な賃上げに取り組んでいる企業に、補助金の支給などを検討する必要があるでしょう。
■財源の問題
円安は政府の税収を増やします。
本日の岸田首相の会見でも「税収の増加を国民に還元」するこの文言がありました。
円安によって、輸入コストが高まり個人の家計を苦しめるという考え方は、誤解を招いている可能性があります。
円安はGDPを増加させ、経済全体で見ればプラスになります。だた、最もプラスになるのが国=税収です。
法人税、消費税などが上振れし、国が保有する外債は為替で利益も出ます。
つまり、政府の増えた財源を、しっかりと国民に還元していくことが求められます。
染みついたデフレマインドから、脱却しつつある日本だが、これを本物にできるかどうかは政府の舵取りにかかっています。元のデフレに引き戻される負の力は、想像以上に強いわけです。賃金上昇を伴うところまで、気を抜かずに、やり切ることが求められます。
コストカット型経済から30年ぶりに転換できるかどうか。
以下の、国民の生の声をぜひご参考にしていただきたく存じます。
『年収の壁に関する調査』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000636.000004376.html
『消費と物価意識に関する調査』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000657.000004376.html
※「ロイヤリティ マーケティング」調べ
見出し写真:gettyimages
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