会議をWebから対面に切り替えたら、驚くほどアイデアが転がった。一人コミュマネ術
オンライン会議(MTG)の機会が増えました。
私の職場ではGoogleカレンダーが共有されており、他のメンバーの日程を見て、1on1やMTGを気軽に入れることをOKとしているカルチャーです。
依頼の際に一言断りを入れたり、議題や資料を共有したりといったマナーが要るときもありますが、全体MTGなどは知らぬ間にどんどん入っていきます。
気づけば、Googleカレンダーの週間予定のほとんどが、MTGでびっしり。
30分間や1時間の単位で、終了時刻のギリギリやオーバーして開かれることも少なくありません。一つの会議を終えたら、次の会議に慌ててハシゴ......。トイレやコーヒーブレークさえ、ままならないこともよくあります。
先日、同僚と互いにこうボヤきました。「ミーティングばっかりで、仕事がぜんぜん進まないよね」
CEOは72%も会議に割いている
「オンラインMTGが多すぎる」という課題は、私一人に限った話ではありません。
ノーコード/ローコードアプリ開発のquixyの調査によると、一般的な社員は、毎日1つ以上、毎週少なくとも8つの会議に出席。マネジャークラスのMTG出席は、週に12会議以上だといいます。
さらに経営者(CEO)になれば「四六時中、会議ばかりしている」という実態が、アメリカでは明らかになっています。
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)教授のマイケル・ポーターとニティン・ノフリアが、CEOの時間管理について調査したところ、CEOが現場の労働者と過ごす時間は平均してわずか3%、顧客とは6%に過ぎず、会議には72%も割いていることがわかりました。
現場社員や顧客の声を聞く暇がなく、会議に明け暮れた結果、待遇改善を求めるストやデモが起きる、というケースもあります。
改善策として、①社員をもっと知ること、②投資のビジネスケースを理解すること、③コミュニケーションのアップ、④他社とコラボなどを挙げています。
オンラインMTGは「発言しづらい」
コロナ禍で一気に広がったオンラインMTGですが、効率の良さは実感するところです。
リコー「働き方改革ラボ」の記事によれば、Web会議のメリットは、ネット環境があればどこでも会議できる、▽交通費と移動時間を削減、▽意思決定のスピードアップ、▽低コストで運用できる、といった点です。
一方、昔ながらの対面式でのメリットを次のように挙げています。
直接対面することで意思疎通がしやすい、▽Web環境に左右されない、▽発言や議論がしやすい、▽資料や現物をその場で共有できる。
これら3つの対面のメリットの裏を返せば、「オンラインMTGでは難しいデメリット」とも言えます。
オンラインMTGのデメリット:Web環境に左右される、▽発言や議論がしづらい、▽資料や現物をその場で共有できない
みなさんも、共感の心当たりがありませんか?
気づけば1時間、私一人ばかり喋っていた
私は、次世代のキャリアメディア「JobPicks」と、地方創生と中小企業にフォーカスしたNewsPicks+dという2つのWebメディアで編集長を務めています。
毎週、編集部MTGを開いています。事務連絡にはじまり、編集方針、読まれ方の分析、ネタ出しといった内容で枠は1時間ほど。参加は少なとも6、7人、多くて十数人です。
チェックインやアイスブレークで出席者に話してもらったり、発言時間を設けてバトンを渡したりもしていますが、基本的に発言者以外はミュート。ホスト一人が中心となって、喋り続けている、という状況がよくあります。
デメリットとも重なりますが、参加しているWeb環境や発言機会の少なさによっては、画面オフで「耳だけ」というケースもあるでしょう。
MTGメンバーをまずはランチ会に誘った
NewsPicks+dの編集部MTGを「合宿」と称して、久しぶりに対面で開きました。実際には宿泊をするわけではないのですが。
編集部には、特約エディターほか、業務委託でお仕事を依頼している外部のパートナーさんも少なくなく、日頃は毎週オンラインで集まっています。
この日の集合は、午前11時。職場から徒歩15分ほどのレストランで、ランチ会をまず開きました。梅雨が開け切らない6月の昼前、テラス席に7人が座ります。当日のキャンセルが2人ありましたが、女性5人、男性は私も入れて2人です。
デザート付きの「ちょっといいランチ」で、私はウニの冷製パスタを注文。目の前のカトラリーケースからフォークを取り出して食べ始めたのですが、「ん、なんか違う」思った次の瞬間に「それ、たぶんデザート用ですよ」と、隣から速攻でツッコまれました。
さらに通りかかった店員さんからも「お客様、それはデザート用のフォークです」と“追い討ち”。ダブルパンチの赤っ恥に全員が大爆笑して、その場で、「フォーク・ノガミ」と呼ばれる始末に。記念撮影ではフォークを持つよう言われるなど、食べ終えるまでイジられ倒しました。
対面会議だと企画アイデアが転がった
ランチで盛り上がったあと、会社へとゾロゾロと移動して、午後から会議を開きました。会議室を取っていたのですが、人数がそれなりにいたので同僚の勧めでソファ席で開くことにしました。
ホワイトボードや投影モニターを持ってくるなど準備は手間だったのですが、開放的な場所で、比較的リラックスした状態でスタートします。
この日の1番の議題は、NewsPicks+dの新規連載やエディター横断で取り組みたい「夏の特集」のアイデア出しです。
これまでも実は、毎週の定例MTGやSlackでのコミュニケーションで「ネタ出し」は編集部メンバーにお願いしてきたのですが、思ったより議論が進んでいませんでした。一人ひとりに話を振っても、マイクオンにして少し話す程度で話題がなかなか発展しない、という課題を抱えていました。
それがこの日は、見違えるほど話題が転がりました。パソコンを手元に置いているメンバーも少なくないですが、みなが思ったことを口々に言うのです。私も“ファシリテーションのやりがい”があります。
その会議って、話しやすい環境?
新規メンバーもいたのですが、この日は対面でのMTGはこれが2回目。およそ4カ月ぶりの開催でしたが、「企画ネタ出し」のブレストやディスカッションは前回よりも効果を実感しました。
それは、前回の「合宿」で多くのメンバーが顔を合わせており、今回は「心理的安全性」がより高かったことが挙げられます。また、前は会議室で開いたのですが、今回は開放的なソファ席だったことも良かったと振り返っています。
私は最近、JobPicksの動画番組「働くっていいかも!」で、若いコミュニティマネジャー5人にインタビューをしました。
そこで、ブレストや対話が盛り上がるのには、「話しやすい場所や座り方」も大事だと聞きました。「椅子やテーブルの配置など、空間のデザインもコミュマネの仕事の一部」だと、ゲストの一人、楽さんは解説してくれました。
「話しやすい環境か」という点では、Web会議は2〜4人程度が人数のリミットだというのが私の実感です。さらに、ブレストにはやはり対面が向いていると改めて感じました。
対面会議を選択すべき3つのシーン
先に紹介した「働き方改革ラボ」によれば、オンラインではなく、対面会議が良いケースは、次の3パターンです。
1. プロジェクトチーム発足時や初対面のメンバーがいる場合
2. 複雑な議論内容や意見が衝突している場合
3. ブレーンストーミングなどのアイデアを出す場合
これはみなさんの経験とも、合致するのではないでしょうか?
今回の+d編集部会議で言えば、5月からの新メンバーが複数いて、新旧連載の見直しや編成も話し合う「複雑な議論」、さらにブレストでのアイデア出し。3つどれも当てはまるケースでした。つまり、Web会議でやっちゃダメ、非効率ということに改めて気づきました。
逆にWeb会議が向いているのは、「メンバー同士の情報共有の場」や「遠隔地からの参加がある場合」。対面会議と意識的に使い分けると良い、ということですね。
対面ということもあって、会社のエコバックをお土産として渡すこともできました。
掲載した写真は、メンバーの一人が撮影して、Slackに共有してくれました。毎日の業務連絡や相談、依頼はSlackを使っているのですが、そんなテキストでのコミュニケーションも、対面会議後は少し明るく、円滑になったように感じます。
副業で参加しているメンバーも多いこともあり、毎週のMTGをすべて対面でやるのは、現実的ではありません。日々の業務連絡はWeb会議のほうが、誰もありがたいでしょう。
一方、もし少し行き詰まりを感じているとしたら。
「会議をもっと盛り上げたいな」
「メンバーからもう少し積極的にアイデアを出してもらえないかな」
「コミュニケーションの雰囲気を明るくしたい」
古典的な手法ですが、腰が重くとも、MTGの環境を対面にガラッと変えてみると、好転するかもしれません。
「ときどき対面」というケースならば、コミュニティマネジャーの知見も参考にしましょう。せっかく開くなら、メンバーのお腹を満たしてから、開放感ある空間で開くと、より効果的だと思います。
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5人のコミュニティマネジャーへのJobPicksインタビュー記事はこちら。
▼野上英文著『朝日新聞記者がMITのMBAで仕上げた 戦略的ビジネス文章術』(BOW BOOKS)
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