自治体DXの推進と自治体フロントヤード改革が目指すもの 〜 デジ田構想資料から

2023年8月18日
全体に公開

行政サービスの効率化と住民サービスの充実に向けて、自治体行政におけるDX(自治体DX)の推進と自治体フロントヤード改革の重要性が高まっています。

デジタル庁は2023年8月3日、「デジタル田園都市国家構想実現会議(第14回)」を開催し、総務省からは地域DXの推進に向けた取組について発表しています。

地域におけるDXの推進は、大きく自治体行政におけるDX(自治体DX)の推進と、地域社会におけるDXの推進の2つに分けられます。

自治体DX推進にあたっては、住民との接点となるフロントヤード改革が重要となっています。

オンライン申請の推進・強化では、
・ 転出届のオンライン化などマイナポータルの利活用拡大
・ 地方税の電子納付(eLTAX、統一QRコード)
・地方税以外の公金への拡大

マイナンバーカードの利活用の推進では、
 ・救急業務の迅速化
・ 避難所受付における利用
・ 地域公共交通における利用

などの取組が挙げられています。

また、基幹業務システムの標準化・共通化、AI・RPAの活用などを通じて、行政サービスの効率化も進めています。

そして、自治体DXの推進には、データドリブンな行政経営を実現し、住民との接点を多様化・充実化することで、地域社会の活性化に寄与することが重要となっています。

出典:デジタル田園都市国家構想実現会議(第14回) 2023.8.3

自治体フロントヤード改革が目指すもの

自治体フロントヤード改革が目指すものでは、以下の3つを挙げています。

①マイナンバーカードの活用で、住民との接点を多様化・充実化

住民の視点から、自治体との接点をオムニチャネル化し、マイナンバーカード1枚で自宅(オンライン)、郵便局、庁舎窓口など、さまざまな場所で手続きが可能になることを目指しています。

また、マイナンバーカードの利用シーンをさらに拡大することで、住民との接点を充実化し、より身近で便利な存在になることを目指しています。

② 紙ではなくデータで対応

オムニチャネル化による事務処理のダブルトラックを解消するため、対面であっても紙ではなくデータによる対応を前提とした「End to End」のデジタル化を進めています。

申請データの活用により、処理状況(処理件数・処理時間・待ち時間など)を可視化し、窓口業務改善のきっかけにする(データドリブン行政経営)ことを目指しています。データ対応により、バックヤードは集約化・効率化(支所での事務処理を本庁に集約化など)を進めています。

③ 庁舎空間は、単なる手続きの場所から、多様な主体との協働の場へ

手続きは早く、簡単に。その結果生み出された時間で、相談・交流はじっくりと、深く行うことを目指しています。

記載台や手続専用カウンターなどの削減で、手続きの場を減らし、多様な主体が交流できる場を確保します。これにより、住民や地域社会を担うさまざまな主体が集い、地域社会の変革に結びつけることを目指しています。

出典:デジタル田園都市国家構想実現会議(第14回) 2023.8.3

さらに、地域社会におけるDXの推進は、地域社会課題の解決を目指しています。具体的には、自動運転やドローンを活用した物流システムの構築、多言語翻訳AIチャットボットを活用した外国人への情報発信強化などが進められています。

自治体DXの推進と自治体フロントヤード改革は、行政サービスの効率化と住民サービスの充実を目指し、地域DXの推進による地域社会の活性化に寄与することを目指しています。

出典:デジタル田園都市国家構想実現会議(第14回) 2023.8.3

自治体フロントヤード改革は、行政サービスの利便性向上と効率化を目指す重要な取り組みです。具体的には、マイナンバーカードの活用による接点の多様化・充実化、紙からデータへの移行、そして庁舎空間の再定義という3つの視点から取組を進めています。

一方、マイナンバーは、全国でさまざまな問題が相次いでおり、マイナンバーそのものの信頼性に疑問符が投げられているのも現状です。

自治体DXの推進と自治体フロントヤード改革の要となる、マイナンバーの動きにも注視しつつ、今後の地域DX、自治体DXの展開には引き続き、ウオッチしてきたいと思います。

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