【休暇の過ごし方】休み明けすぐに「高い集中力」を発揮できる方法

2023年8月7日
全体に公開

夏休みの時期が近づいてきましたね。昨年は「優秀な人の休みの過ごし方」を紹介して、大きな反響をいただきました。

今年も、休暇期間にちょっと心がけることで、休み明けから集中力を高められて、パフォーマンスが大きく変わる「休みの過ごし方のコツ」を紹介します。ぜひ最後まで読んでいただき、お休みの計画を立ててみてください!

◇アスリートは集中力をどう発揮しているのか?

みなさんは、「フロー状態」や「ゾーン」という言葉をご存じでしょうか。

これは「集中力が極限まで高まった状態」を指し、特にアスリートが活用していることで知られています。

集中した時にしか上げられない重さ、出せないスピードがあり、その限界のパフォーマンスを出した時でしか得られない身体情報があります。集中していない人間には体験できない、ある世界があって、そこからの情報価値が非常に高いのです。
――為末 大

ビジネスの世界でも、優秀な人たちは「ここぞ」というときに高い集中力を発揮します。

ただ、残念ながら集中力は永遠に続くものではないため、大事な場面で意識的に集中力を発揮できるかどうかが、パフォーマンスに大きな影響を与えるといえます。

では、集中力のオン・オフを意識的にコントロールすることは可能なのでしょうか。

◇集中力とは、「他の情報を遮断するチカラ」

多くの人が集まっていて騒がしい場所でも、自分の名前を呼ばれたら反応できる――みなさんも、こういう経験があると思います。これを「カクテルパーティー効果」といいます。1953年、イギリスの認知心理学者、コリン・チェリーの実験で確かめられた現象です。

ヘッドホンで左右異なる音声を流して、どちらか片方だけに集中して音声を復唱すると、もう片方の音声はほとんど記憶がないという状況になります。これと同じことが、パーティー会場でも起きています。目の前の相手の会話に集中するために、他の音声を無意識に遮断しているのです。

◇集中できない大きな要因は「環境と状況」

これは、人間の脳が本来複数のことを同時に行う「マルチタスク」に向いていないことを示しています。

マルチタスクがなぜ難しいのか。それは、直前の情報をしばらくの間だけ記憶しながら処理する「ワーキングメモリ」という仕組みが関係しています。

読書中の場合、前ページの内容を一時的に覚えながら、次ページの情報を理解することができます。しかし、このワーキングメモリは、新たに集中すべきことが発生すると、どんどん書き換わっていってしまうのです。

たとえば、読書の途中で電話がかかってきて、しばらく電話対応した後で読書に戻ると、前のページに書かれていた内容を忘れている……こんなことがよくあると思います。

だからこそ、集中したいときには個室に入って作業したり、誰からも中断されない夜中に作業したりすると捗るわけです。また、カフェなどで集中できるように感じるのは、先ほどの「カクテルパーティー効果」で、雑音を遮断して目の前のことに集中できている感覚を得ているからです。

◇ワーキングメモリが限界になるタイミングとは?

ワーキングメモリの容量には個人差があり、無限ではありません。加えて、限られたワーキングメモリに空きがないと、目の前の仕事に関して集中できず、パフォーマンスが上がりません。

このワーキングメモリを消費してしまう代表的な例は、先ほどの電話のように作業途中で中断されることや、「気になっていること、心配事がある」という状態も挙げられます。

みなさんも、翌日に控えるプレゼンが気になっているとき、目の前の作業でつまらないミスをしたり、肝心のプレゼンの日に思わぬ忘れ物をしてしまったりする、という経験はないでしょうか。これは、ワーキングメモリの空きがほとんどないために起こる現象です。

◇ワーキングメモリを解放する方法

集中力を高めるために必要なのは、ワーキングメモリの空きを作ること。そのために休暇をうまく使いましょう。

ワーキングメモリの空き作る方法として、心理学者のレイチェル・カブランとスティーブン・カブラン夫妻が提唱している「注意回復理論」があります。この理論によると、自然の中に身を置くことで注意力が回復し、ワーキングメモリの空きが作られることがわかっています。

みなさんも、登山やハイキングなど、自然のなかで過ごすことで頭がスッキリする感覚を得ると思います。また、自然の中でしばらく過ごしていると、鳥の鳴き声や草木の匂いに急に気がつくという経験もあるかもしれません。これはワーキングメモリの容量に余裕が生まれ、目の前の風景や環境に集中できるようになっていることを示しています。

今年の夏休みは、山でも海でも自然のなかに出かけて、この状態を意識的に体験してみてください。

なかなか時間が取れない人や、環境が許さない人は、映像や写真で自然を見るだけでも一定の効果があるといわれています。

ふと意識していなかった目の前のことに気が付いたり、目の前の作業がやけに捗ると感じたりしたら、大成功です!また、おススメの場所などあればぜひコメントで教えてください!

ぜひ良い夏休みを!

(Top画像@Linustock)

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