ChatGPTを使ってボサノバを作ってみた - AIによるクリエイティブの新時代

2022年12月4日
全体に公開

こんにちは。もう12月になってしまいました。サッカー日本代表、すごかったですね。筆者は1993年のドーハの悲劇の頃に中学でサッカーをやっていました。(その後やめてコンピューターばっかりやっていましたが。)30年近く経って、同じドーハでこんな奇跡が、それも二度も起こるとは。当時と比べると日本代表のメンバーも多くがヨーロッパなどのクラブに所属しており、日本のサッカーの躍進を感じて刺激されます。

さて、今週、非営利のAI研究組織OpenAIが公開したチャットボットのChatGPTが、まるで人間がかのような説得力のある応答をして、大変な話題になっています。OpenAIは画像生成モデルのDALL-Eなどで知られており、ChatGPTのベースになっているのは大規模言語モデルのGPT-3です。現在テスト期間として無料で利用可能になっています。筆者も早速試しています。

表現の補助輪としてのAI

ChatGPTは自然言語から、ちゃんと動作するプログラムコードを生成することなどができます。また音楽のコード進行なども回答できるようです。自然言語分にとどまらず、一次元のコード情報に対して幅広くトレーニングされているようです。

筆者はたまにGarage Bandで作曲をして遊びます。メロディーを考えるのは好きなのですが、体系だって音楽を勉強したことはなく、コード進行などは苦労しています。なのでChatGPTにコード進行を考えてもらいました。ついでに歌詞も。このコード進行と歌詞にメロディーをつけて、一曲完成させてみました。ベースやドラムは足しました。半日程度でできました。

筆者:ボサノバのコード進行を一曲分考えて
ChatGPT:
Am7 Dm7 G C
E7 Am
F G C
Am7 Dm7 G C
E7 Am
F G C
Am7 Dm7 G C
E7 Am
F G C
Am7 Dm7 G C
E7 Am
F G C

筆者:歌詞をつけて

ChatGPT:
夜空に浮かぶ月が 私を包むように 抱きしめるように
踊り出したい気持ちが 胸を焦がしてる
静かな夜風に揺れる ボサノバが私を誘う手を伸ばしたら 優しく掴んでくれる
今宵は私を 踊り明かせて
(略)

あまりにも簡単に歌詞付きのボサノバの曲が完成してしまいました。

特定の分野についての知識の説明

筆者:プロダクトシンキングとは
ChatGPT:
プロダクトシンキングとは、プロダクトを開発する際に取り入れる考え方やプロセスのことです。プロダクトシンキングでは、ユーザーのニーズや問題を明確にし、それを解決するための製品やサービスを開発するためのアプローチが提唱されています。
 プロダクトシンキングでは、ユーザーのニーズや問題を明確にするために、マーケティングリサーチやユーザーインタビューなどの手法が用いられます。そして、それらのニーズや問題を解決するための製品やサービスを開発するために、プロトタイピングやテストマーケティングなどのアプローチが用いられます。

 プロダクトシンキングは、製品やサービスの開発プロセス全体を通して取り入れることができます。また、プロダクトシンキングは、個々のプロジェクトだけでなく、企業全体の戦略立案やビジネスモデルの策定にも応用されることがあります。

 プロダクトシンキングは、製品やサービスの開発プロセス全体を通して取り入れることができます。また、プロダクトシンキングは、個々のプロジェクトだけでなく、企業全体の戦略立案やビジネスモデルの策定にも応用されることがあります。

非常に優等生的な、的確な回答です。この後も見ていくように、幅広い分野に対して、非常にまとまった回答が返ってきます。人間的な深みやひねりはないですが。例えば、筆者の仕事でもよく出てくる下記のような質問をしてみました。

筆者:UIとUXの違いを教えて
ChatGPT:
UI と UX は、ユーザーインターフェイスとユーザーエクスペリエンスの略です。簡単に言えば、UI は人がコンピューターやウェブサイトとやり取りする際に使用する画面やインターフェイスのことを指し、UX はそれらを使用する際の人々の感情や体験を指します。

UI はコンピューターやウェブサイトの見た目や操作性を指します。例えば、アプリやウェブサイトの画面デザインや、ボタンやリンクなどのインタラクションデザイン、そして入力フォームや確認ダイアログなどのインターフェイスデザインが UI の例です。

一方、UX はユーザーがコンピューターやウェブサイトを使用する際の全体的な感情や体験を指します。例えば、ユーザーがアプリやウェブサイトを使用しているときの感覚や気分、そしてサイトやサービスを使用することで得られる満足感や価値が UX の例です。

 UI と UX は密接に関連していますが、その機能や役割は異なります。UI は人がコンピューターやウェブサイトとやり取りするためのインターフェイスを提供しますが、UX はそのインターフェイスを使用することで得られる体験を改善します。

印象的なのが、二つの概念の関係性と差異をそれぞれきちんと説明していることです。

特定のスタイルによる文章

また、さまざまなスタイルを指定して文章を作ることができます。

筆者:ポスドクの悲哀についてのJーPopの歌詞を書きたいと思います。
ChatGPT:
「ポスドクの苦悩」
奨学金が切れたら 研究はどうなるの
仕事もできず 毎日が苦しい将来が不安で 明日を迎えることさえ恐れてる研究者として生きること それだけが私の喜びだけどそれも脆い 貴重な資格を失うこともある悲しいポスドクの生活 私の人生はここで終わるのか奨学金を延長してほしい 研究が続けられるように私は頑張ってる けどこの環境は厳しい皆さん、助けてください ポスドクの悲哀を知っていますか私たちは弱い けど研究を続けたい助けてください。

なんかGlobeの歌詞にでもありそうな感じですね。

筆者:昨晩の合コンがイマイチだった件について村上春樹風に述べてみて
Chat GPT:(一部略)
「昨晩、合コンに参加した。そこでは、知らない人ばかりだった。それでも、少しずつ会話をしていた。しかし、それはすぐに冷めてしまった。空気が重い。そこには、同じような人が集まっているかのような感じがした。それでも、何とか会話を続けることにした。そして、いつの間にか、時間が過ぎてしまった。それでも、みんなはそれぞれの席に座り込んでいる。そこには、何かが足りないような感覚がある。それでも、何とか笑顔を作り、挨拶を交わしている。それでも、みんなはそれぞれの世界にいるように思えた。そして、それは永遠に(終了)

ありふれたことをもったいぶった文章で書くのがいかにも村上春樹風です。

これまで見てきたように、ChatGPT(というかGPT-3)は、質問の文脈で適切な文章を生成するという点においては、もはや人間と遜色のない能力を実現しています。DALL-EやStable Diffusionが生成する絵のもっともらしさと同様です。

型にはまった文章であれば、AIに作らせることは十分に可能です。例えばニュース記事、学校のレポート、式辞などです。

俳優の渡辺徹さんが最近亡くなられました。渡辺さんのご冥福を心よりお祈りいたします。筆者は小学生の頃、渡辺徹さんが司会を務めたクイズ番組に出演したことがありました。不謹慎を承知の上で、ChatGPTに弔辞を書かせてみました。

筆者:渡辺徹さんへの弔辞を書いて
ChatGPT:「渡辺徹さんは、長年にわたり多くの方々に愛される俳優、声優、ナレーターとして活躍されました。その優れた演技力と声により、たくさんの人々の心を動かし、感動を与えてくださいました。

渡辺さんが亡くなることは、多くの人々にとって大きな悲しみです。しかし、その素晴らしい作品は、渡辺さんが生きている限り、多くの人々に愛され続けるでしょう。

渡辺さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。」

スタイル、構成、内容のいずれにおいても、適切な内容といって差し支えないでしょう。このような文章をAIにドラフトさせた上で、人間が調整して仕上げるというのは今後一般的になると考えられます。

システムの制約

ここまでできるなら、もう筆者が毎週苦労しているように自分で記事を書かなくても、ChatGPT自身で書いてくれないか、頼んでみました。

筆者:あなたについての記事を書こうと思います。あなた自身について自己紹介してもらってもいいですか。
ChatGPT:私はコンピューター上で実行されるプログラムであり、人間によって作成された言語を理解して対話することができます。私はOpenAIによってトレーニングされた大型の言語モデルであり、特定の時点までの知識がトレーニングデータに含まれています。私はあなたが私について知りたいことを教えることができるかもしれませんが、私について書かれた記事については、記事を書く人間が責任を持つことになります。

記事の内容についての責任は人間である筆者が取るように諭されてしまいました。AIに一本取られる時代がやってきました。全般的に、ChatGPTに主体的な意見を求めるような質問には答えないようです。また、当然ながらプライバシーや偏見など不適切な質問にも答えないように調整されているようです。中にはプロンプトハックでうまくChatGPTに不適切なことを言わせるのに成功した人もいるようです。

より問題なのは、不正確な情報でも、さも正しいかのように答える場合が多く見られることです。

筆者:メロンパンマンのアニメについて教えて(注:実在しない)
ChatGPT:私たちは、メロンパンマンのアニメについてはお詳しくありません。メロンパンマンは、日本の童話作家・山本譲二によって作られたフィクションのキャラクターです。彼は、青い風船を持った、大きなお菓子のようなキャラクターです。そのようなキャラクターは、多くのアニメや漫画、およびその他のメディアで描かれることがあります。もし詳細が必要な場合は、それらの作品をご覧いただくか、それらを制作した会社や個人にお問い合わせいただくことがよいでしょう。

この回答は完全なでっち上げです。というか童話作家、山本譲二(笑)。

AIによるクリエイティブの民主化

クリエイティブの仕事は一変します。今後のクリエイティブな仕事のフローは、まずアイデアをAIに伝えて、グラフィックでも音楽でもプログラムコードでもドラフトを作ってもらう。そして、その結果を人間がチューニングして完成させる。このような工程が一般的になるでしょう。クリエイティブな仕事の生産性は飛躍的に向上し、映画やゲームのような多人数による労働集約が必要だったコンテンツも少人数の個人のグループで作れるようになります。

このインパクトは、グーテンベルクによる活版印刷の発明や、PCの発明、Webの発明などと並ぶものになるでしょう。人類史の新しい一ページが開かれたといっていいと思います。

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