職業によって、撮る写真が違うって本当?

2023年7月30日
全体に公開

「見る」という認知機能が「脳」に依存していることを綴った前回

例えば遠くにいる人のことを、「人差し指くらいの大きさの小人がいる」とは思わずに「人間の大人が遠くにいる」と認識できるのも、脳が高次処理をしているからです。

この様に一般的に備わった「見る機能」以上に、「見る力」には伸び代があり発展形があることも前回の話題の一部でした。

さらに、「絵を描く」というような目的を持って「見る行為」に向きあっていないとしても、日々の生活で何をどう認知しているのか。つまり、なぜ・何に・どのように物事に注目し、そして感じ・考えているのか。それらは「写真にもそのまま現れている!」というのが筆者の立場です。

それって、一体どういうことなのか?

本日は、職業別に写真の特徴をご紹介してみたいと思います!

・建築系の場合

例えば、建築家や建築を過去に学んでいた方の写真は、水平垂直へのこだわりが強く見られます。さらに、手前、真ん中、奥といったように、空間を構造的にとらえている様子が強く現れます。

写真:Yokouchi Syusuke

また、目の前に広がる空間を「人間が佇む場所」として観察しているからでしょうが、人間の目線の高さで切り取る様な視野も多いです。(空の面積が必要以上に大きく写っている写真などが少ないです)

写真:Kiuchi Seira

・研究者の場合

「研究者」の写真も、建築家同様に水平垂直へのこだわりや構造化が見てとれます。加えて、何か特定の分野や技術を追求している人の写真は、主題がはっきりしている傾向があります。

つまり、分かりやすく興味関心のある「これ!」という主題を画面の真ん中に配置し、それを過不足なく俯瞰的に切り取るような(でも、なるべく主題を大きく写すような)画角です。

写真:Tuchiya Kenichi

私はこういったフレーミングを見ると、顕微鏡でプレパラートをのぞいているような光景が浮かんできます。

(別に、顕微鏡でのぞくような研究をしていないくても、思考がそのようになっているのではないかと)

さらに主題と比較するような対象物を背景に含めるようなことも好む傾向があります。

写真:Yamane Shoko

研究には、仮説設計や比較の観点から物事を考察することが欠かせませんから、何かそういった思考を垣間見ているようです。

・コミュニティデザイナーやファシリテーターの場合

コミュニティに関わってる人、もしくは営業や秘書など人を相手にしている職業の方の写真では、そもそも人の姿が画面によく入り込んできたり、もしくは人の様子やカルチャー、世情などがテーマになっていることが多いです。

写真:Yasumi Atsushi

フレーミングも、実に有機的だったり。

写真:Inaba Yukari

ちなみに、私もどちらかというと水平垂直へのこだわりなどは甘く(訓練したので、努力で補えますが)、美大受験の学科選択の際に、建築や工業製品を扱うようなデザイン学科は向かないと早々に感じていました。素晴らしい自己理解・自己判断だったと思います笑。

ふだん、平気でこういう雑な写真を撮っています。

写真:Nara Yuko

もちろん、同じ人の中にも、様々な視点、視野、視座が存在していますから、写真一枚で全てを言い当てることはできません。

ですが、多くの人と撮影された写真を紐づけて見ているうちに、人それぞれ似通ったパターンや認知の特徴があり、さらにそれらは職業でも傾向がありそうだということに行きつきました。

写真の分類は、色々あるので、またご紹介していきます!

(写真の利用を承諾いただいたみなさま、ありがとうございました!)

(写真を、例に使ってもいいよ!という方がいらっしゃいましたら、ご一報くださいませ〜)

*TOP画像:UnsplashのBilletto Editorialが撮影した写真   

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