インパクト投資は誰を救うのか?

2023年6月21日
全体に公開

6月20日のThe UPDATEでは「インパクト投資」について議論しました。企画したきっかけは、6月が「環境月間」であること、さらに、日経平均株価がバブル時の高値を超えるなど、日本企業への注目が高まっていること。

株高の中で、日本企業が、今後ビジネスの中で注力していくポイントとして、どこを重点的に改善していくか、さらに、社会的に良いインパクトをどれだけ与えられるか、が基本になってくるということからです。

The UPDATE

金融庁が「インパクト投資」について基本的な指針案を取りまとめています。国内外の投資としてはまだ初期段階であるものの、世界的にみてもこの潮流から遅れてしまうと困る、という政府側の焦りも感じます。

日本はジェンダー後進国とも言われます。先程発表された「ジェンダーギャップ指数」日本は125位と順位を下げました。女性管理職を増やすべく、30年までに女性役員3割超という目標設定を立てていますが、現実ではなかなか進んでいない状況も。

地球環境への配慮、さらに格差のギャップを埋めるためにも、やった方がいいことをリスクとリターンを重要視する「既存の資本主義」に則ってしまうと、なかなか進まない。ではインパクト投資というワードが出てきたことで、企業や投資家はどのように変わっていけるのかということを必死に考える1時間でした。

そもそもインパクト投資とは何か?UPDATE EYEの内容をまとめて説明します。

インパクト投資は、社会や環境問題の解決を目指し、経済的リターンと社会的リターンの両立を目的とする投資。従来は、リスクとリターンの2軸で価値判断をしてきましたが、インパクト投資では、社会と環境への効果を示す「インパクト」という第3の軸が加わります。

ESG投資は、財務情報だけでなく環境、社会、ガバナンスに配慮した企業に投資することです。一方で、インパクト投資は社会に”ポジティブなインパクト”をもたらすことが第1の目的で、その上で金銭的リターンを追求します。

2022年度のインパクト投資の投資残高について、全世界では約160兆円。日本では、5兆8,480億円で、前年度比4.4倍と拡大しています。

インパクト投資は「思想」「ムーブメント」であるだけなのか?

全編をぜひご覧いただければと思いますが、そもそも資本主義とインパクト投資は両立できるのか?という疑問に陥ります。Allesgood 創業者で、代表取締役CEOの勝見仁泰さんは、スタートアップ、ベンチャー企業として、投資を受ける側としてのジレンマを語ります。「結局リターンはどのくらい?」という問いが一番重要で、社会課題を解決するビジネス創出への理解をどこまでしてもらえるのか、と赤裸々に胸の内を明かしてくれました。

Z世代と企業の採用マッチングをされています

そこで、シニフィアン株式会社共同代表の村上 誠典さんは、スタートアップ投資や経営支援、上場 /未上場の成長企業向けのアドバイザリーをされている立場として「お金MAX⇨課題MAX」の見解を。

幸せになりたい、便利な生活をしたい、そのためにお金を増やしたいという欲求に沿って生きてきたら、お金がすでに増えすぎた。お金が増えると課題があると気づく。課題を減らしたいという欲求がでてきたことで「インパクト投資」に注目が集まっているという指摘がありました。

ESG投資の専門家として、ニューラルスポーツ代表取締役CEO 夫馬賢治さんには、社会が利益の源泉を感じ始めているとし、インパクトを定量化できる環境が整ってきている状況を説明していただきました。その上での課題として、キングオブコメントとしても取り上げられましたが、今、SDGsにおける社会課題は、政府ではなく金融機関がどうにかしなければいけない。社会的課題を解決しながら、リターンを出すことの歯痒さがあるのだと指摘されていました。

インパクト投資の重要性を改めて議論してみて、日本企業は改めて何を軸に価値を高めていくのか、後半では経営論にも繋がってくる話になりました。

「インパクト投資」とパッと聞いても、なかなか自分ごと化できないことではあると思いますが、ぜひご覧いただき、コメントいただけますと光栄です。

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