さまざまな温泉系資格

2023年9月4日
全体に公開

温泉健康指導士&温泉ソムリエマスター合同セミナーinみなかみ(群馬県)が開催

2023年9月3日に温泉健康指導士&温泉ソムリエマスター合同セミナーが群馬県みなかみ町で開催されました。「みなかみ18湯」で知られる群馬県みなかみ町は豊富で多様な温泉資源があり、多くの方が温泉入浴を楽しんでいます。約70名の方がお集まりいただき無事終了しました。

こちらのセミナーは名前の通り、1回の講習会で温泉健康指導士と温泉ソムリエマスターの資格が取れるというお得なもので、温泉健康指導士部分は筆者が、温泉ソムリエ部分は温泉ソムリエの遠間和広氏(温泉ソムリエ家元)が講師を務めました。

セミナー終了後撮影 左:遠間和広氏(温泉ソムリエ家元) 右:筆者

温泉健康指導士、温泉ソムリエとは?

温泉健康指導士は、一般財団法人日本健康開発財団が認める民間資格です。この資格は「温泉」、「入浴」にご興味のある方を対象に、「目的に応じた楽しみ方」 を身につけていただくことを目的にして講習会を開催しています。温泉療法専門医である筆者が講師となり、温泉を利用してどのような効果があるか、健康な体を維持するためにはどのような入浴法が効果的かなど、「温泉」「入浴」「健康」をキーワードに講義を行い、受講者には「温泉健康指導士」の称号を付与する資格です。今回、筆者が講師となって「正しい入浴法・入浴の医学的効果」「温泉・銭湯の最新医学研究のご紹介」を行いました。

温泉ソムリエは、温泉の基礎知識、正しい入浴法、温泉分析書の読み方などを習得し、温泉旅行がいままでより何倍も楽しくなるという資格です。温泉ソムリエの認定者は全国で26,000人以上います。特に今回のセミナーでは温泉分析書の読み方を集中的に遠間さんが講義し、温泉のうんちくを語れるようになります。温泉分析書とは、温泉の脱衣室などに掲示してある文字通り温泉成分を分析した結果の表であり、いわば温泉の履歴書にあたるものです。

なにも知識がないとこの分析書をみてもチンプンカンプンですが、受講されると温泉の特徴や入り方が分かり、一般の方はご自身が温泉を詳しく理解できることにより、もっと温泉を楽しみことができるようになります。温泉施設の方はより正しい情報をお客様にお伝えでき、信頼いただけることにつながります。タレント・レポーターの方は温泉の仕事が増え、仕事の内容もレベルアップすると好評です。温泉地をレポートするタレントの肩書に「温泉ソムリエ」とついていることもしばしばあります。

今回はその二つの資格講座を合同で行い、一部重複する内容を統一し精査した効率の良い内容になっており、温泉健康指導士を取得すると温泉ソムリエが温泉ソムリエマスターへランクアップするため、同時に3つの資格を取得できるというものです。

今回はみなかみ町で開催されましたが、通常はこの合同セミナーは年1回11月に都内で開催されます。今年は11月26日「いい風呂の日」に東京都市大学世田谷キャンパスで開催されます。例年満席になる人気セミナーで詳細はこちらです。

その他にもいろいろある温泉系の資格

その他にも温泉系の資格や検定はローカルなものも含めると複数あります。その大部分は民間資格なので、学ぶ内容や名称も様々です。例えば以下のようなものがありますが、いずれも温泉の基礎を学べるカリキュラムになっているようです。詳細はそれぞれの主催団体にお尋ねください。

温泉保養士(一般社団法人日本温泉保養士協会)

温泉観光士(日本温泉地域学会)

温泉観光実践士(温泉観光実践士協会)

温泉マイスター(特定非営利活動法人別府温泉地球博物館)

温泉検定(日本温泉協会)

他(順不同)

これ以外にもいくつか温泉系の資格があります。なかには定期的にセミナーや講習会が開催されていないものやこれまでの受講者数が少ないものもあります。受講してみたいと思う場合は、これまでの実績や主催者、講師を確認するとよいでしょう。

また、温泉系の講習会講師を行うのには資格が必要なわけではありません。ある意味自由に団体を設立して講師になることができます。そのため、受講する場合は受講者側も提供される講習会の質を見極める力が必要になります。

Unsplash Cloris Ying撮影

公的温泉系資格はこの2つ

民間資格が多い中、温泉系資格で公的なものは下記の2つです。

温泉入浴指導員(一般財団法人日本健康開発財団)(難易度低)

温泉利用指導者(一般財団法人日本健康開発財団)(難易度高)

この2つは講習会そのものは民間財団行っているものの、厚生労働省によって定められた資格であり、カリキュラムも厚生労働省健康局長通知に沿って実施されるものであり、内容や資格名称は厚生労働省によって定められています。また、講習会開催前に厚生労働省に講習会の講師や講習場所、料金などを届出して、終了後にも完了報告が必要となります。

他の資格と比べると実施が大変厳密ですが、その理由は、これらの2つの資格は厚生労働省の制度である「温泉利用型健康増進施設」「温泉利用プログラム型健康増進施設」の開設や運営で必要だからです。筆者も講師を務めていますが、その他の講師も温泉療法専門医や大学教授などの専門家が担当しています。

と言っても難易度の低い方の「温泉入浴指導員」は受講資格はなく、温泉や入浴に興味関心のある人ならどなたでも楽しく受講できます。年齢制限もないので、過去には高校生も受講して資格を取得しています。講習は2日間で、1日目は温泉医学についての座学ですが、2日目はAEDを使った救急救命実習や、実際に温泉に行って実習も行います。皆さん温泉好きということもあって受講が終わることには皆和気あいあいとした雰囲気になります。講習会は定期的に都内で行っています。詳細はこちらです。

写真提供:温泉利用型健康増進施設 神戸みなと温泉 蓮

一方、「温泉利用指導者」は我が国の温泉系資格の最高峰です。講習会は8日間あり、講義や温泉での指導実習がびっしりあります。講師は現役の大学教授を中心にその分野のそうそうたる第一人者をそろえています。こちらは受講資格があり、温泉実務が5年以上か、または医療系資格や体育系資格が必要になります。主にお仕事が温泉や入浴に関連する方や温泉施設勤務の方が受講が多く、本気で入浴・温泉のプロを目指す方が受講しています。

温泉系資格もいろいろとあって実に奥が深いです。もっと温泉のことを知りたい方は目的や内容、費用、難易度などを確認して自分にあった資格や検定を受講してみてください。

トップ画像 Unsplash:Steven Diaz撮影

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