コペンハーゲンに学ぶ、心地良い体験に投資することの意味

2023年8月9日
全体に公開

デンマークを訪れて考えさせられたのが「人が心地良いと感じる体験デザイン」についてです。

最近こんなことを考えています。

パブリックスペースの質が高まることにより、経済・商業活動が活性化をする例は、データでも出ているようです。

人が歩きたくなる街、人が座って滞在したくなる街にすることで、周辺の商店も繁栄して、街に活気が生まれることにつながっているとのことです。

体験の質を高める→経済的な繁栄

コペンハーゲンの街を歩いていると、街中にたくさんのオープンスペース、無料で座れるベンチがあります。

オープンスペースが充実しているので街に活気と、人間らしさを感じることができる

根拠をもって、人が過ごしたくなる場所に投資がされている

コペンハーゲンは世界一住みやすい街とも言われますが、その存在を世界に知らしめたのがヤン・ゲールです。

彼の観察調査から、
・人の体験の質は、人が立ち止まり、滞在し、座るという行動によって左右されること.
・体験の質が高まることは、街の経済的繁栄につながること
が仮説立てられ、実践がされてきているようです。

北欧のパブリックスペースの書籍にヤン・ゲールの仕事について書かれていました。

ゲールは、人の数だけでなく、彼らの行動を観察し、どのような要因が行動に影響を与えるのかを分析しました。ストロイエはすでに歩行者専用道路でしたが、分析を進めるなかで歩行者の数にはそれほど意味がないことに気づきます。それよりも重要だったのは、人々が立ち止まり、滞在し、座るタイミングでした。そこで彼は、立ち止まり、滞在し、座るという行動が、その空間での人々の体験の質に左右されることを発見したのです。そして、ストロイエをはじめとする市内中心部の通りが商業地であったことから、この発見が同市の経済的繁栄にも関わることもすぐに理解されるようになりました。
北欧のパブリックスペース P19
人は座っている間に何かを眺めることを好み、なかでも他人をよく眺めることに気づきました。そして、天候や人間の観察行動に基づいた座席の配置が、座席そのもののデザインよりもはるかに重要であると結論づけたのです。
北欧のパブリックスペース P20

人間が人間らしく心地よく過ごせる場所への投資が、世界一住みやすい街につながっていることが理解できてきました。

オープンスペースには何かを禁止する張り紙などなく、それぞれ好き勝手に自由に過ごしている

前回の記事でも取り上げましたが、コペンハーゲンは街のコンセプトをLivable Cityと設定し、実現するための2025年目標が明確に置かれています。

その中に、

「コペンハーゲン市民の都市空間での滞在時間が20%増加。」

が設定されています。

コペンハーゲンの調査をする中で、空間(リアル店舗でもネットでも)人の滞在時間を増やすことの意味を改めて考えるようになりました。

マーケティングは「人の心地よさ」と向き合えているか?

マーケティングの仕事は数字を追いかけると、
・いかに効率良く売上をつくれるか?
・集客できるか?
を真っ先に考えがちです。

サイトの滞在時間、お店の滞在時間が長くても、買ってもらえなかったら意味がない…

と考えられることが多いと思います。

本当にそうでしょうか?

いつも企業都合のゴールに誘導されるような空間に、人は何度も訪れたいと思わないはずです。

コペンハーゲンは、人が心地よく過ごせる街・空間づくりに投資をし、その結果として世界で評価される街になっています。

ブランドも同じで、人が座りたい、滞在したいと思える体験の質を高めることが、最終的に経済的繁栄につながると考えています。

ほぼ日に、ビジネスにおける心地よさのヒントがあるかも

ほぼ日は、人が心地よく過ごせる時間を提供して、その結果として競争優位性を発揮しているブランドです。

ほぼ日刊イトイ新聞のメディアを訪れる人の心地よさを損なうようなことは「やらない」と決められています。

  • サイト上で広告を売らない。
  • 広告記事を載せない。
  • 読者の囲い込みをしない。

ほぼ日手帳を中心に、売るものはあるのに、体験に投資をする→結果として選ばれている典型例だと思います。戦略の詳細はポーター賞のページを読み込むことオススメです。

人間にとっての心地よさを考えるための参考に

都市・地域に「人間らしさ」を取り入れるデザインの考え方に興味がある方は、ヤン・ゲールのTEDを見てみることオススメです!

また、下記のPDFに記載されている、ヤン・ゲールが提唱した12の質的基準も人間らしい街のデザインとは何か?を考えるヒントになると思います。

都市政策の立脚点は“アクティビティ”である

引用元:都市政策の立脚点は“アクティビティ”であるhttps://www.homes.co.jp/search/assets/doc/default/edit/souken/PDF2015/sensuous_city_09.pdf

今日は、コペンハーゲンの街づくり・体験づくりから学ぶマーケティングをテーマに書いてきました。

また、デンマーク・コペンハーゲンからの学びシリーズは書いていきたいと思います!

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